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23 デイビッドとサラ



<デイビッドとサラ>


デイビッドたちは施設内の応接室のようなところに案内されていた。

サラは椅子に座り紅茶を飲む。

デイビッドはテーブルに軽く腰を当て、コーヒーを飲んでいる。

「う~ん、やっぱり日本のコーヒーは美味しいね~。 水がきれいなんだろうな」

デイビッドはカップを片手にサラに話す。

「・・デイビッド。 あなた怖くないの? 私・・まだ震えが止まらないわよ」

サラが自分の震える右手を見つめて言う。

笑顔はない。

「サラ、気にしてどうにかできるレベルじゃない。 あの時、俺たちは何もできなかった。 敵が背中にいるのに全くわからなかった。 もし、敵が俺たちを殺すつもりなら俺たちはここにはいない。 警戒しても無駄だね。 今だって俺たちのことは把握されていると思った方がいい」

デイビッドはカラカラと笑いながら言う。

「あなた、よく笑っていられるわね。 でもまぁ、あなたの言うとおりね。 まさかこれほどの差があるとは思ってもみなかったわ。 私たちがいた場所にもあれほどの人物はいなかったわよ。 何者かしら?」

サラがつぶやく。

「さぁな、俺は命が惜しい。 今回の件からは手を引くぜ」

デイビッドは言う。

サラは少し驚いた。

まさかデイビッドがあっさりと引くなんて。

「デイビッド、手を引くって・・あなた、どうするのよ?」

「おそらく俺たちはこの軍施設から本国へ強制送還だろう。 後は国に帰ってから考えるよ。 せっかく生き残って帰って来たんだ。 人生楽しまなきゃな」

「・・軍、いえ国から監視対象になっているはずよ、私たち。 どうやって切り抜けるのよ」

サラが心配そうな目でデイビッドを見る。

「フフ、ありがとうサラ。 俺たちをどうにかできる人間なんていないぜ。 それにいざとなれば、どこででも生きてゆけるさ。 サラ・・」

デイビッドがサラにゆっくりと近づいて行く。

「サラ、今回の任務について詳しく聞いていないようだな」

デイビッドが真剣な顔をして言う。


「え? 確か、新型コロナウイルスに有効な人工ワクチンの開発に日本の結界が邪魔になっているという話だったわ・・」

サラが話していると、デイビッドが顔を近づけて見つめる。

「サラ、世界人口を調整するって話を知っているか?」

サラは別に驚くこともなくうなずく。

「えぇ、都市伝説ね。 昔に、世界の金持ちたちが世界人口を1/10まで減らして管理する社会を作るという・・」

「今回の任務はその一端だ」

デイビッドが言う。

「ま、まさか。 あれは小説なんかにあるお話でしょ? それにどうして・・ほんとなの?」

デイビッドがゆっくりとうなずく。

「デイビッド、あなたは知っていて今回の任務に参加したの?」

サラの目つきが厳しくなる。

デイビッドがニヤッとしながら両肩をすくめる。

「サラ、そんな怖い顔をするなよ。 確かに知っていたさ」

「デイビッド、あなた!」

サラが語気を強めて立ち上がろうとした。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。 今はそんな気持ちは微塵もない。 ほんとだ、ほんと!」

デイビッドが両手を上げて慌てている。

「あんな化け物がいたんじゃ、俺ではどうしようもない。 それに任務を受けたときには、世界のことなんてどうでもいいって思っていたからな。 こっちに帰ってみると、みんな自分のことばかりの連中だろ? それに、俺たちを道具としてしか見ていない連中だ。 向こうの世界の連中と変わりゃしない。 そしてどこを見ても、金、金、金だ。 そんな人類なんていなくなってもいいって思っていたよ」

「・・デイビッド・・」

「でもさ、ホワイトハウスの周りを魔法結界で覆った時に感謝されただろ? 嘘でもうれしかったね。 それでいい気になっていたのさ。 それが日本に来てみれば、国を覆うレベルの結界だ。 それも何の見返りも求めていないような感じだった。 誰からも評価されないのに結界を張っている。 だってそうだろ? 誰もその存在に関しての情報を知らないんだからさ。 そんな奴もいるんだって思ったら、自分が嫌になったよ。 俺なんて自分がこんな存在になって、超人だって思っていたよ。 だが更に上がいた。 相手は俺たちに存在すら気づかせずに俺たちを始末できるレベルだ。 冗談じゃない、戦って勝てる気すらしない。 おとなしく帰って静かに暮らすよ」

デイビッドは少し興奮しながらもサラに熱く語る。

「そうね・・でも、そんな計画を実行しようとしてたなんて・・許せないわ」

サラの顔つきが険しくなる。

「サラ、計画は始まっているんだ」

「え?」

「この新型コロナウイルスだが、ビリオネアたちが中国や諸外国の研究者たちと一緒に作った人工ウイルスだそうだ。 そして、ワクチンを接種すると時限付きでDNAが破壊されるっていうものらしい」

「そ、そんな・・なんてことを・・」

「でもさ、俺は思うんだ。 人は神じゃない。 いくら計算がうまくできても、そう思う通りにはならないだろう。 今回の件もそうだし、俺たちが存在する時点でイレギュラーだろ? 結局は、策士、策に溺れるという奴だろうね」

デイビッドはコーヒーをグビッと飲む。

・・・

「そうね、デイビッドの話を聞いて、そんなことが起こっているなら私たちも何かしなきゃいけないわね、こんな力があるのだから」

サラが一人つぶやく。

「やめておけ、サラ」

「・・・」

サラは無言でデイビッドを見つめる。

「もしかしてサラ、ビリオネアの連中を始末しようと思っているんじゃないだろうな」

デイビッドが真剣なまなざしでサラを見つめる。

「あんな連中でも、世界中の貧困で苦しんでいる人たちを助けてもいる。 数えきれないくらいの人が助かってもいるんだ。 だから簡単に排除すればいいってものじゃないと思うんだ」

デイビッドの言葉が重い。

サラはデイビッドをしばらく見つめていた。

そして軽く微笑んだかと思うと言う。

「デイビッド・・あなたって結構考えているのね」

デイビッドは両肩をすくめる。


コンコン・・。

「入ります!」

デイビッドたちの部屋の扉が開かれた。

一人の軍人が入って来る。

「間もなく、軍用定期便が出発します。 本国までお送りいたしますので、どうぞお越しください」

デイビッドとサラは軍人に案内されて部屋を後にした。


◇◇


<テツ目線>


俺は会社を早退して帰ってきていた。

課長のお昼ご飯を食べ損ねたのが痛い。

時間は16時頃。


どうやら俺の結界を破壊しようとした奴等は日本から出て行ったようだ。

俺の結界から飛び出して行くのを感じた。

オープンカフェでコーヒーを飲みながら俺は考えていた。

魔法を行使する連中がいる。

あの転移先から帰ってきた連中だろう。

いったいどれくらいの人が転移させられて、帰って来ているのか。

これからも何らかの接触があると思った方がいいだろう。

・・・

レベルを上げたいところだが、こちらではどうすることもできない。

魔族の生活が懐かしいな。

俺は空を見上げて今日の夕食を考えていた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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