18 いったい誰だ?
全く、こんなことをするために俺の能力があるのか?
だが、嫌な気分じゃない。
偽善だな。
俺はそう思いつつも、森ビル前に自転車を止めて取引先の事務所へと向かって行った。
ん?
ビルに入る前にフト後ろを振り向いた。
!!
おぉ、やはり季節は春か。
俺は無意識、いや意識していたかもしれない。
パンツ、見えろと!
短いスカートをヒラヒラさせながら、絶対に見えそうで見えないパンツを履いているであろう可愛い女の人たちが歩いて来るのが見える。
・・・
女の人たちの周りで風が下から吹き上げる。
女の人たちは不意の出来事に、スカートを押さえるための予備知識がない。
少し反応が遅れてスカートを押さえつける。
ピンクと白か!
俺はしっかりと見た。
たぶん俺が無詠唱で風魔法を放っていたと思う。
ラッキースケベか!!
いや違う。
俺がやっただけだ。
女の人たちと俺は目が合う。
俺は片手を挙げて軽く振ってみた。
女の人達は苦笑いしながらもそのまま歩いて行く。
俺も振り向きながら、自分のステータス画面を出して見てみた。
テツ
レベル:44
種族 :人間
HP :435/440
MP :520/540
力 :450
防御 :550
敏捷 :430
技能 :370
運 :67
職業 :聖戦士
スキル:神威
超加速
死中に活
やはりないよな、ラッキースケベ的なスキルや能力は。
いや、ラッキーじゃなく俺が魔法を起こしているから当たり前か。
しかし、超加速のスキルと風魔法を少しだけ使ったようで、MPが20Pも減っている。
・・・
なんで?
俺ってアホ?
ハッ!
もしかして、超加速で女の人の胸やお尻を触りまくりじゃないのか?
・・・
いや、それでは何にも面白くない。
相手がいて、きちんと気持ちいい反応があってこそ楽しいんだ。
ちゃんと相手の許可をもらわなきゃな。
俺は軽く頭を振り、バカな考えを吹き飛ばす。
取引先の事務所へと入って行った。
◇
特に問題もなく仕事も終え、俺は自分の事務所へと帰って来ていた。
時間は10時40分。
「佐藤君、君が移動しているところで事件があったんじゃない?」
課長が歩いて来て言う。
「え? 事件ですか?」
俺にはわからなかった。
そんな事件ってあったかな?
俺が考えていると、課長の横に若い男が近寄ってきて言う。
「佐藤さん、学生が森ビル近くで飛び降りたけどほぼ無傷だったって、ネットニュースやラジオで話題になっています」
横井さんだ。
「飛び降り・・ですか?」
俺は答えつつも、そういえば俺が助けた子がいたなと思った。
大した事でもないので既に記憶から消えていた。
「そうなのよ。 ちょうど佐藤君が出かけていた時間だから、現場に居合わせなかったかと思ってね」
課長が微笑みながら言う。
課長ってそういった話が好きなのかな?
「それよりも、横井君も情報が早いわね。 あ、そうそう、みんなでお昼一緒に行こうね。 私がおごるから」
課長はそう言うと横井と話しながら歩いて行った。
「課長、ゴチになります!」
俺は課長の背中に声を飛ばす。
課長が左手を挙げて軽く振っていた。
!!
突然、俺の身体に不快な感覚が突き抜ける。
これは・・間違いない。
誰だ?
俺の神聖術結界を破壊をしようと試みたらしい。
結果は失敗。
レベル31の魔核を埋め込んでいるんだ。
そうそう簡単に破られるものじゃない。
だが、誰かが干渉したのは間違いない。
結界が破られたり干渉されたりすれば、術者なら誰でもわかる。
俺も例外ではない。
正確な位置はわからないが、この東京方面に張った結界なのは間違いない。
大体の位置は・・羽田空港辺りだろうと言うことはわかる。
完全な空間マッピングはないが、結界内だ。
把握できる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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