16 不活性化ガス?
新型コロナウイルスが消えて1日が経過。
各都道府県などは各自で制限を解除し始めていた。
人はすぐに以前よりも活発に行動し出している。
今までの不自由さに対する恨みでも晴らすかのように、街は人で溢れていた。
時間が経過すればするほど人の動きが活発になる。
そして、テツが結界を張ってから1週間経過。
新しい新型コロナウイルス患者の話は全く聞かない。
ニュースなどでも、コメンテイターなどが勝手に安全宣言などを発信していた。
日常は新型コロナウイルスが広まる以前よりも活発になっているようだった。
全世界でも、日本の奇跡として報道されていた。
ただ、こうなっては日本に行くのは容易ではない。
それぞれの国では未だに新型コロナウイルスが広がりつつあったからだ。
どの国も、なぜ日本において新型コロナウイルスがなくなったのか、話題の的だった。
いろんな話が出るが、ワクチンではなく日本が独自で開発した何かのガスではないかとの話題が持ち上がっていた。
西洋人というのは、何かの結果を出さないと落ち着かない種族なのかもしれない。
答えのない答えもあるだろう。
◇◇
<バッキンダック主席の部屋>
ガチャーーン!!
黒い直通電話の受話器を投げ捨てるように叩きつける。
「クソ! 本当にウイルスをばら撒いて来たのか!!」
バッキンダック主席が席を立ち、机の前に整列している工作員たちを睨む。
工作員たちは震えていた。
ゆっくりとバッキンダック主席が工作員に近づく。
一人一人の顔をじっくりと見つめていく。
工作員の中の1人はその眼力に耐えられなかったようだ。
バタッとその場で倒れて泡を吹いていた。
その姿を見たバッキンダックは少し落ち着いたのか、自分の席に戻って行く。
椅子に座り片手を軽く振る。
工作員たちは敬礼をして、バッキンダック主席の前から退出した。
倒れている工作員も抱えていく。
「ふぅ・・いったい何が起こったというのだ。 わかるかね?」
バッキンダック主席の言葉に一人の年配の男が近づいてくる。
「主席、これは私の推論ですが、やはりウイルスを死滅させるガスが開発されたのではないでしょうか。 あの国では、国の管理がなっておりません。 民間の有志などが無償で行ったのではないかと思っております」
バッキンダック主席は机に両肘をつき、年配の男を見つめた。
「他国もそんなことを言っているようだが、何か知っているようだね」
「はい、私のところでも噂程度にしか情報がなかったもので報告はしておりませんでした。 日本のベンチャー企業が大学と協力してワクチンよりも不活性化ガスを開発しているのではないかとの学生調査員の報告がありました」
年配の男がおそるおそる報告をする。
・・・
バッキンダック主席は目を閉じうなずく。
「なるほど・・そう考えればありえないことでもない。 だが、再度ウイルスを拡散させたはずだ。 それはどう説明する」
「さ、さぁ、私にはわかりかねますが、不活性化ガスの方が効力が強かったとしか思えません」
年配の男の額には、たっぷりと汗が浮き出ていた。
バッキンダック主席も少し考えている。
ガスか・・。
それ以外に答えがないようだ。
あの国の国民はお金よりも大事なものがあることを知っているようだ。
国民には大人が多いということか。
ウイルスよりもガスの効果が上だったのか。
仕方ない。
とにかくまた時間をおいて行わねばならないだろう。
バッキンダック主席は目を開けてうなずく。
この国でも、どうやら不活性化ガスということで落ち着きそうだった。
◇◇
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