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3話-1 婚約破棄しましょう。その1

少し落ち着こうということで、私達の前に飲み物が用意されました。


で、私に渡されたものがこれ??

「あの?これはなんですか?」

紫色の透明の液体に泡がでている。

下の方は緑色だ。

怪しそうな雰囲気がありありとしていますが・・・。


「いつも君が好んで飲んでいるものだろ?

美容に良いとかで・・・。」


ニオイもあり得ない・・・。

鼻の奥にツンとくる。

殿下たちの前には黄色のレモンソーダみたいなものが置かれている。

そっちの方が10倍、いや100倍、1000倍おいしそうです。

「すみませんが・・私も殿下達と同じものをいただいてもいいでしょうか?

ちょっとこれは飲めそうにもありません。」


「・・・ラティディア大丈夫か・・?」

「一口飲んでみて!思い出すかも?」


ジェイデン殿下に勧められて

私は鼻をつまんで飲んでみた・・。


ゲホッ!ゲホッ!


無理です・・・・。

こんなの人の飲むものではありません・・・。

ギブアップです。


「みず…ぅ。水下さい…」

「いつもは我慢して飲んでたのか…。ラティディア嬢健気だね…。」


騙されました。

ただでさえ爆発で怪我をしているのに追い打ちをかけなくてもいいです・・・。


「もう出て行ってください!」

「頭痛い?気分悪い?医者呼ぶ?」

ジェイデン殿下が顔を覗き込む。

「あ、いえ。何だか目の前で何度も何度も本当かとか聞かれても分からないものは分からないんです。それに何だかいじめられているようにも感じます。もう鬱陶しいです。一人にしていただけませんか?」

「ジェイデン・・・本当のようだ。

 一時的な記憶喪失かもしれない。」

「だからラティディア嬢はさっきから言ってたよね?

信じたくないのはわかるけどいい加減に信じてあげたら?

嘘ついているようには思えないよ。」

「確かに。」

もう第二王子の方が物分かりよくていい人です。

「ようやくわかっていただけてよかったです。ケホッ」

まだ喉に何かつっかえているようだ・・・。

もう絶対に飲まない!


「記憶がないということか・・・。」


私は思いっきり頷いた。ようやくか…。


「ラティディアは私の婚約者だから短い期間だけでも記憶喪失は困るな。」

「それじゃあ婚約解消するの?」


ジェイデン殿下は少し嬉しそうに言った。


「ジェイデン、誰のせいでこうなったと思っているんだ。少しは反省しろ!」

「はーい。」

全くです。あまり反省の色は見えませんね。

二度と同じことが起きないようにしてください。


そうそう!婚約破棄で大丈夫です。

こんなわからない状態で国の王妃なんてできません。

それに何やらあなたは私が嫌いなようですし

そんな嫌々結婚していただかなくても大丈夫です。

ずっとそんな顔でいられたら幸せもどっかに逃げて行ってしまいそうです。

私はそれでいいような気がします。


「どのみちそのつもりだったんでしょ?ちょうど良くない?」

ジェイデン殿下か言った。

もともと婚約破棄するつもりだったんですか?

それならばこちらも容赦はいりませんね。


「こんな何もわからなくなってしまった女が婚約者じゃ殿下も困りますよね。

ぜひ婚約を破棄してください。」


少し寂しそうにしてみる。


「そうだよ。今なら婚約は簡単に破棄できるよ!」

「私からもお願いします。」


そうそうジェイデン殿下。いいアシストです。


「ん…そうだな。」

腕を組んで考え始めた。


「いや、しない。」

「はひ?」

「…したがっていたじゃないか?」

「まさか第二王子の実験の失敗の爆発に巻き込まれて頭を打って5年間だけ記憶を無くしました。

 だから婚約破棄します。で済まされると思うのかい?」


確かに・・・。説得力あります。


「大丈夫だ。記憶が戻るまではこのままだ。」


いえいえ!!

戻らない場合はどうするのかも考えた方がいいと思います。

戻らなかったらどうするんですか!


「ひとまずラティディア。今日は泊っていけ。宰相には連絡をする。怪我をした婚約者を包帯を巻いたまま返したとなっては体裁が悪い。」


体裁ってなんですか?

あなたは一度でも私の体のことを心配しましたか?

少し労わりましょうか。

婚約者と言っていますが全然愛情なさそうですよね。

やはり婚約破棄してもらいたいです。


今日泊っていくとかあまり気がすすみません。

頭も先ほどより痛くなったような気がします。


できればあなた方が邪魔なので早く部屋を出て行ってもらえませんか?

さっきも言いましたが私は一人で考えたいです。

もう少し人の言葉を聞いていただけませんか?


「しかし困ったな。」

「本当に申し訳ありません。ご迷惑おかけしてしまい…。」

「は?」


もういいです!


「あの、私はどんな子だったのでしょうか?」

「少しわがままな「ジェイデン!」


あら、かなりわがままな子だったのですね。

ん…記憶がない5年間の私は何をしていたのでしょうか?

何か考えると頭にモヤがかかったようだ。


「ラティディア嬢、無理に思い出さない方がいいよ。

頭を打っているんだ。少し寝た方がいい。なんか顔色よくないよ。眉間にシワもよってるし…」


あら第二王子の方がやっぱりいい人じゃないですか。

好感度マックスです。

エディシスフォード殿下と比べるのが間違っているのかもしれません。

この人の印象はマイナス方向に振れていますのでこの人と比べると誰もがプラスしかないですね。


「ジェイデン殿下ありがとうございます。」


でも私の事を心配してくれることが嬉しかった。

思わず自然と笑顔で返事をした。


「ラティディア嬢、本当にごめん。俺のせいで。何でもするから言ってね。」

「大丈夫です。本当に気にしないでください。でもジェイデン殿下は怪我はなかったんですか?」

「俺は咄嗟に防御魔法使ったからね。」

「よかったです。」

何だかジェイデン殿下の前だと普通にできる。

この人は私のこと嫌ってはいないみたい。


「クッキー食べるかい?」

「いただこうかな?」

「飲み物は?」

「んー、さっきのは嫌です。」

「じゃあまだ飲んでないから俺のやるよ。」

「いいんですか?まだ喉がガラガラするんです。

変なもの飲まされたし。」

「 その変なものをいつも飲んでいたけどな。」

「人の飲む物ではありません。」

「んー。じゃあ記憶なくす前は人じゃなかったんだ?」

「ふふふっ、じゃあ魔女だったんですかね?」

「まあそんな雰囲気でもあったかな?」


ジェイデン殿下は話しやすい方だ。

軽い調子がいいのか気が楽になる。


「ラティディア?」

何かエディシスフォード殿下が変な顔をして見ていた。

私が笑うのが不思議なんですか?

私だって笑います!

もうこの人、嫌いです!無視です!無視しましょう!


私はジェイデン殿下から貰った飲み物を飲んだ。

「美味しいです。何かシュワシュワします。」

「俺が作ったんだ。」

「すごいです!どうやって?」

「魔法で圧力を加えて二酸化炭素を水に溶かすんだ。」

「はい?ちょっと待ってください。圧力を…?二酸化炭素?」

「すまない。少し専門すぎたか。」

「いえ、私の勉強不足です。すぐに勉強しますから今度教えて下さい!何だか楽しそうです。」

「そうか。いいよ。ラティディア嬢の魔力なら問題なくできるよ。」

「そうなんですか?」

「だって君は俺と属性同じだから簡単だよ。」


ん?魔法の属性?11歳ではまだわかってなかったわよね?

「私の属性ってなんですか?」

「ほら。」


ジェイデン殿下は私の持っているコップに向けて少し手を近づけた。

カラン・・少し溶けかけていた氷が入っていたがそこには新しい氷があらわれた。


「氷???」

「そうそう、水の上位魔力、氷属性だ。」

「私上位魔力なんですか!!すごい!今のどうやってやるんですか?」

「ラティディア嬢はこのくらい簡単にやっていたけど記憶ないとわからないのか?

単に指先に魔力を集めるだけだよ。」


私は少し頑張って指先に力を入れてみた。

あ・・・。私の目の前のコップが全て凍ってしまった・・・。

「力入れすぎ。氷出すくらいなら出てって考えるくらいでいいよ。」

「そうなんですか?溶けるまで飲めませんね・・・。」


私が残念そうな視線で凍ったコップを見ていたら

ふっとコップ全体が弱い赤い炎で包まれた。

その炎が消えたと思ったらちょうど程よくコップの周りの氷が解けていた。

「あら?」

私はエディシスフォード殿下のいる方向を見た。

確かそっちから炎がきたような気がした。


「これで飲めるだろう。」

「ありがとうございます。あの?これは????」

「兄上の魔力は火属性なんだ。」

「すごいです!」


せっかく褒めてあげたのに

機嫌悪そうにエディシスフォード殿下は腕を組んで見ていた。

何だか話に入れないから仲間外れにされたと思ってる?


そして楽しく話していた会話をブチ切るように冷たく言った。

「ジェイデン、お前は父上のところに行って報告してこい。

ひとまずラティディアの記憶のことは言うな。いいな。」




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