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【かなり後の話ー1】王弟殿下の言葉を届けよう。

前半→息子視点

真ん中→娘視点

後半→翔視点


細かく変わります。

かなり後のお話です。

「氷結翔って知ってる?」

「はぁ?」


大学の構内で頭を紫色に染めて瞳に水色のカラコンを入れたいかにもヤバそうな奴に声をかけられた。

俺より少し下か?

大学生にしては幼くないか?


「知らない。」


あまりお近づきにならない方がいいだろう。

知らないと答えておく。


しかし…父さん…何したんだ?

やっかいな事に足突っ込んでないだろうな。


家に戻りその話を母さんにした。

茶色っぽいすこし癖毛の髪をふわふわさせた母さんの目は驚きで大きく開いた。

しかし振り向いたのは一瞬で夕飯を作っている母さんは再び流し台の方を向いた。


「何?新手のナンパ?」

夕飯のエビフライを1本手に取り口に入れながら妹が言った。


「あー?男だぞ!」

「まあ、そっち系の人かも。ふふ、あつっ」

「俺はそんな気は無いぞ!それに相手は父さんの名前を言ったんだ!」

「あつっ!」

「つまみ食いすんなよな」

「だってフライは揚げたてが1番美味しいのよ。あつつっ」


「ねぇ、新。その人って…」


水道を止めて手を拭きながら振り返った母さんが話を始めた時、玄関がバタンと開く音がした。

「お父さん、帰ってきた?」

「あら、早いわね。」


妹の未来がダイニングの椅子から立ち上がりリビングのソファーに移った。


俺が座っている後ろ側のドアが開いて父さんが入ってきた。


「「お帰り」」


俺と母さんの声が重なった。

ソファーから身を乗り出して未来が遅れて

「お帰り。」

と、言った。


「ああ、ただいま。何だ?みんな揃って?」


「それがね…「お兄ちゃんが男にナンパされた話をしてたの!」


俺の言葉を遮ってソファーの背に腕を突いて未来が嬉しそうに目をキラキラさせながら言った。


「はぁ?おい…新…お前…。ああ、そうか…。でも、いや…」


すこし戸惑ってから俺の方を見た父さんは

「まあ、人それぞれだ。新。隠さなくてもいいんだ。ちゃんと言ってくれ。理解はするつもりだ」

と、言った。


「だから未来の勘違いだから!」


母さんがくすくす笑いながら父さんに近づいた。


「それが少し気になることがあるの」


父さんは首を傾げながらネクタイを緩めた。


「気になる?」

「その人、紫色の髪に水色の瞳だったんだって…」

父さんがその言葉を聞いた途端俺の目の前の机に手を置いた。


「新!そいつはどこにいるんだ!おい!!」

「はぁ?」


その勢いにすこし後ろに椅子を引いた。


「知らないよ。父さんを知らないか?って言われただけだよ」

「は?」

「だから大学で氷結翔を知ってるかと聞かれただけだよ。」

「で!」

「えっ…知らないって答えた。」

「はぁ!!なんでお前そんな風に答えたんだ!」


おい、ちょっと待て。

何で父さんにこんなに呆れられるんだ?

俺は何をしたんだ?


あ、いや。

そもそもあいつは父さんの知り合いなのか?


「あ、だって突然身内の事聞かれたならその対応当然じゃない?」

未来が助け船を出してくれた。

「だよな!」


少し声のトーンを落として父さんが

「すまない。つい…で、どんな奴だった?」


「ん…年は俺と変わらないかな?少し下?で、とにかく深い紫の髪なんだよ。パッと見は黒に近いかな?かなりインパクト強いよ。水色のカラコンなんてしちゃって。知り合い?」


父さんは母さんの顔を見た。

母さんはこくりと頷いた。


「そう思う?」

「ええ、多分そうだと思うわ?」

「本人かな?」

「でも…違う気がするわ」

「だよな…」



全く俺たちにはわからない会話だが、二人の間では成立していた。


「とにかく着替えてきて。ご飯食べましょう。」



※※※


「ねぇ!氷結美月って知ってる?」

「はぁ?」


大学に隣接する高校に通う私はある日、声を掛けられた。


ピンク色に染めた髪がフワフワ揺れている。

ニコニコとした笑顔で話しかけられた。

私より背は低いが年上みたいだ。

水色の大きな瞳がキラキラしてる。


「しっ知らないわよ!」


慌ててそう答えた私は家にいそいで帰った。


いやいや、関わらないのが1番だわ。


「ねぇ!お母さん!何したの?」


父の書斎で本の整理をしていた母を見つけるなりそう叫んだ。


「あ、お帰り。早かったのね。で、突然何?」


「だから、ピンクの髪の女の子にお母さんのこと聞かれたの!ピンクよ!ピンク!」

「ピンク??」

「そう!お母さんを探してるみたいなのよ!」

「あ、んー?ピンク?まさかね…でも彼女は…」


「何だ?二人揃って何しているんだ?」

「「あ、お帰り」」


父がきょとんとして開いた扉の前に立っていた。


「それが・・・未来が今日「ピンクの髪の女の人にお母さんを知らないって声をかけられたの!」


私は母の言葉を遮って興奮した状態で父に話した。


「美月さんのことを?」


父は母のことを美月さんと呼ぶ。

父の方が年下だからなのか?

昔からそう呼んでいたらしいから今更変えれないのか?


「ピンクの髪って・・・」

「ああ、美月さんは知らないんだっけ?」

「知らないって?」

「ヒロインのこと」

「はい?」


母は首を傾げた。

しかし私の方がもっと首を傾げたい気分だ。

全く話が見えない。

以前から感じていたが父と母の間には何やら私達には言えないことがあるようだった。


まあ、二人には二人なりの世界があるだろうからあえて詮索はしないでおく。


私は父と母の顔を順番に見た後、書斎から出た。


***

「で、ヒロインが何なの?」

「実は…」


俺はカーラが実は本当の子爵の子供だったことを美月さんに話した。


「あ?えっ?えー!!」

「…二人がちょうど視察に行っていた間のことなんだけどな。」

「なんで今まで言ってくれなかったの?」

「だって、美月さんは何も言わなかっただろ?」

「えっ?何も言わなかったのはあなたの方じゃない?」

「はっ?」

「えっ?」

「はぁ…」


俺は机に突っ伏してため息をついた。

美月さんが少し笑ったような声がした。


カチャって音がした。

机から少し顔を上げた。

美月さんがお茶を淹れてくれた。

そして俺の向かいのダイニングテーブルの椅子をひいてゆっくり座ってにこりと笑った。


「何だ…二人とも言うタイミングがなかっただけなのか…」

「…そうみたいね」

「話したくないわけじゃなかったんだ」

「ええ…私も勘違いしてたわ。あなたが話したくないんだと…」

「あー、よかった。てっきり悪役令嬢なんて演じてたなんて恥ずかしくて闇に葬りたいのかと思ってた」

「…一応黒歴史かしら。あまりそれには触れて欲しくはないかも…」

「確かに頑張っていたね。はははっ」

「もう!笑わないで!!」


しばらく二人で思い出話をしていた。

実はあの時はああだったとかこうだったとか…。

今となっては大声で笑い飛ばせるくらい楽しく、懐かしい思い出だ。


「しかしまさかヒロインが入れ替わっていたなんてね。」

「まあ俺も驚いたよ。」

「まんまと王太子は騙されるところだったのね。」

「まあ、馬鹿正直な人だからね」

「でもやはり小説なのかしら。入れ替わったヒロインはちゃんと王太子を捕まえていたけどね」

「あんなのが王太子妃なんてありえないじゃないか」

「ん…そうだけど」

「まあ、いいじゃないか。みんな幸せになってるんだから」

「ええ…第二王子も小説通りってこと?ちゃんとヒロインに恋してしまったんだから」

「そういうことになるか」

「みんな元気かしら?」

「多分」

「会いたいわね…」

「ああ…」


何か忘れてやしないか?

何だ?


ん?何からこの話になった。

どうして…?

ああ、そうか新と未来が…

あっ…


「「ああっー!そうだ!」」


二人して同時に叫んだ。





お読みいただきありがとうございます。


今書いている話が全く進まないので

気にしていたところを書いてしまいました。


まだ、後半は大まかにしか書いていないので続きは少し後になります。

お待たせしますがよろしくお願いします。

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