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2話-3 記憶喪失になりました。その3

「ラティディア嬢!」


また、誰か来た。

今度は紫がかった黒っぽい髪に水色の瞳をしたをエディシスフォード殿下より少し背が低く、私と同じくらいの年の人だった。

紫の髪に水色の瞳・・・それだと私と同じ年の第二王子、事故の当事者の第二王子ジェイデン殿下ですね。


「よかった!あー大丈夫そうだ。目覚めないとか、大怪我をしたとかだったら大変だった。

父上や兄貴に怒られるところだったよ。」

「ジェイデン!そういうことではない。今回はラティディアでよかったが他の人だったら大変だったぞ!あとからきちんと父上には怒っていただくからね。」

「えー!」


何だ。こいつは!

自分が怒られることが嫌とかしか言ってないじゃない。

そこはもっと私を心配してよ!

それに素直に怒られて下さい。


更にエディシスフォード殿下!私ならよかったって何ですか!

王太子って失礼な方でもなれるんですね。


私はジェイデン殿下をチラリと見た。

すると何やら心配そうに少し顔を下に向けて上目づかいに見ていた。

私が少しニコリと微笑むとフッーっと小さくため息をついた。

あら?口ではあんなことを言っているけど実は私のことを心配してくれているようだった



「エディシスフォード殿下、こちらは第二王子のジェイデン殿下でしょうか?」

「はっ?ラティディア嬢、何言ってるんだ?」

その紫の髪の第二王子だと思われる男は呆れた顔をしていた。

「そんな冗談面白くないから。君だと特に。」

「わからないそうだ。」

エディシスフォード殿下は首を横に振った。

「はっ?」

かなり驚いた様子だった。

そうだろう!自分が起こした爆発事故で人の人生が変わったんだ。反省しましょうか。


「わからないってどういうこと?」

あら?何かかなり動揺していないか?

私の事心配しているっぽい。

もしかして彼は第一王子とは違っていい人かもしれません!


「すみません…あなたがどなたが私にはわからないのでエディシスフォード殿下に聞いたのですが…。」

「ラティディア嬢…冗談はやめようよ。本当に何を言っているんだ?」

「あまり私は冗談をいうタイプではないとは思います。」

「確かにそうだけど・・・。」

「だから、あなたが誰なのかわからないと言っているだけです。よければあなたの口から教えていただけないでしょうか?」

彼は何も言わなかった。

ただ少し震えていたような気がする。



私の前には金髪のエディシスフォード第一王子が座っている。その隣に紫髪のジェイデン第二王子が立っている。

王族二人を前に私はどうしたらいいのでしょうか?


「で、5年間のことを何も覚えていないと・・・」


もう何度確認されるのよ!

いい加減に認めてください。


「はい。」

「私が婚約者であることも覚えていないと?」

「はい????婚約者?!誰が?誰のですか??」

「君が私のだが。」

「はぁ~っ?」

私は驚きのあまりベッドの上でのけぞって落ちそうになった。

顔はかなり不細工になってしまったと思います。


「そんなに驚かれるものなのか・・・。

そこまで引かれるとなんだか逆に傷つくな。しかし本当のようだな。もう一度言おう。

私は エディシスフォード=ハーディン=リルクラード。18歳。この国の第一王子だ。

隣はジェイデン=ハーディン=リルクラード。16歳。第二王子。

そして君はラティディア=サーチェス=ストラヴィー公爵令嬢。16歳。私の婚約者だ。」


「ん?で、ダリアさんって誰ですか?」

「は??」

「兄上…いつそんなことまで教えたの…」


ジェイデン殿下がかなり呆れていた。


しかしエディシスフォード殿下といい、ジェイデン殿下といい、意識が戻って数分なのに何度その驚きの表情をみせられるんでしょうか?

それだけ衝撃なことばかりなんですね。


「あの・・・この5年間私はどうだったんでしょか?」

「悪役れい・・・「ジェイデン!!!!!!」


エディシスフォード殿下がジェイデン殿下の口をふさぐ。


悪役れい…悪役令嬢でしょうか?

私は公爵令嬢で王太子殿下の婚約者で悪役令嬢。

いろいろ肩書があるんですね。


「本当に何も覚えていないのか??」

「はい?もう!あの失礼ですが何度も何度もしつこいです!

しつこい男は嫌われますと先ほども言いましたよね。

この状況で嘘を言って私に何の得があるんですか!ったく!」


頭に手を当てた。

しまったたんこぶを触ってしまった。

「痛っ」

「ラティディア嬢、大丈夫?本当に俺のせいで申し訳ない。

額も倒れた時に何かにぶつけて切れてしまったんだよ。

顔に傷でも残ったらどうしよう。」


ジェイデン殿下が慌てて私のそばにきた。

「え・・・?ラティディア嬢?そのペンダント・・・?」

ジェイデン殿下の視線が胸元にいく。

何やらジェイデン殿下は胸にかかっているペンダントが気になるらしい。

私は三日月の形でレモンイエロー色の石が入っているペンダントをしていた。

私も記憶が無いのでこれが何かわかりません。

私も一瞬見た。

顔をあげたら驚いた表情のジェイデン殿下と目があった。

「すみません…何もわからないので…」

ジェイデン殿下はすっとペンダントに手をかけた。

一瞬キラリと明るい黄色に光った。

「あ、ごめん。知っているものに似てたから…」

ひとまずこれについて説明することもできないのでスルーさせていただきます。


「気にしないでください。先ほども言いましたが本当に殿下のせいではないのですから。」

「は??」

またエディシスフォード殿下が変な顔をする。


気にしなくていいって言ってるだけでしょう!!


「ありがとう。ラティディア嬢。」

「お前は少しは気にしろ、ジェイデン!また変な魔法薬作っていたんか?」

「だって頼まれたんだよ。失敗しちゃったけどね。」

「エディシスフォード殿下。ジェイデン殿下のせいではないのであまり叱らないでください。

ジェイデン殿下はみんなのために一生懸命に頑張っているのですから。」

「は!!!!!!」

先程よりさらにさらに驚かれた。

「だってジェイデン殿下は誰かに頼まれた薬を作っていたんでしょう?

人のために頑張っているんですもの素晴らしい人ですね。」


エディシスフォード殿下の顔がもう完全に呆けています。


しかし一体ラティディアと呼ばれる私はこの5年間どんな行いをしていたでしょうか?

何だかあまりよくないような気がします。


ジェイデン殿下が私の手を突然握った。

「ラティディア嬢!わかってくれるのか!そんなに褒めてくれるなんて感激だよ。

みんな何やっているんだって白い目で見るんだ。もっと褒めて!」

「あ、え・・・すごいと思います。」


ジェイデン殿下って人懐っこいですね。

でも悪い気はしません。

私の前で嫌な顔と驚いた顔しかしない誰かさんよりは100倍良い方です。


「ラティディア、ひとまず何か飲むか?落ち着こう。」

私は落ち着いているつもりですが・・・。

落ち着かなければならないのはあなたの方です。



お読みいただきありがとうございます!


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