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2話-2 記憶喪失になりました。その2

その男の人は今までの中で最大のため息を吐いてから頭を抱えた。


「記憶喪失???」

「多分そうだと思います。11歳の時に爆発にあった時からの記憶が思い出せないんです。」

「多分今回の爆発の衝撃でそうなったんか。はあ・・・。」


「あら、猫?」

私はベッドの足元で鳴いていた猫を抱き上げた。

「あら?あなたも怪我をしているのね。大丈夫?

やだ、舐めないで。くすぐったいわ。」

「君はその猫を抱きしめて倒れていたんだ。」


私がひとまず今包帯を巻いてベッドに寝ることになった経緯を教えてくれた。


私は今日、国王陛下に呼ばれてここに来たらしい。

そして陛下の仕事が終わるのを待つため王宮の庭をふらふらとしたようだ。


女の子一人ふらふらできる王宮の警備は大丈夫なのだろうか?少し心配してあげよう。


その時に庭にある第二王子のジェイデン殿下所有の魔法小屋での爆発に巻き込まれたらしい。

王宮から離れた庭に王子専用の魔法小屋があるところを見ると多分このジェイデン殿下というやつはいつもやらかしているのだろう。


その爆発の爆風にふきとばされた衝撃で地面に叩きつけられて頭を打って意識を失ったようだ。

だから頭がズキズキ痛くて、体全体がギシギシしてるのか。


「ジェイデンにはいつも結界を張るように言っているのだが。今度からはもう少し範囲を広くするように言ってある。」

「ふらふらしていた私が悪いんです。」

「へ??」


彼はびっくりした顔をした。

「ですから、私が悪かったのだと言っているんです。

第二王子様のせいではありません。しかし今後のためにも結界の案は良いと思います。

あなたが謝る必要もありません。そういえばあなたが誰かまだ聞いていませんでした。」


「私はエディシスフォード=ハーディン=リルクラードだ。」

「へ?」

エディシスフォード?リルクラード?リルクラード王国の第一王子?つまり王太子だ?

確かに・・・金髪に焦げ茶色の瞳。げっ王太子殿下だ!

最後に会ったのが・・・というか今の私の記憶にあるのは確か12?13歳?だったかしら。


「えっーーー!!」

「…本当にわからないのか?」


腕を組んで嫌そうに立っている姿を上から下まで見た。

髪は金。

瞳はこげ茶。

確かに王太子殿下の髪や瞳の色と同じです。

顎の線がすっきりして、目も切れ長になり、

背もかなり高くなっています。声も低い。

前髪は右で少し分けていますが確かに面影はあります。


あの笑顔の爽やかな可愛い王子様が大人になっています。

くりくりした目はどこにいったんですか?

この太々しい態度はどこから来たんですか?

憧れていたのにガラガラと何かが崩れていきます…。

私の初恋はこんなに目つきの悪い人になってしまったの?


「じゃあ今は18歳?何か少しふけました?」

「成長したと言ってもらいたいな!」

「あんなに可愛く笑っていてみんなに天使のようだと言われていたのに今や嫌な顔ができる大人になってしまったんですね。」

「は?悪かったな!」

「年月って怖いですね。年は取りたくありません。」

「って君も5歳年取ってるから!」


しまった王太子殿下に失礼だったかしら?

思ったこと言っただけなんだけど。

「申し訳ありませんでした。数々の無礼な言葉、態度失礼いたしました。」

「何か本当に申し訳ないって思っている?

まあいいけど、君はあのラティディアだよね?あの。」


なんで私の名前に”あの”いう修飾がつくのでしょか?


「そうだと思います。」

「あの、ダリアをいじめていたラティディアだよね?」

ダリア?いじめていた?

「はい?ダリアって誰ですの?」


エディシスフォード殿下は驚きを通り越してもう世界の終りのような顔をしていた。


「ジェイデンはわかるか?」

今回の事故の加害者、第二王子のジェイデン殿下ですか?


「申し訳ありません。先程から名前が出ていたのと五年前の記憶でわかる程度です。紫っぽい髪で私と同じ年でしたよね?確かクラスが一緒でしたね。入学式でお会いして1週後にその後に今回の爆発事故に巻き込まれたみたいなのでそれ以降は分かりません。

多分私の記憶は5年前までしかないので今お会いしてもすぐにはどなたなのかわからないと思います。」

「本当に、本当にわからないのか?」

「だからさっきからそう申しております。」

「本当に?」

「だからそうです!もうしつこい男は嫌われます!」


エディシスフォード殿下と思われる人はまた大きくため息をついた。


「しかし私は何で国王陛下に呼ばれたんですか?何かやらかしましたか?」

「ん・・確かにやらかしていたね。」

「え!!!私は打ち首ですか?」

「は?」

私は思わず勢いで王太子殿下の胸倉をつかんでしまった。

「あ、すみません・・・。」

「いや、私にもわからないんだ。後で陛下に聞いておくよ。」

「ありがとうございます。」


「ねえ?本当に君はラティディアなの?」

「なんですよね?あまり実感はわきませんがそうではないのですか?

それとも人違いなんですか?あなたが違うと言えばそうしますが・・・。」


抱いていた猫が私の胸によじ登ってきた。

「きゃっ!ネコさんダメ。じっとしてて。あなたも怪我しているんだから。暴れないでってやだ。もう。」

「ミィ、おいで」

王太子殿下が猫に対して手を出したがミャンとだけその猫は鳴いて私の顔の付近をかわいい肉球でフニフニ触ってきた。

「あら?あなたのネコさんでしたか。結構歳かしら?」

「そうだね。飼ってから7年か8年になるのかな?」

「ふふ、ミィっていうのね。だからくすぐったいからやめて。」

「君は猫は嫌いだと思っていたよ。」

「え?私嫌いだったんですか?結構好きなはずですが・・・。あら?」

私はじっと猫の顔を見た。

「あら?あなたはあの時のネコさんでしたか?あんなに小さかったのに。」

「覚えているのか?」

「だってこの目の少し上にちょっと変わった三日月みたいな模様があるでしょう?

やだ、元気になってよかったです。ふふふ。だから舐めないで・・。くすぐったいって。」


「何がどうなっているんだ?」


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