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13話-4 女主人公《ヒロイン》諦めない その4

「エディシスフォード殿下!つまり最後の思い出作りでラティディアがねだったんですね。仕方ないので今回は退きます。お気をつけて行ってきて下さい。」


ダリア様、引きずられながらもがんばりますね。

周りに聞こえるようにそんな大きな声で言わなくても・・・。


「勘違いしないで欲しい。私がラティアと一緒にいたいと頼んだのだ。私がついてきて欲しいと頼んだのだ。最後にもならない。」


エディシス様が大声で叫んだ。


当然周りはざわついている。


またエディシス様が私のこめかみにキスをした。

もう嫌です!!


ダリア様は私をキッと睨みつけた。

退かないってことね。

私もこんな針の筵みたいな状況とラブラブ作戦は精神的に辛いので熨斗をつけて差し上げたいところですが

なんせ熨斗を付けられる本人が嫌がっております・・・。


「ほらラティア、君からもキスして。」


何てこと言い出すんですか!

それもこんなに大勢の前で!!

そんなラブラブなんです作戦を私にも振ってこないでください。


「いやだな私のラティアは恥ずかしがり屋で。」


私のってつけないで下さい。

まだあなたのものではないです。

エディシス様が私の腰に手を回す。

今度は耳元にキスをする。


いや!何だかどんどん艶めかしくなってない?

だから恥ずかしいからやめてって!やめて!


「いつも夜はかわいらしくキスしてくるのに・・。」


してません!

だから!この明るい真昼間の大広間で何言ってるんです!

これ以上言うとお子様禁止になってしまいますよ!


「ほら、ラティア。」

・・・ん・・・・私は口がへの字になっていた。

思い切ってエディシス様の頬に一瞬唇をくっつけた。

そうキスをしたんじゃなくてくっつけただけだ!


私は真っ赤になって下を向いた。

もう嫌!無理!!


すると突然エディシス様が私の腰を引き寄せた。

あ、いや!この展開は無理!!


エディシス様は私の唇に軽くキスを落としてから

お姫様抱っこをした。


「エディシス様!あ、やっ!」

「大人しくしてないと落ちるよ。」


私はエディシス様の首に手を回して顔を埋めた。


〝やっぱりラブラブじゃないか〟作戦は成功したんでしょうか?

もうやめましょう。


「貴方は私が好きだと言ったのに!私を王太子妃にしてくれると言った!嘘つき。」

「それは何度も言ったはずだ。身分だけしか見てない人には務まらないと。君には無理だ。

私の言葉を理解できないほど王太子妃にしがみついている人にはその地位はやれないと申したはずだ。」

「ラティディアだって無理なはずでしょ!」


私を睨むその目に恐怖を感じた。


「彼女は大丈夫だ。私は彼女以外考えられない。」


エディシス様がまた私の頬にキスをしてくる。


「何よ!私を弄んだだけなの!離せ!

何するのよ!私は王太子妃になるのよ。離しなさい。」


…彼女がこんなになったのは私のせいだ。

私が悪役令嬢なんてしなかったら彼女はこんな夢を見なかったかもしれない。

下を向いたまま、ぎゅっとエディシス様に回す手に力を入れた。


「ラティア…気にするな…。」


あら?エディシス様は少しレベルアップされました?

私の気持ちを察して心配くれています。

なんだか嬉しいです。


「エディシス様…大丈夫です。ありがとうございます。」

「ラティア…」


また私の頬にキスをする。

一体何回するんだ!

もうやめて下さい…。


「何してる!さっさと連れて行け!」

「私は諦めないから!絶対に王太子妃になってやるんだから。」


唇をかみしめながらダリア様は騎士様たちに連れていかれた。

私はそんなダリア様の姿をずっと見ていた。

私がもう少ししっかりしていれば…。

もう少しエディシス様に対して違う対応をしていたら…。

全て私が引き起こした結果。

彼女は被害者だ。


私は加害者だ…。


下を向いてエディシス様の胸にトンと顔を埋めた。

泣きそうだ…。


「ラティア、大丈夫。」

「申し訳ありません。」

顔を上げた。

「泣きそうな顔をしている。また何か一人で考え込んでいる。」

「だって…」

「考えるなら私のことにして。」


今度は首元にキスを落とされた。

慌てて首に手を当てた。

「エディシス様!!もういい加減にして下さい!

人前は嫌です!」


しまった!

エディシス様がにやりと笑った。


「人前じゃなきゃいいんだね。

さあ、早く馬車に乗ろうか。馬車の中なら二人っきりだ。」


やはりそうきますか…。


ハリベスト様がダリア様が連れていかれたのを見届けて再度エディシス様の前で頭を下げた。

「本当に申し訳ありません。部下の不徳の致すところはわたくし騎士団長の不徳でもあります。

どうか私にも処罰をお与えください。」

私は首を振った。

こんな状態になったのはこの一か月くらいの間の出来事なのでみんに周知していないので無理です。


「今回は見逃してあげられないのですか?

だってそもそ私が悪かったのですから・・・。」

「ハリベスト、どうも私の婚約者は優しくてね。今回はおとがめはなしとする。

しかし今後同じようなことがおきたらその時は覚悟をするように。出発の時間が過ぎてしまった。さあ行くぞ。ハーデス用意をさせろ。お前たちは退け。」


ハリベスト様が立ち上がった。

「ラティディア様、ありがとうございました。」

深々と頭を下げた。

「ハリベスト様・・・お騒がせして申し訳ありませんでした・・・。」

「ラティア?何謝っているんだ?君は悪くないじゃないか。」

「あ、いえ。でも・・・。きゃっ!エディシス様、何を!」


またキスされた。

いやいや何回するんだ!

もう嫌!!


なぜかラブラブ作戦は未だに実行されているようだ。


「もうラティアは可愛すぎる。もう少し威厳をもったらどうだ。仮にも王太子妃になるんだ。」

顳顬にキスされた。

「なるべく頑張ります・・・。エディシス様・・・なので降ろしてください。」

恥ずかしい。

「まだ、顔色が悪いよ。」


私は殿下にお姫様抱っこをされたまま馬車に乗り込んだ。

ウマがヒヒンと鳴いたと思ったら馬車がゆっくり進み始めた。


私は殿下と向かい合わせに座っていた。

殿下は窓に手をのせて外を見ている。

ジェイデン様があきれた顔で見送っていた。

カーラはなぜか楽しそうだ。

昨日はなぜか新しい下着を広げて楽しんでした。

だから・・・そっちの期待ですか。

ハーデス様は馬に乗り馬車の隣を進む。


私は婚約破棄されて追い出される予定だったのに

なぜこんなことになってしまったのだ。


私がそのことについて考えていたらエディシス様が心配をして声をかけてきた。

「ラティア…私は君がいいんだ。」


ふわりと柔らかいものが頭に降ってきた。

いつの間にかエディシス様が私の隣に座りなおしていた。

彼の手が私の頭に置かれてた。

私はクンっと彼の肩に引き寄せられた。

「少し寝るといい。そうすれば考え込まないだろう。そんなに遠くないからひと眠りして起きる頃にはついているはずだ。」

その優しい言葉に少し落ち着いて私は目を閉じた。


エディシス様の言う通り目を開けるとそこは活気のある港町だった。

海が目の前にある。

「起きたか?」

すぐ隣にある整った顔に思わず赤くなり後ずさりをした。

「も、申し訳ありませんでした。」

「大丈夫だ。気にするな。」


人々がたくさん集まる大通りを抜けて馬車は今日お世話になる辺境伯様の屋敷まで走った。


馬車を降りる際はちゃんと殿下が手を差し出してくれる。

何だかどきどきする。

だってやっぱりさっきはかっこよかった。

なんやかんや言って彼は王太子なのだ。

それが私のためだと思うと嬉しい。

顔がほころんでしまう。


やだやだ私…エディシス様にデレデレじゃない。

彼の側にいたいと思った。

でもなかなか気持ちの整理がつかない。

それでも彼を見ると…彼の言葉を聞くと

心が暖かくなる。自分が彼に惹かれているのがわかる。


いけない、いけない。平常心!!


エディシス様がさりげなく私の腰に手を回した。

辺境伯様がニヤついている。


「仲がよろしいんですね。何だかお二人の雰囲気が柔らかいですね。」

「ありがとう。」


エディシス様は私を見て嬉しそうに笑った。

私もその顔に笑顔で返した。


彼が笑うと胸がギュッとする。

胸が熱くなる。嬉しい。

これが好きって言う気持ちなんだ。

愛しいって言う気持ちなんだ。


って…さっきからそんなことばかり考えているわ。

やだやだ。

私は真っ赤になって一人バタバタしていた。

隣でエディシス様が首を傾げた。


港町だけあって魚介類のおいしい夕食を食べ終わり部屋に戻ろうとしたら大変なことに気づきました。


「あの?エディシス様???」

私は部屋に入るドアの手前で素朴な疑問を投げかけた。

「私の部屋はどこでしょう?」

「は?」

「は?ってですから私の部屋はどちらでしょうか?」

「ここだが?」

「ここって?だってここはエディシス様のお部屋でしょう?」

「たしかにそうだが・・・。」

「だったら私の部屋ではないですよね?」

「いや、君の部屋だ。」


・・・やっぱりそうなんですね。

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