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13話-3 女主人公《ヒロイン》は諦めない。 その3

「ラティア、大丈夫か?」


私は視察のため港町リングデルドに向かうエディシス様と一緒に広場に立っていた。


しかし少し気まずい・・・。

エディシス様が心配するはずだ。

使用人たちがすごく怖い目つきで私をみていた。


「殿下はなぜストラヴィー公爵令嬢と一緒にいかれるんだ。」

「婚約者だから仕方ないんじゃないか?」

「無理やりついていくって話よ。」


みなさん噂話はもっと小さな声でするか本人のいないところでお願いします。

ああ、使用人にまで私の悪態は広がっているのね。

私は小さくため息を吐いていた。


「ラティア、大丈夫だから。私が隣にいて欲しいのは君だけだ。私の隣の立てるのも君だけだよ。気にしなくていいよ。」


ん…気にします。

こんなに印象良くない人が王太子の隣にいてはだめじゃないですか?


エディシス様は突然私の腰に手を回した。

「今は恥ずかしくても逃げないでね。」

と小さな声で囁いてから

周りに聞こえるように少し大きな声を出して

「君が一緒に来てくれるなんてうれしいよ。」

と、言った。


…棒読み。役者にはなれませんね。


逃げないでねなんて初めに言わないでください。

全力で逃げたいです。

分かっています。分かっております。

こうやって使用人の皆様にさっきの噂話は違うんだとアピールしていることくらいわかります。

まあ、一か月前までは本当でしたね。

しかし持たないです。心臓が持たないです。

人前は遠慮願いたいです。


案の上、使用人たちは黙り込んだ。


「兄上、ラティディア嬢。お気をつけて。」

「留守を頼むな。」


ジェイデン様は頭を軽く下げて馬車から離れた。

私は心配した顔をしていたのだろうか。

私の顔をみて大丈夫だといわんばかりに頷いた。

本当によく気が付く人だ。


エディシス様が私に手を出した。

その手に自分の手を合わせて馬車乗り込むために足をかけた時声がした。

ピンク色の髪の毛をふわふわなびかせてかわいい女の子、そうダリア様が走ってきた。


「エディシスフォード殿下、どうして何もおっしゃってくれなかったんです。

今日からお出かけになることダリアは聞いておりません。

ましてや私ではなくてストラヴィー公爵令嬢様を同行されるとも聞いておりませんが・・・。」


すばらしいわ。昨日のことがあったのになぜ懲りない。

それに何故ここまで入ってこれた?

あら?後ろの方に騎士様がいるわね。

かなり青ざめている。かわいそうに。

押し入ったって感じね。


周りはざわざわしてきた。


「ストラヴィー様が無理矢理ついていくのですか?」


ダリア様はどうしても私を悪役にしたいらしい。


「そうだ。またわがままを言ったんだ。」

「殿下が自分に振り向いてくれないからって。」

「ダリア様、お可愛そうに。」

「嫌ね…」


割と周りは彼女の味方なのね。

私は敵ばかりだけど。


私が我慢してまで頑張ったさっきのラブラブ作戦はどこ行く。


「何を勘違いしているのかしらないが、お前に話すことはない。」

「エディシスフォード殿下、あなたは私が好きだと言ってくれたのに何故そんな冷たい言葉を…ううっ…」


涙出てないから。


「おい衛兵何をしている!警備はどうなっているいるのだ。

通すなとあれほど言っておいたはずだ。」


すぐに警備の騎士たちが来て彼女を包囲した。

あらあらダリア様を連れてきた騎士様は更に青ざめて、少し震えています。


可哀想に…って女の子に無理矢理でも、不意をつかれたにせよ正面突破されるのも騎士として考えものですわね。


「すみません!殿下と約束をしているとおっしゃったのですが…お止めはしたんですが…。

それに以前からこの娘は王宮に出入りしていましたので、てっきり・・。」


てっきり王太子殿下の恋人だと思っていました。

あっているからこの人を責められないわね。

もともとはエディシス様が悪いのですから。

…もっと言えば私か…。申し訳ありません…。


ハーデス様が前に出た。

「そのような時は必ず私か騎士団長に連絡して指示を受けろ。勝手に判断するな。」

まあハーデス様かっこいいですわ。


エディシス様もその隣に進んだ。


こうやって二人並ぶと目の保養だわ。

金と黒の対照的な感じが素晴らしい。


「この場で言っておく。私が愛してるのはラティディア=ストラヴー公爵令嬢ただ一人だ。

当然王太子妃に立つのも彼女一人だ。彼女以外私の前に通すな。それを破るものには処罰をあたえる。」


今サラリとすごいこと言いました…。

言いましたよね。

ラブラブ作戦の一環でしょうか。


それに処罰って。エディシス様、王太子の身分を使いすぎています。

しかし王子様オーラ半端なくてかっこいいです。


「エディシス様・・・」

「ラティア、ごめん。大丈夫?怖がらせた?」 

少し私のところに戻ってきたエディス様にギュッと抱き寄せられた。

未だにラブラブ作戦実行中のようだ。


ダリア様は歯ぎしりをしている。

凄い目つきだ。

周りに人がいるんです。やめましょう。


そんなことをしていたらエディシス様の前にスッと栗色の髪の35歳くらいのひとがひざまづいた。

「エディシスフォード殿下。王宮騎士団長ハリベストにございます。

この度は私の部下が大変申し訳ないことをしました。この王宮騎士団を取り仕切るものとしてお詫びさせていただきます。」

隣で青ざめていた騎士も震えながらひざまづいていた。

エディシス様は年上の騎士団長に対して冷たい視線を向けた。

私は王族のすごさを目の当たりにした。


「私は再三忠告していたはずだ。なのになぜその女を王宮に入れた。」

「申し訳ございません。」

ハリベスト様が近くの騎士様に合図をした。


ダリア様は両腕をつかまれて引きずられるように引っ張られた。

痛そうだ・・・。

あ、そんな顔はしていませんでした。


「そんな・・・。エディシスフォード様あんまりです!」

彼女は泣きそうな顔をした。しかしいまだに涙は出ていない。

「申し訳ないが君の話はもう聞く必要はない。

そう何度も言ったはずだ。」


周りがざわめく。

「おかわいそうに。」

「どうなってるの?」

「権力にものを言わせてストラヴィー公爵令嬢が、二人を引き離してるみたいよ。」


していません!

何でそうなるんだ!


まあわかるけど…。

いままで悪役令嬢だったラティディアが王太子殿下の寵愛をうけて逆に恋人だったダリア様がひどい仕打ちを受けているように見える。

だれだって同情はダリア様に集まるに決まっている。

何やら馬車の周りでもめているのを近くにいた騎士たちも見に来ていた。

いつの間にか結構な人が集まっていた。



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