13話−2 女主人公《ヒロイン》は諦めない。 その2
「先日から何度も話したと思うが申し訳ない。やっぱり私はラティアと結婚したいんだ。君とは結婚できない。君とはもう会わない。」
「でもあなたはラティディアを嫌っていたでしょう!私を好きだって言った!」
「本当にあの時は私は冷静に物事を見れなかったんだ。
申し訳ない。しかし最近の君の行動をみていると少し考えさせられた。王太子妃に立つ者はそんな分別もつかない人では困る。」
「ラティディアだって同じじゃない!この人は私をいじめていたのよ!」
「そのことはちゃんとハーデスから報告が入っている。」
ん?いつの間に・・・。
「君は大げさに言いすぎたんだ。自分のことを棚にあげてね。
私は図書館で偶然に見てしまったんだ
君は自分の仕事を全くしていなかった。ラティアに全部やらせていた。
それなのに君は私に何といった?ラティアに虐められているといっていた。
そう時間割変更を教えなかったのもプリントを渡さなかったのも君が授業をさぼって早く帰ったからだろ?それをわざとラティアがやったのだと言いふらしたのは君だ。
ジュースがスカートにこぼれたのもラティアに掛けようとしていたのが人にぶつかって自分にかかっただけだったようだし、ラティアが強い口調でいっていたのも君に貴族らしくない行いを注意していただけらしいね。君の取り巻きが白状したよ。
ああ、あと見てしまったんだよね。王宮で君がラティアを虐めてるのを。王太子妃になったらひざまずかせるって何?王太子妃を何だと思ってる?やりたい放題にできる地位じゃないんだよ。それをわからない人にはあげられない。」
「浪費とかしていたしわがまま放題だったじゃない!
私はダメで何故彼女は王太子妃になれるの!」
「浪費はそれを売って修道院とか孤児院に物を届けていたみたいだね。わがままが…たまには私に言って欲しいな。」
エディシス様が私の顔を見てニヤリとした。
火に油注がないで!
「それは夜にじっくり本人に聞いてみようか。ね、ラティア。」
今日は早く寝てしまおう。
私はすすすっと苦笑いしながら後ろに下がった。
「夜って?どういうこと!」
…そういうことです。
「私には指一つ触れなかったのに、何よ!」
…あらそうだったんですか?
「一応王太子だからそのくらいはわきまえてるよ。」
…それは・・・わきまえているかもしれませんね・・。
「本当に申し訳ない。今までのことはすべてなかったことにして欲しい。何を言われても構わない。私が悪いのだから。
これからは自分の行動で見返して見せる。ラティアがいれば私は何でもできそうなんだ。」
目の前のダリア様は顔を真っ赤にさせて怒りだした。
「何よ!王太子だからってなんでも望むものが手に入ると思うの!とにかく私は王太子にもてあそばれたって言いふらすから!」
「覚悟している。」
エディシス様はまっすぐ前を向いていた。
仕方がない。少し援護射撃してあげましょうか?
でもエディス様、この借りはかなり大きくつけますね。
私は少しくすっと笑って立ち上がった。
「ダリア様。」
「ラティア!」
私はエディス様の前に出た。
「ハーデス様、申し訳ありませんが私の部屋の机の2番目の引き出しからピンクの袋に入った書類を持ってきていただけませんか?カーラが私の部屋にいるはずです。」
ハーデス様は頭を下げてバタバタを廊下を走っていった。
「私の部屋ってどういうこと?」
「いろいろわけあってラティアは今王宮で暮らしているんだ。」
「何で!ラティディアが!」
「私は婚約は破棄しない。ラティアと結婚するつもりだ。彼女には王太子妃が使う部屋を割り当ててある。彼女の気持ちも確認している。」
確認されたっけ?
まああれだけ毎夜一緒に寝ていれば同意したも同じか・・。
彼女がすごい形相で私を睨んでいた。
仕方ないか・・・。
「なぜ、いつの間に…ラティディアをなぜ愛称で呼んでいるの!私は認めない!」
ひとまず更に油でも注いでみましょうか。
「あなたに認められなくても、私はエディシス様が望むなら一緒にいたいと思います。」
何隣でにやけてるのよ!原因を作ったのはあんたでしょ!
早くこの場を収めてよ!本当にあんた国王になれるの?ハーデス様じゃないけど心配だわ。
すっとエディシス様が私の横に並んだ。
「ラティア…」
いやいやだから今はそんな蕩けた顔で見ないでください!
修羅場です。
引き締めて下さい…!
「ラティディア様!遅くなりました。」
「ハーデス様ありがとうございます。お手をかけさせていただき申し訳ありませんでした。」
「ラティア?その書類は?」
私はハーデス様から書類を受け取って中身を取り出した。
「ダリア様?
あなたは平民として暮らしていた。実は子爵の隠し子だと発覚したので2年半前に子爵の家に来た。たしかそうでしたよね?」
「ええそうよ!」
「ダンベルカーン・・・」
ほらほら顔色が変わった。
「誰?それ・・それは?」
「あら?お忘れですか?あなたを売った実の親の名前を。」
「子爵はご存じないんですよね?本当に子爵の隠し子が亡くなっていることを。」
「何だって?ラティア?どういうこと?」
「ある街の裕福な家に子供を連れた女の人が逃げ込んできた。
その二人を奴隷のようにこき使って食べ物もろくにあたえなかった。そしてそのうち体を壊して二人とも死んでしまった。その後子爵が二人を探しに来た。その二人が子爵の妾と子供だと気づいたその家の主は妾は仕方ないが娘だけでもと思い偽物を用意した。たまたまピンクの髪色と緑の瞳の色が同じだったあなたを見つけた。そして多額のお金を積まれてあなたは親に売られた。そして子爵令嬢として暮らすようになった。しかし妾の子に子爵夫人が親切に接してくれるはずもないわよね。
あなたは次第に王太子殿下に取り入ってのし上がることを考えた。まあこんな感じかしら?」
「何をそんなでたらめを!」
「これはあなたが実の親に売られた時の契約書。そしてこっちが本当の子爵令嬢の死亡証明書。さらにこっちはあなたと子爵との血液鑑定。」
「ラティア・・・何だってこんなものをもっているんだ。」
「前から調べていて持っていたらしいわ。カーラがこの書類の存在を知っていました。」
用意周到。
五年間の私に感謝だわ。
「ハーデス、ひとまず今日は帰ってもらえ。子爵の件などはこれを元に調査させろ。」
エディシス様は書類をわたしから受け取りハーデス様に渡した。
衛兵がやってきて彼女は腕をつかまれた。
「何よ!何よ!あなたなんかなんでも持っているのに。少しくらい私に分けてよ!」
「ラティアはいろいろ頑張ったんだ。頑張ったから今手にしているものがあるんだよ。ラティア・・・。」
見せつけるかのようにエディス様が私の頭にキスを落とした。
だからそんなことしたら逆効果だから。・・・あら効いてる?
彼女は大きな目を見開いて歯ぎしりをした。
ダリア様は本当に殿下の事が好きだったのかしら?
「ラティア?どうしたのほら私の方を見て。」
だからダメだって。エディシス様が後ろから抱きしめてきた。
殿下は後ろから抱きしめるのが好きみたいだ。
「エディシス様!・・・ダメだって。」
「このまま私の部屋に行こうか。
昨日も仕事で君を可愛がれなかったからね。」
「エディシス様!」
見せつけ作戦ですか・・・。
私は遠慮させていただきたいです。




