表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/83

13話−1 女主人公《ヒロイン》は諦めない。その1

大きく息を吸った。

ようやくひと段落付いた。

「お茶にしましょうか?二人とも昨日はかなり遅くまで書類を直していたんでしょう?」

エディシス様とハーデス様は頷いた。

「ラティア・・・君のせいじゃないけど君の父上になんか嫌がらせをされている気分だ。」

「お父様はそんな私情は挟みません・・・と思います。」


思いっきり挟んでいます。


明日からは視察旅行だ。

結局私はまだ何もエディス様には言えていない。

エディス様と寝るときはいつも優しく抱きしめられて

そのぬくもりを感じている。

あの時の言葉はまだ守られている。


エディシス様が私を大事に思ってくれているのがすごくわかる。私も彼と一緒にいたい。

これがきっと好きだと言うことなんだろう。


ひとまずこの視察外交の間にそれを伝えたいと思っている。


視察に関してはある程度資料は目を通した。

何とかなりそうだ。


3人分のお茶を入れて私はソファに座った

「あらミィも食べる?」

「エディシス様はいつものアプリコットのジャムでいいかしら?」

「ああ、ありがとう。」


私達の仲もまずまずそれらしくなった。

クッキーにジャムを添えてエディシス様に出す。

ちなみにハーデス様は甘いものは苦手なのでジャムとかは一切つけないのでそのままビターのチョコクッキーを差し出した。


「ラティディア様のおかげてこのごろずいぶん早くなりました。本当にお礼をいいます。」

「エディシス様が頑張っているからです。私は少しお手伝いをしているだけ。私はエディシス様のためにやっているだけですからお礼をいわれることはありません。」

「ラティア、ハーデスが人をほめたりお礼を言うことはなかなかないんだ。素直に受け取っておけ。」

「そうですか?ありがとうございます。」


「本当、何よりこの出来の悪い馬鹿を許してくれて隣にいてくれてありがとうございます。」

「ハーデス、言い過ぎだぞ!」

ハーデス様は深々と頭を下げていた。

「あの…そんな…頭を上げて下さい。ハーデス様に頭を下げられるようなことはしていません!」

「こいつの友達として礼をしたい。」

私はゆっくりエディシス様を見て頷いた。

「私が自分でそばにいるんです。

できるだけ頑張りますが、いろいろ迷惑かけてしまいますがよろしくお願いします。」

「本当、こんなんでいいのか?」

「はっ?こんなとは何だ!こんなとは!!」

「ハーデス様、紅茶冷めますよ。早く飲んで残り片付けてしまいましょう。」

「王太子妃付きに変えてもらおうかな。」

「ハーデス!」


トントンと扉が叩かれた。

ハーデス様がスッと席を立った。

「また新しい書類が来たのかしら?」

「もう勘弁してほしい・・・って」


「ダリア様、お待ちになってください!」

「エディシスフォード殿下!これはどういうことですか!

なんでラティディアと一緒に暢気にお茶なんて飲んでいるのですか?

私には仕事だから会えないっておっしゃたじゃないですか!」


ダリア様・・・入ってきて挨拶しましか。

常識です。

そして一応私は公爵令嬢、あなたは子爵令嬢。

呼び捨てって何?


あらいけない。

悪役令嬢の血が騒ぐ?

これも体に染みついているみたい。


「ダリア嬢、ここは王太子の執務室だ入ってきてもらっては困るのだが。」

「でもラティディアはいるじゃないですか!」

「仕事だと言っただろ。彼女には今私の仕事を手伝ってもらっているんだ。」

「はい?彼女にそんなことできるわけないじゃない。だって学園でも成績は後ろから数えた方がはやいのよ。私の方ができるはずよ。」


いやいや能ある鷹は爪を隠していましたね。

私も驚いているくらいですから。


「ちゃんと前から何回も話したはずだ。」

「この頃全然会ってくれないじゃない。」

「君に会う必要はもうないはずだからだ。

それに毎日仕事が溜まっていたんだ。しかしラティアのおかげで何とか終われそうだ。」

「ラティディアになんて何ができるの!」


ダリア様・・・もう少し状況見ましょう。

エディシス様の眉間にしわが寄っています。少し落ち着きましょうね。


「じゃあこの書類の間違えをみつけてみて。ハーデス、そのピンクの印のついたものだ。」


その書類はさっきまで私が考え込んでいたやつだ。かなり間違えが込み入りすぎで私も休憩前にようやく修正して新しく書き直したところだった。

「ちょっと待って、落ち着いて考えれば大丈夫よ。でもちょっと何これ?この数字は何を意味しているの?どこが間違っているの?」

「これがラティアが修正したものだ。」

エディシス様が私がさっき書き終えたばかりの書類を手にしてダリア様のところに持って行った。

ダリア様は私が書き直した書類を見て手を震わせながら唇をかんだ。

「私だって殿下の仕事を手伝うようになればすぐにできます。

だって殿下はラティディアとは婚約破棄するっていいましたよね?そして私と婚約してくれるって。」


エディシス様は深く頭を下げた。

「エディシス様!頭をお上げに・・」

私はその言葉の途中で

ハーデス様が首を振るのが見えた。

止めるな?ってことよね。私はそれ以上の言葉を言うのを止めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ