第32話 俺に任せろ①
しばらく沈黙を貫いてしまってすみません。別作品の執筆に専念していたのとモチベーションの低下により続きが書けていませんでした。投稿頻度は前より格段に落ちてしまいますが、少しずつ最新話更新していきます。
まずい事態になった。
シャロンが騙されたことに気づき、激昂して射影機の封印を自力で破壊して脱出した。
「お前ら下がってろ」
祓は真っ先に前に進み出て、掌から青白く光る魔法陣を作り出す。
彼の掌から四つの光の玉が飛び出した。
光の玉はすぐに人の形に変わり、その人物は顔のないマネキンが白い和装の姿で現れ、四人の人物達は両手をシャロンにかざす。
「…!?」
シャロンは金縛りにでもあったのか、身動きを取れなくなる。
「悪いな奏。計画変更だ。コイツは俺が早急に祓う。思ってたよりも怨念が強い。俺も本気出さないと返り討ちに合いそうだ」
そう言って祓は両手を合わせ、目を閉じて何かに集中した。
祓が何かの儀式の準備をすると、和装のマネキン達が何か呪文?呪詛?のような物を口もないのにどうやってかは知らないが呟き始めた。
「この現世に怨念を残した魂よ、どうか冥府の理に従いその堕ちた魂を清めたまえ……!」
祓はいつもとは違うお茶らけた態度は微塵も見せず両眉を釣り上げ目を鋭くさせた真剣な表情で本気で祓おうとしていた。
「ジャマだ……ジャマ……だぁ!」
シャロンはそう叫ぶと、ビリビリと空気が重くなった。
まるで蛇に睨まれた蛙のように俺の身体は硬直した。
それは俺以外にも言えることのようで、メアリーやダンゲル、そして不動産の人間達も身体に違和感を覚えていたようだった。
「こんなもの……すぐに壊してヤル……!!」
シャロンはそう言って、身体から紫色の瘴気のような霧を発する。
無理やりシャロンは金縛りから抜け出そうとし、その力が尋常では無いのか祓の背後にいる四人のマネキン人間達の身体にヒビが入り、損傷していた。
「ガァッ!!」
シャロンの獣のような叫び声と共に、壊れかかっていたマネキン達は遂に完全に壊れ、祓は拘束する術を失った。
「クソ……予想外だな」
祓は顔を顰めながら腰からナイフを取り出した。
柄は金色に装飾された高級感溢れる物で刀身は純白に近い銀色だった。
今まで様々な個性的な道具を使っていた祓が一番原始的で暴力的な道具である刃物を用いてきたという事は本当に非常事態なのだ、と俺は悟った。
祓はナイフを逆手に持ち、シャロンに向かって駆け出した。
シャロンは腕や脚が通常では曲がらないような関節の動かし方で、人間が行うには極めて不自然な体の動きで祓を攻撃した。
祓は紙一重で彼女の攻撃を躱し、シャロンも祓のナイフ攻撃を躱していた。
祓の持つナイフには何か浄化作用があるのか、決して一撃をもらおうとはしない。絶対に当たらないよう避けている。
「ああったく、白兵戦は苦手なんだよ!」
祓はそう言って苛立ちながらシャロンにナイフを降り続ける。
祓は息が上がり、疲労感が拭えないようだった。
先程のマネキンの召喚やその前の降霊術で体力をかなり消耗したのかもしれない。
しかしシャロンは幽霊だからか、体力の低下は見られず、徐々に祓は追い詰められる。
「メアリー、ダンゲル、祓を援護してやってくれ!」
「ああ、分かった!」
「了解よ!」
「ダメだ!寄るな!」
祓は焦ったような顔で一瞬こちらに意識を向けた。
それがいけなかった。
シャロンがニヤリと笑い、祓との距離を詰め、シャロンは祓目掛けて鋭く変貌させた爪で祓の上半身を引き裂いた。
「ぐっ……!」
「祓!?」




