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計画は周りのことを考えて(千鶴)

作者: 狼花

 「ただいま」

家に帰ると桃花の部屋がガヤガヤと騒がしい。

またゲームでもやっているのだろう。

私は部屋に仕事で使ったカバンを置き、

キッチンで買って来た日用品や食材を整理する。

・・・  洗剤買った、ゴミ袋よし ・・・


 洗剤はシンク下の棚へゴミ袋は雑貨類を入れている一番下の引き出しに食材は冷蔵庫に入れる。

・・・  今日は金曜だしカレーにしよう  ・・・


 買って来たものを所定の場所に補充してちょっと休憩。

コーヒーフィルターに粉を入れてお湯を注ぎマグカップ一杯分のコーヒーを作り

クッキーを持ってくれば楽しいひと時の始まりだ。


 淹れたてのコーヒーとクッキーを乗せたお盆を居間に運ぶといつも”そこ”に必ずあるものがなくなっているのに気づく。

居間のテレビが消えていた。

いつもテレビボードの上にデカデカと居座っている偉そうなうちのデジタルテレビが姿を消していたのである。

・・・  これはまた、スッキリしたことで… ・・・


 テレビボードの上が空白というのはなかなか新鮮な感じだった。

いつもならテレビの隣の観葉植物なんか眼中にないのにどうしてもそちらの方に視線がいってしまう。

・・・ 随分、大きくなったのね。  ・・・


 テレビがなくても携帯でニュースは見れるため支障がないから気にしない。

テレビがないのも大方見当がついている。

おそらく桃花がゲームを大画面でやりたいために自分の部屋に持っていったのだろう。

しかし、大画面でゲームしたいがためにテレビを担いで自分の部屋に持っていくとは…


 「あ、そういえば。桃花に伝えることあったっけ」

スマホを操作していた手を止め、桃花の部屋に私は向かう。

今週の日曜が親戚の法事でその場所が遠いから1泊2日の親子の旅になるとあの子に伝えるのをすっかり忘れていた。


 桃花の部屋をノックする。

「桃花、ちょっといい」

反応なし、どうやらゲームに熱中しているようだ。

・・・  全く、集中力があるのも困りものね ・・・


 「入るわよ」

そういって桃花の部屋に入ると最初に目についたのは居間から誘拐された大画面のテレビ。

・・・  やっぱり犯人は桃花だったわね  ・・・


 大画面のテレビから桃花へと視線を落とした私はゲーム機を手にした桃花の隣にある大量のレジ袋を見て驚いた。

「あんた、何買ったのこんなに!!」

私の大声に気がついた桃花が振り返る。

ゲームを一時停止にしたのかテレビから鳴り響いていた音がなくなり話しやすい空気になった。


 「あ、お母さんごめんテレビ借りてるよ。あとお布団も」

「それよりもまずこのレジ袋は何?」

「ん? ああ、それは食料品だよ今日ポケモンの発売日で土日、徹夜してやるんだ」

楽しんでいる桃花に法事のことを今言うのは気が引けたが思い切って伝える。

「ごめん、伝え忘れてたけど親戚の法事が明後日あるから明日から私と一緒にきなさい」

「え、いやだ」

笑顔だった娘の顔がどんどん曇っていく

・・・  ゲームくらいいつでもできるでしょう  ・・・


 「そんなことより」

「ちょ、ちょっと待ってまだ私法事に行くなんていってないよ!!そこをそんなことで終わらせないで」

「そこは決定事項、拒否権なし」

「ヤダヤダ、この日のために準備してたんだもん」

何が桃花をここまで必死にさせるかわからないけどこんなに抵抗されたのは初めてのことだったので少し驚いている。

・・・  まぁ 伝え忘れてた私も悪いけど  ・・・


「わかった、明日の法事のことは後で話すとしましょう」

「絶対、私行かないから」

「はいはい、ところでキッチンに置いてあるポッドがここにあるのは何故?」

「カップラーメン作るから」

「ここで?」

「そうここで」

「あんた、毎朝奈々が早起きしてポッドでお湯を飲んでること知ってる?」

「そうなの?」

「ここに持ってきたら奈々が困るでしょう」

あらら、という顔をする桃花

・・・ あららじゃないわよ ・・・

 

「それと100歩譲って、テレビは良しとして私の布団がここにあるということは今日の夜、布団なしで私は寝ないといけないの?」

「大丈夫!! 毛布は残してるから」

・・・ そう言う問題じゃない ・・・


 「掛け布団も返しなさい、風邪引くじゃない私」

「じゃあ、お母さんが私の部屋で眠るのはどう?夜食はたくさんあるし夢のような時間が過ごせるよ」

「電気のついた部屋で?テレビの音を聞きながら? 冗談じゃないわよ」

「やっぱダメか」

「とりあえず、ポッドと布団は返す」

「そんな…3日、、3日だけ貸して!! 奈々にもポッドのことはお願いするから」

「ダメよ」

「そんな私の楽園が… 私の計画が…」

「あんたのその楽園と計画のせいで私達が迷惑してるの」

「え、でも私にもこの日のための計画というものが」

「計画するのは大いに結構、数日の徹夜だって最近頑張ってるし多めにみるわよ。でもね周りのことを少し考えなさい」

「うう、わかったよポッドと布団は返すよ」

「よろしい」

「でも法事には行かないから」


  ・・・  ああ、これは説得できそうにないパターンね ・・・


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