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秋の桜子詩集

春のものがたり、れんげそう

作者: 秋の桜子

青い空には きらきらお日さまと

白い綿雲浮かぶ ふわふわと


小鳥が ピチピチ ピッピッ

もんしろちょうが ひらひらと


晴れ渡る 春の午後

少女が うつむき歩く


黒い冷たい氷を背負い

とぼとぼ歩く いなか道


ぽつり、ぽつり、と摘むれんげ

赤いまあるい れんげ草


少女が握る れんげ草

丸い花束 形になる


あたいは 世界にきらわれて

あたいは 世界にしかられて

あたいは 世界に居るとこないの


少女が うつむき 摘んでいる

れんげの花は 手向ける為


弔う為の 赤い花

誰の為の 赤い花


チョロチョロ流れる 用水路


一つ 一つと 流して行くよ

赤い まあるい れんげ草


あたいに刺さった 言の刃(ことのは)

あたいに刺さった 目の刃(めのやいば)


痛みを送る 花にのせ

今日はあたいの 弔い日


一つ 一つ またひとつ

赤いれんげが 流れ去る


あたいの 耳も持ってって

痛い 言葉を聞きたくないの


あたいの 両の目持ってって

もう 涙を流したくないの


あたいの 心も 持ってって

こわれぬうちに 持ってって


あたいの 名前も 持ってって

何にもない あたいになりたいの


れんげの赤い花

一つ ひとつと 流れて行く


少女が ひとり お弔い

自分の為の 手向け花


ついと、目の前横切る

もんしろちょう


人が死んだら その魂

白い蝶に なるってね


あたいも お空をとびたいな


空を眺める 少女が 独り



悲しい 春の物語



青い空には きらきらお日さまと

白い綿雲浮かぶ ふわふわと


小鳥が ピチピチ ピッピッ

もんしろちょうが ひらひらと




お日さま 少女を見ているよ

ゆっさと フレア 燃え立たせ


コバルト きらきら

少女に キラキラ

ふりかけ そそぐ



ほわと ぽかぽかぬくもりを

気がついほしいと 願いを込めて


綺羅な光を

ゆるりと 優しく 地上におくる


チョロチョロ流れる 用水路


花を流して

涙にくれる

独りの少女


まあるく やわに包んでく



青い空 何処までも

たかぁく 澄んでいて

少女は 天を 仰ぎ見る



あたいは ここにいてもいい?

あたいは ここで笑っていい?

あたいは 生きていてもいい?



れんげの花が 流れ去る

悲しい事を携えて

悔しい事も携えて



水の流れに ぷかぷかと

浮かんで去り行く 手向け花



お日さま ぬくもり ぽかぽかと


もんしろちょうが ひらひらと


少女に寄り添い 舞っている



ピチピチ ピッピッ ぴーぴーと



小鳥は 少女に 唄おくる



きっと いいこと あるからと

通じぬ 声で 歌ってる




切ない春の物語。







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― 新着の感想 ―
[一言] 言葉が心にしみてくる。 そんな感じをいただきました。 毎回思うのですが、桜子さんの言葉って良いですよね。 れんげそうのこれは特に好きだったので、感想書かせていただきました。 楽しませていた…
[良い点] 優しい表現によって、切なさがより際立っているように感じました。 柔らかな優しい表現が出来る事……いいなぁ、と思います。 [一言] レンゲソウの花言葉が『心がやわらぐ』だそうで、この悲しみを…
[一言] 女の子が可哀想でホロリとしたのですよー
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