異世界と転生と恋愛と小説とは
異世界、とよく言うがわけのわからない世界だと読むにはついていけなくて敬遠してしまう。転生、とよく言うが転生の経緯が長かったり暗かったりしても敬遠してしまう。転生するなら早く死んで転生させて欲しい、大事なのは過去よりも未来なんだ。これからの異世界ライフを満喫することが大事なんだ。
チート、と言うがやっぱりチートはあった方がいい。恋愛だろうが戦いものだろうがその方が話がスムーズになって読むのに楽だ。
恋愛もので片思いでも十分面白く話が作れるならいいが相手が振り向いてくれないことに主人公が暗い気持ちになってると読む方も暗くなってしまう。主人公と相手役、女主人公でも男主人公はそこそこ仲がよい方がいい。途中や結末はさておき最初の掴みはそうした方が読みやすいと個人的に思う。
戦いもののチートに関してはいきなりチート能力が発動してもいいが主人公が初めて使う場合にさも当然のように使いこなせてもわけがわからない。チート能力を既に使える主人公か、チート能力が初めて発現して驚く主人公かの二択である。既に使えるならその力で周りを驚かせたり悪をくじき弱きを助けられる。初めて使うならそれをきっかけに主人公を不遇な状態から逆転させることも出来るのだ。
そもそも小説とはキャラクターの人物や感情、身体の動きを文として表したものである。台詞の合間合間にキャラクター達の感情は常に変化する。言う側と聞く側、それぞれで抱く感情と反応は様々だ。
例えばAくんがサッカーをしようと提案したとする。彼らはいつもサッカーをしている、という文があるなら当然Aくんの友達は提案を承諾する。
しかし前の話で彼らが初対面なのが明言されてる場合、その提案が承諾されとは限らない。Aくんに対して好意的に見られることもあればなにを言ってるんだと思われることもあればサッカーよりも野球がしたいと思われることもあるのだ。
Aくんの友達が一人でないならその反応も複数あるかもしれない。話を早く進めるために同じ反応にする時もあれば逆に話を膨らませるために反応をバラバラにすることも出来るのだ。
その話を単なるサブイベントにするかメインイベントにするかは全体のあらすじによる。日常ものならメインイベントになってもいいがバトルものでスポーツの話を長くやっていたらメインストーリーはどこへ行ったと読者に刺されてしまう。
もう一つの話だ。Aくんがお前はいいやつだとBくんに言ったとする。普通なら褒め言葉として使われるがAくんの口元が歪んだ、もしくは嫌悪するように言ったと書いてあればそれは皮肉として言ったことに変わるしBくんが皮肉を皮肉として受け取らなかったとすることもできる。逆にBくんに関してAくんの言葉がわからなかったとあれば言われた方が皮肉として受け取ったとすることが出来る。
お前はいいやつだという話は単純な感情の話として使えるが他の悪いやつに振り回されるなという警告や案にお前が嫌いだという主張や実際に助けられたり心安らいでることへのお礼や告白等々にも使える。戦いものだと特に殺伐としてるので特にそれは強調される。俗にいうお前は甘いと主人公が言われるのがそれである。
このように、言葉一つとっても言う側と受け手の感情によって様々な話が作れる。それが物語であり小説である。
感情が動く、だから物語は面白いのだ。
恋愛だろうが戦いものだろうがそには心ある人がおり、怒ったり泣いたりするのだ。チートを使って物語を容易に進めつつもその心で読者の心を打つ必要があるのだ。登場人物や主人公に心が感じられなければチートがあってもつまらなくなってしまう。結局は心こそが読者を掴む小説の元となるのだ。




