IA少年の恋と終わる命の少女
『ねぇ…───はさ…本当の愛って…何だと思う?』
AI達の進化とその性能の飛躍的な向上によって、幾度の危機を乗り越えた人類。しかし、寿命という絶対の限界には誰一人として敵う者はいなく、減り続ける人類の生活には自立思考型AIが必要不可欠となっていた。
ある者は唯一無二の友人として、ある者は必要不可欠な親として、そしてある者は…比翼連理の恋人として。
これは、主人たる少女に恋をしてしまったAIと、AIであろうと人間であろうと等しく接する心優しい少女の始まりと終わりの物語。
AIの少年、その名前を奏と名付けられ、その時期においても世界でもトップクラスの頭脳をもった科学者であった少女の父が、少女が生まれる前にこれから生まれる少女のためにと、作り上げた少年の心を持ったAI。その知能は少女の父によって作られた赤子の知能を少女の父母が少女の生まれる1年で育て上げた言わば兄。
その後、少女が生まれ碧唯と名付けられては、二人一緒に育てられ、本当の兄妹のように育った。
家族全員が幸せそうに生きていられたのは、奏が高校生1年生、碧唯がまだ中学3年生の頃の話…
まずはもう少し前の…そう、『ボクが生まれたときのことを話すよ。』