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少女
何分が経過しただろう。
いや、数秒かもしれない。
手の震えも治まり、強ばっていた脚からも次第に緊張が解けていった。
ただ、目を開けるのはまだ怖い。
瞼をかたく閉ざしたまま開けられない。
全力で瞑りすぎて、くっついてしまったのかとも思った。
その時、暖かい手が頬に触れた。
「そうた!!!」
僕ははっと目を開いた。
目の前には力強い光の差した大きな瞳。
生きている者の、吸い込まない瞳があった。
「ゆり、ちゃん...」
幼馴染の少女の手の温もりが、頬に溶け込んで来るのが心地よくて、全身の力が抜けた。
ニカッと笑う少女が頼もしくて、涙が溢れた。
ゆりちゃんは、僕が幽霊から逃げたとき、
どこにいても必ず迎えに来てくれる、不思議な少女だった。
「おはよう、目、覚めた?」