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第1話 近衛騎士になったら

「失礼します! ダンディストー・イージャンです!」


 イージャンは、扉を何度か叩いてから、そう叫んだ。すると、その扉の向こうから声がする。


「おー! 入ってくれー!」

「はい!」


 彼は、扉をゆっくりと開いた。


「いらっしゃーい」

「は、はい! 失礼します!」

「はっはっはっ!」


 部屋の中にいたのはゴトキールだ。そのゴトキールが、緊張して直立不動のイージャンを見て、陽気に笑う。


 試験に合格し、晴れて近衛騎士へ。彼は、その叙勲がなされる前に、王宮近衛兵団の庁舎にある隊長室へと、呼び出されていた。


 この隊長室は、白っぽい石造りで陽当たり良好。見渡すほどでもないが、広いその部屋の中に入れば、奥に窓の列が赤い窓掛けと一緒に並でいる。そこから、日の光が入り込んでいるのが分かった。


 部屋の真ん中あたりには、長四角の卓を挟んで長椅子が二つ。どちらも木製で、赤い絨毯の上に置かれていた。長椅子は、卓と同程度の長さがある。五人程度なら、余裕を持って座れるだろう。座面と背板に、赤い革張りがされており、ふっくらとしている。


 出入り口から見て右側には暖炉。その上に国章旗。左側の壁には本棚が一面に並ぶ。そして、その手前に、幅の広い執務机があった。ここにある長椅子と同じくらいの幅と、倍くらいの奥行きがある。


 どの家具や調度品にも、程よい高級感が漂う彫刻なり模様が施されているため、部屋全体にもその雰囲気が行き渡っているようだった。


 しかし、それも執務机の上に広がった書類の山。本棚に入りきらず、その前に積まれた本の山と、転がった酒瓶の数々。窓の傍に重ねてある布団と毛布。その近くにある衣服や、剣、食器など、何やらぎゅうぎゅう詰めにされた、大人が抱えきれないほど木箱。これらがなければの話。


 そして、ゴトキール。無精ひげを生やし、髪を無造作にすき上げたせいで、前髪がぱらぱらと垂れている。そして、鎧の隙間から見える、だらしなくよれた襟元や袖口。眠そうなその顔も加わって、何ともずぼらな風体だ。おかげで、執務を行うはずの部屋なのに、妙な生活感が漂ってしまい、その高級感を台無しにしていた。


「いやあ、しっかしわっかいねえ!」

「は、はい……」

「あ。勿論、俺も若いけど。はっはっはっ!」


 もう三十代に入ちゃってるゴトキールが、イージャンの肩をぽんぽんと叩いた。そして、まじまじと、目の前に立つ彼を眺める。


「ふうむ……」


 長身とは言えず、自分より背は低い。少年の面影も残していた。服装は、白い長袖に黒い細穿ほそばき。革製の茶色い長靴。普段着で構わないと伝えていたため、その格好で来ているようだ。


 近衛騎士の鎧と外套は、既に新調されており、調整もあって一度着ている。しかし、正式に支給されるのが、叙勲式の前日になるので、まだ手元になく着ることが出来ない。ただ、剣の方は既に渡されていた。それを腰に差している。


 これは、正式に叙勲される前から、自分が近衛騎士であると、その自覚を持たせるため。古くから、試験に合格した時に渡されるようになっていた。


「君、今いくつだっけ?」

「じゅ、十五歳です……」


 多少口籠る。改めての顔合わせを兼ねて、諸々の説明を受けるため、この部屋に初めて呼び出され緊張していた。ゴトキールとは初対面ではない。試験の際、何度か話をしている。しかし、それでもやはり近衛騎士隊の隊長室で、その隊長と二人きり。彼の性格からして、緊張は大いにあった。


「うーん。十五かあ……。となると、史上最年少から三番目に早いねえ」


 何度か頷いていから、後ろに見える二つの長椅子とそれに挟まれた卓に、体を向ける。その卓の上には、本程度の大きさの、資料と思しき文章の書かれた紙が数枚見えた。


 それから、湯呑が二つと土瓶が一つ。湯呑みからは、湯気がふんわりと立ち昇っている。イージャンが来たと報告があったので、丁度お茶を注いでいたところだった。


「じゃ、そこに掛けてくれるかい? あ、剣はそこに立て掛けてね」

「はい!」


 促されて、扉の傍にある立て掛けを見た。そこには、自分のと同じような、しかし真新しくはなく使い込まれた剣が既にあった。これはゴトキールのだ。イージャンは、腰から剣を抜き、その隣に置く。そして、互いに別々の長椅子に座った。それから、ゴトキールが紙を手に取り、話しが始まる。


 その話とは、新しく近衛騎士になった者に対して、その近衛騎士ついての注意事項や、王宮近衛兵団の事。直近の予定。手に取った紙にも、それらに関する事が書かれている。


 これは本来、他の者でも構わないのだが、その人となりを見るために、隊長である彼自らが行っていた。


「叙勲式は、晴れると良いねえー」

「は、はい」

「まあ、雨が降っても陛下が晴れにしちゃうけどね?」

「え!?」

「はっはっはっ!」


 ゴトキールは、冗談交じりでゆっくりと説明していく。その説明は簡単で、十分とは言えなかったが、要所は押さえている。そして、取り敢えず、大まかな感じを掴むには、丁度良い程度だった。


 和やかな談笑。イージャンにはそう思えたが、ゴトキールは注意深く彼の反応を窺っている。国の諜報機関でもある月鏡院の長から、口頭で指示があったからだ。


「そうそう! 玄應街の端にあるトンカチ亭ね。あそこの肉料理、美味しいよねえ。俺も食べた事があるよー」

「あ。そうなんですか?」

「まあね。でも、ここの料理も美味しいぞお? あと、王国一の美少女が、偶に作って差し入れをしてくれるんだ。これも美味い! やっぱり、可愛い子に作ってもらって、それをよそってもらえると嬉しいよねえ! はっはっはっ!」

「は、はあ……。……?」


 要領を得ないようなイージャンの様子。それをゴトキールは目を細めて笑う。しかし、その細くなった目の奥は笑っていない。


(ふむ――。ここまで反応を見る限り、至って普通。普通の少年って感じだな。ただ、あんまり冗談は通じないようだ。真面目なんだろう。まあ、大人しいってだけかもしれないが。


 しかし、試験の模擬戦で見せたあの動き――。この年で、準達人級を圧倒せしめる剣の才。肌を震わせる気迫も、幾度となく発していた)


 ゴトキールは、お茶を一口飲んだ。


(新しい至極天使い。その最有力候補である事に留意せよ――、か。確かに、ミストランテ様の言う通りだな)


 そう。近衛騎士は、最強の騎士の肩書とは別に、至極天使いの候補でもあった。つまり、トゥアール王国は、武芸を嗜む者に空震音叉が発現しやすいという、この経験則を元にその可能性の高い者を集めているのだ。だから、身分に関係なく募集を掛ける。


 しかし、やはり一概には言えない。空震音叉が発現した者、その総数からいっても、決して多いとは言えなかった。だが、それでも過去に近衛騎士から、その発現に至っている。


 この事実は無視できないため、あくまでとはなるが、近衛騎士の募集は強い者を揃えるだけでなく、空震音叉を扱える者の見つけ出す、その一応の一環として捉えられている。


「さて――」


 ゴトキールは、数枚あった紙の最後に手を掛ける。これは、今までの注意事項などとは違った。身元調査の報告書だ。生まれ、家柄、家族構成、経歴など。イージャンに関するものが書かれてある。


 近衛騎士になるため、その素性の調査は既に厳しく行われていた。それは、月鏡院が担っている。イージャンからの聞き取りも、入念に執り行われその整合の確認も済んだ。この紙には、その調査結果が書かれてあった。


 ゴトキールは、まず彼のその人となりだけを見るため、この報告書に敢えて目を通していない。しかし、それも終わり、改めて書かれた文を読み始めると、雰囲気が真剣味を帯びたものへと変わる。


「――そうか。君の生まれは、南都ではなくイラスミエルなんだね?」

「はい……」


 イージャンの雰囲気も変わる。顔を伏せ、重々しくなった。


「それから、すぐに南都へと移り住んだ。子供の頃はそこで――。そして、大戦の最中さなか、この王都に逃げてきた避難民だったのか――」


 先の大戦は、南都より南方にある国境を、突然破られた事で始まっている。そのため、南方は激戦の地と化し、そこに住んでいた者たちは、王都への避難を余儀なくされた。


「大変だったろう」

「いえ……。王都に住んでいる――、その、知り合いがいましたので……」

「そうか……」


 ゴトキールは、手に持った報告書に目を落とした。


(ふむ……。これによると、それは鍛冶職人のビレイクという人物になるな。玄應街の。だから、トンカチ亭も知っていたか。しかし、この人物は、もう既に亡くなっている。今は息子のガドリクが、その店を継いでいる、と。


 ああ。このガドリクという人物も南都に住んでいたのか。それで、一緒に逃げてきたらしいな。彼との血縁関係はなし。育ての親――、か。で、彼の両親と友人同士。その親は、両方とも南方王国軍所属。そして、あの大戦の初期に戦死――。


 なるほど。母親の故郷が、イラスミエルなんだな。父親は、南都か。だから、移り住んだと――)


 ゴトキールは、報告書を読み進めていく。それから、しばらくしてその報告書を、卓の上に置いた。視線を彼に向け尋ねる。


「イージャン君」

「はい」

「イラスミエルは、南都から結構遠い。しかし、君の母親の故郷だそうだね? 行った事はないのかな?」


 イージャンは再び顔を伏せる。両膝の上に握り拳を作って、何かに耐えているようだった。


「いえ。一度だけあります……」


 イラスミエルの名が出てから、その様子は変わっている。間違いなく何かあると、ゴトキールはそれを察した上で聞いていた。言いにくい事であるのも明白。だが、それがイラスミエルについてなら、聞かない訳にはいかなかった。


「それは、いつだい? 覚えているかな?」


 イージャンは、しばし黙った。それから、その重くなった口を開く。


「あれが起こる前――。一月ひとつきほど前でした……」

「期間は?」

「多分、十日ほどです……」

「…………」


 目の動き、声の早さ、声色、仕草。違和感はない。嘘を言っているようには見えなかった。とはいえ、ゴトキールにとって、その答えは見込み違いだ。


(当事者ではない――、か? だから、月鏡院はこれに記載しなかったか……。いや、どちらにせよ、俺に報告はしない。ともかく、当事者でないなら、もう聞く必要はないな。


 彼は、その時――五歳くらいか。何も見ていないなら、記憶にもそんなに残っていないだろう。しかし、それなら十日と言う言葉が、すぐに出るか? この様子も、おかしいとなるが――)


「そうか。危なかったね……」

「…………」


 イージャンは答えなかった。報告を読む限り、彼の母方の祖父母は、大戦が始まる前に亡くなっており、親戚もいない。だが、十日ほど滞在している。恐らく、大切な友人なり、知り合いがいたのだろう。


 しかし、もう生きていないのだ。だから、こんな思い詰めた様になっている。それなら、自分の知りたい情報もない。ゴトキールは、そう思い至った。


「すまない。立ち入った事を聞いてしまった」

「いえ……」

「しかし、良かったよ。君はこの通り無事だ。運に恵まれていたようだね」


 っと、いかん。ゴトキールは言葉を間違えたと、言ってから気付いた。しかし、


「はい……」


 イージャンは、顔を俯けたまま静かに答えるだけ。自分を咎めるような素振りは、一切見せない。この態度に、少し苛立ちを覚えた。


(はい、か――。まあ、その通りだからな。別に構わないが。しかし、つまらん奴だ。そんなに辛そうにしてるのに、腹が立たないのか?


 俺は、お前に運が良かったから助かったと言ったんだぞ? つまり、その相手には、運が悪かったから、それだけで死んだんだと、助からなかったんだと侮辱したようなもんなんだ。この意味が分からなかったか?


 それとも、俺が近衛騎士の隊長だから、何も言えないのか? だとしたら、本当につまらん男だ)


「…………」


(試験の時は、もっと覇気があったように感じた。しかし、こんなもんだったとは。何だか、期待外れだな。歴代三位の速さでの叙勲。もっと凄い奴かと思っていたんだが……。これが最有力候補。やれやれ。それ以前の話だな。この調子で、近衛騎士をやっていけるのかね……)


 しかし、腕が立つのは間違いない。なら、別に構わないかと溜飲を下げた。だが、興味は無くなる。謝る気も失せた。話したい事も話したし、これで切り上げるかと、俯いたままのイージャンから視線を逸らす。湯呑を取ろうと手を伸ばした。


「――っ!?」


 突如、目の前に膨れ上がった異様な気配。怖気がぞっと襲い、息が詰まる。背中にも、戦慄が衝撃の様になって走った。瞬間、伸ばした右手が腰元へと動く。


 いつもなら、そこに剣の柄があった。だが、その剣は立て掛けられている。右手が空を切った。それに焦りを覚える。だが、何も起こらない。それが分かり、視線をゆっくりと眼前に移した。自分を追い詰めるそれを発していた、イージャンの姿を見据える。彼は俯いたままだ。しかし、


(な、何なんだ、この怒気は――!? これが、少年の発せられるものなのか!?)

 

 愕然とした。熱気のような気流が、体全体から溢れ出す。その姿が歪んで見えるような錯覚に陥る。力を込める事で膨らんだであろう全身の筋肉。自分よりも、体が大きく見えるような威圧を受けた。そして、両膝の上に置かれた拳は、強く握られ、みしみしと軋み音を立てている。

 

 気付けば、ゴトキールは体中で冷や汗を掻いていた。しかし、その怒気に敵意はない。自分に向けられたものではないと気付く。彼だ。その怒気は、イージャン自身に向けられたものだった。ゴトキールは、腰に添えた右手を膝元に戻す。


「…………」


 悔しかったのだ。間違いなく。その者を助けられなくて。そして、自分だけが生き残っている。それが、無様に思えて仕方がない。生き恥を晒しているのが、嫌で嫌で堪らない。


(己を何百回殺しても、償え切れない程の後悔。それが、やり場のない怒りとなって、狂うように渦巻いている、か――)


 彼の事は、何も知らないに等しかった。報告書にも、そんな事は書かれていない。だが、ゴトキールには、そうとしか思えなかった。


(君は、五歳くらいだったろう。そのくらいの子供が、今もここまで――。それ程までに、大事な――)


 彼は、そこまで思い至って気付く。


(だから、必死に強くなろうとしたのか。その年で、近衛騎士になれるくらいに。もう二度と、繰り返さないようにと――)


「…………」


 愕然とし目の開かれたゴトキールの顔。その顔が、にやけ始める。


「くっくっくっ――」


 笑いが零れる。


「はっはっはっはっ!」


 止められない。笑わずにはいられなかった。


(いいぞ! こりゃあ、やっぱり逸材だ! 近衛騎士隊に必要な奴だよ、こいつは! いや、俺に必要だ!)


「ゴ、ゴトキール様……?」


 イージャンは、いきなり笑い始めたそのせいで、怒気は消え失せ、唖然としていた。その顔を見て、笑うのをピタリと止める。そして、両膝に手を突き、勢いよく頭を下げる。


「すまない! 今の言い方は、本当に! 失礼だった!」


(そして、俺は馬鹿だ! 人となりを見るとしておきながら、この体たらく。本当に情けない!)


 その言葉には、彼がどんな人間なのか、それを自分の妄想で勝手に決めつけていた事に対する、謝罪も込められていた。 


「え!?」


 頭を下げているのは、近衛騎士の隊長だ。イージャンは、そんな人物にいきなり謝られて、当惑してしまう。しかし、その声を気にする事もなく、ゴトキールは、がばりと頭を上げた。そして、


「だがな――」


 にやりと不敵に口許を歪める。それから、急に真剣な面持ちになって言った。


「悔しかったら、強くなれ。やはり、それしかないんだ、イージャン」

「ゴトキール様――」


 目を見開く。自分がどういう心境であるか、それは今の様子を見れば言い当てられるだろう。しかし、その言葉には、もっと奥にある自分の気持ちを覗かれたような感覚があった。それを感じ、驚きを隠せない。


「近衛騎士になれば、もっと強くなれる。準達人級ばかりだからな。そんな奴らとやり合ってりゃあ、否が応でも強くなれるんだ。他にも、カトゼやら強い奴らとやり合える機会が沢山ある。しかし、一体どこまで強くなれるのか。結局それは、お前次第だがな」

「…………」

「だが、どうせやるからには、一番を目指したいよな? それは、近衛騎士隊副隊長だ。これが一番強い」

「副隊長……」


 イージャンがその言葉を繰り返す。


「ああ、そうだ。副隊長。うちで一番強い奴がそれになる。そして、それになるくらい強くなれば、何か見えるだろう。何か分かるだろう。お前の問いにも、何個かは答えを見い出せる」

「…………」

「そこまでやれるか、イージャン? 自分のために。分かるか? それは、自分が守りたい者のためにって事だ」

「…………」


 彼は押し黙っている。しかし、決して俯かなかった。そして、両目に、ありったけの決意を込め、眼前のゴトキールをしっかりと見据え叫んだ。


「はい!」

 

 その答えと気迫に満足して、ゴトキールは頷く。


「よし! じゃあ、俺の話はこれで終わりだ。ご苦労様。叙勲式は十日後。前日には庁舎に来るようにね。これから、よろしく頼むよ」


 立ち上がって、手を差し出し握手を求めた。それを見て、慌てて立ち上がったイージャンが、彼の手を握る。


「はい! よろしくお願いします!」


 しっかりと力の籠った握手だった。ゴトキールは、それに心強さを感じながら、手を離す。


(ふふっ……。良い顔だ。さっきとは見違えるようだ。しかしな、イージャン。そろそろ姫様が、修行から一時的に戻って来られるんだよ。


 お前は、間違いなくその姫様とやり合う。初っ端から良い経験が出来るぞ? はっはっはっ――!)


 ゴトキールは、内心そう笑いながら顔を上げ、満足げな笑顔で宙を見つめた。だが、表情はそのままで、何故か徐々に哀愁も漂い始める。


(しっかし――。姫様が帰って来られる、か)


「はあー……」


(また、強くなっておられるんだろうなあ……。とほほ)


 諦めの溜息を静かに吐いた。そう。その経験は自分もする事になる。同じ様に降り掛かるのだ。


「えーっと。その、ゴトキール様……」

「ん?」


 遠慮気味でイージャンに呼ばれて、上げていた顔を戻す。だが、一つ気になったので先にそれを伝えた。


「ああ。様なんか付けなくていいよ。これからは、同じ近衛騎士。身分は同じ様なもんさ。隊長で良いから」

「はい。分かりました、隊長」

「うん、そう呼んでくれ。それで、何だい?」

「あ、はい。その――。出来るとは聞いていたのですが、お願いしたい事があるんです」

「お願い?」


 ゴトキールは首を傾げた。

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