第2話
そんな事を考えているうちにも、見事なスピードで授業内容は私の頭を通過していった。
ようやく休み時間、何人かで話し込んだり、トイレに行ったりして思い思いに休憩している。私は気分をかえようと外に出た。
北棟と南棟の間の中庭、グラウンドの反対側はあまり人が来ない。入学してからしばらくして弁当をゆっくり食べるのにいい場所は無いかとぶらぶらしていたら見つけた。古い木のベンチ、机もペンキがはげていた、近所の公園にあるのと同じような水飲み場がある、同じ時代に作らた物かもしれない。
ベンチに腰掛けぼーっとしていると岡田が缶ジュースを片手にやってきた、「居残りとか勘弁してほしいよな」と私が言うと「全くだよ」と私の隣に腰掛けてため息をついた。岡田は高校に入ってからの友人でこのクラスに居ることからわかるように馬鹿だった。さっきの補修の時間でも教師が「グローバル化を説明しなさい」と岡田が指名された。姿勢を正して「全世界の物流が盛んになり、結果、世界中がクローバー畑になる預言です」と堂々と答えていたこの何か泰然とさした態度がクラスで支持され、この前の学活でラス委員長になっている。この後まだ二時間授業があるその代わり休み時間は少し長いが「まだ二時間有るよ」と私が言う「そもそもなんで、補修があるんだろうか」岡田は缶を机に置いて話しだした。
「例えば、ここに試験の回答用紙があると思ってくれ、」私は白い紙に解答欄の四角い枠を思い浮かべる。「そこに、問題が、例えば1+1とかいてあったとする。答えは2になるけども、間違えて3って書くとこができるだろう、そこに馬鹿な解答をする可能性が生まれる」私はなるほど、そういうことかと思った。
ようやく補修が終わると気長な5月の太陽も箱根の向こうに沈みかけていて、星がひっそりと輝き出していた、クラスの連中と外に出る、岡田と一緒に帰ろとしたら、別のクラスメイトが「早く帰りたいっすね-」と話しかけていた。岡田は「もうすぐ帰れよだろ」と慰めるように言っていた。いい奴だなと思った。