1/4
第1話
黒板の解説を写しながら、窓の外をふと見ると春らしい青空の下、グラウンドでサッカー部が練習しているのが見えた。何故部活の時間に授業を受けているのか、そう、これは『居残り』という強制参加の勉強会。
数日前に高校に入って初めての試験の結果が発表された。全教科赤点という見事な出来映え、教師から「ここ数年で一番の珍回答」と賞賛されたのだった。別の高校に進学した友人に電話で「今度居残りになった」と相談したら「マジかよ」と言われ、一拍おいてから、「お前本当に高校行けたんだな」
「そこかよ?」
思い出せば、昔から勉強は苦手だった小学校の時も文集に『苦手な物はピーマンと勉強』と書いて先生に怒られたくらい因縁が深い。私も全く対策をしなかったわけではなく、勉強もしてみたが、殆ど点数は伸びず凍りついた地面に種を蒔くソ連の農民のような気持ちだった。得意科目はあるにはあったが、残念ながら『給食』『昼休み』は受験科目には入っていなかった。どうにかこうにか高校には入ったが、成績別にクラスが別れいて一番成績が低いクラスになった。 そうして今に至る。