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悪魔の話  作者: すいか君
1/1

崩れ落ちた僕らの日常

前書きってなにこれ、分からない←


初投稿なので至らない点ばかりでしょうが目を瞑ってください((読めない。

ひどく長く、夢を見ていた。それは、脆く儚い、たった一夜の記憶を表したものであり、もう思い出したくもないものでもあった。


燃え盛る炎の中、飛び交う怒号と悲鳴。

黒く大きな生物たちは、僕の目の前で ”その人”を ”その物” に、一瞬で変えてしまってから憎らしげにただ笑った。僕は、どうすることも出来ずに、ただその”人”だった物の名前を何度も何度も呼ぶことしか出来なかったんだ。





……ン、…リン、ジリン、ジリリリン



「…う、あ!」


激しく鳴り響くベルの音で現実へと戻された僕の意識は、すぐに目を覚ました。


「ヤバっ、寝過ごした!」


ベルの音を止めながらベッドからおり、パジャマを脱ぎ捨てる。登校まで、残り20分を切っている。


「行ってきます!」


誰もいない家にそう声を投げ入れ、鍵を閉める。ダッシュで向かってギリギリ間に合うかどうかの時間帯だった。


急いでいたから、なんて言い訳をするつもりはないが、その時の僕は目の前に迫っている男性に気づくことが出来なかった。


ドンッと鈍い音を立てながら少し小柄な男性とぶつかってしまった僕は、その衝撃でカバンの中身をぶちまけてしまった。


「す、すみません!」


「すまん!怪我ないか?!」


心配そうにしゃがんで僕の荷物をかき集めてくれるその男性は、活発そうな髪型でこの辺じゃ珍しい関西弁をまとっていた。


「あ、全然!大丈夫です!」


「ほんまか?そしたら俺急いどるから!」


最後の最後まで僕に謝り続けて、その男性は行ってしまった。明らかな僕の前方不注意だったのに。


「って、僕も急いでるんだった!」


慌ててカバンを握りしめると、そこには僕のではない青色のブレスレットが落ちていた。


(さっきの男の人のかな…)


そのとき、遠くの方からチャイムが聞こえてきた。そのままそこに置いておくわけにもいかなくて、そのブレスレットをポケットにねじ込み僕は走り出した。





僕らのいるこの世界では、悪魔の存在が科学的に証明されている。そんな悪魔と契約をかわし、人間に害をなす悪魔と戦うことの出来る人間を、僕ら人類は契約者-コントラクター-と呼んでいる。しかし、その契約者になれる素質のある人間は、人口の約3割程度。その他大勢の人間と契約者は、基本関わりは持たない。なぜなら契約者は幼い頃から専用の施設に入れられ専用の知識を学ばされるからだ。


そして僕の通うこの学校はその他大勢の方。


「伏見徹-ふしみてつ-!遅刻だぞ!」


「す、すみません!」


教室の後方の扉からバレないように入ろうと思ったが、すぐに見つかってしまいクラスメイトに笑われてしまう。


「テツ!おはよ!何、寝坊?」


そう声をかけてきた少年は、小学生の頃からの友人で僕が気軽に話せるうちの1人だった。


「うん、ちょっと寝過ごしちゃって」


「珍しいな、普段クソ真面目なお前が寝坊なんて」


「クソは余計だよ、ばーか」


カバンを机の横に掛けながら軽く笑って言い返す。そんな日常、何も変わらない、人生の1ページ。変わったといえば、人生初の寝坊くらいだろうか。


「遅刻してきたと思ったら今度は無駄話か、伏見?お前、今日罰として科学準備室の掃除な。あそこめっちゃ汚いから」


教卓の前で薄黒い笑みを浮かべる担任は僕の名前だけを呼び、僕にだけ罰を与えた。


「えぇー!僕だけ?!」


「どんまい、テツ」


隣で親指を立て、まるでイタズラが成功した子供のように笑う少年に僕はため息しか出なかった。







「うっわー、これ1人で片付けるのかよ」


明らからに理不尽な量の本やら書類やら、加えて実験道具やらが溢れかえっているその教室に1人でやってきたが、これはもう文句を言わずして出来る範囲ではなかった。


「てゆーか、定期的に片付けろよな。こんなの1人に任せてんじゃねーよ」


後ろから声がして振り返ると、隣の席のあの少年が立っていた。


手伝いに来たぜ、と白い歯を見せ笑う少年がもはや僕には救世主にしか見えなかった。


「今日は部活なかったんだよ。それに、テツ1人だと絶対力足んなくて荷物運べねーと思ったからな」


「それ、僕に非力だって言いたいの?」


相変わらず、そんなノリの会話をしながらとりあえず目に付くものから片付けることにした。今は約3時半。6時までには帰れるだろうか。そんなことを考えながら僕達は必死に作業に取り組んだ。


だからか、窓の外の異変に僕ら2人は気づくことはなかった。


「んー、結構片付いたね」


「だな!てか、元が汚すぎるんだよ」


「ほんとそれな…、てか今何時?」


「あー、そういえば何時だろう。うわ!てか外真っ暗じゃん!」


そう言われ窓の外に目をやると確かに真っ暗だった。でも僕にはそんなに長い時間やり続けていた感覚も無ければ、第一、こんな時間になるまでに先生が一度もやってこないのはおかしかった。


「雨、降るのかな?」


窓を開け空を仰ごうとしたが、その窓は開く気配がなかった。まるで、その空間に固定されてしまっているかのように。


「え、ちょ、なんで?!あ、かないんだけど!」


「は?テツお前、どんなけ非力なんだよ。代われって」


そう言ったものの、その少年が動かそうとしても窓はあかなかった。


「やべ、壊した?これ」


「てか、元から壊れてた、とかじゃないの?」


とりあえず職員室へ行こうと扉に手をかけるが、その扉もまたびくともしなかった。


「はぁ?!ざっけんな!閉じ込められてんじゃねーか、これ!」


僕らのいる理科準備室は人が5人ほど入ればいい方の狭さで、ここで一晩過ごすのはかなり窮屈だった。


「け、ケータイ!って、今日置いてきたんだった!」


「くっそ、俺充電切れてんだけど!」


詰んだ。これはもう、諦めて明日まで待つしかない。そう思った。そんなとき。




コツン…、コツン、コツン…




廊下を歩く音が静かに部屋中に響いて溶けた。


「誰か来た!おい!開けてくれ!閉じ込められてんだ!」


ドンッ、ドンッと扉を叩きながら大声で叫ぶ少年を見ながら僕は底知れぬ不安感と違和感に襲われていた。


(普通、廊下を歩くのにこんな音はならない。それにこんな真っ暗なら相当遅い時間のはず、なのに人がいるなんて)


そこまで考えたところで違和感がハッキリとしたものに変わった。



(な、んで…!時計が、ない…!)



確か僕は作業を始めるときに今の時刻を確認したはずだった。それが確か3時半。それなのに、ごく当然のように、時計は、あったはずの場所から、黙然と消えていた。


「ダメだ!扉から離れろ!!」


「…は?」


扉を叩く少年に叫んだ。だけど、僕のそれは、もう遅かった。キョトンとした表情で振り返った少年の後ろの扉が黒く大きなもやをまとう。


それは、見覚えのあるものだった。

そう、ちょうど今日見た夢にも出てきた。


「あ、…悪魔だ!」


僕の叫びと同時に、その気配を悟った少年。バッと振り返るが遅すぎた。その大きな手は少年の身体をゴムまりのようにはじき飛ばした。いつの間にかここは理科準備室なんかではなく、赤い月が空に浮かぶ、暗い世界になっていた。


「グッああ!」


軽く5メートル程飛ばされた少年は、苦しそうに唸る。確実にどこかの骨は折れてしまっているだろう。


「クソッ、なんで学校に悪魔が!」


普段、悪魔は僕らの住む世界とは違う、別世界に住まう。その悪魔がこちらに来たとき、必ず門-ゲート-が開かれ、町内にあるブザーが鳴り響く。なのに今回、それがなかった。つまりは。


「契約を破棄された悪魔!」


ソイツは、憎らしげに笑い、そして咆哮した。まるで行き場のない怒りと悲しみを、世界に知らしめようとするかのように。


(とにかく、あいつを連れてここを離れなきゃ)


少年に目をやると、少年は起き上がる気配すらなく、ただ倒れ込んでいた。腹部からは多量の出血が見られる。このままだと、多量出血で生死に関わるかもしれない。


だけど、僕の行く手をどす黒い大きい塊が塞ぐ。


『グァァァアアアア!!!』


頭の中にまで響くその咆哮は、少年を起こすことはなかった。代わりに、僕の脳内に、大きなトラウマを引き起こす。



___あぁ、また、目の前で人が死ぬ。




悪魔の大きな手が僕に向かって降ってくる。ただ、今の僕にはそれを避けようとか、そんな考えはなく、ただただ、絶望した。


友人の死に。自分の死に。


「くっそが!!」


突如、目の前に現れた少し小柄なシルエット。それは、さも当然のように悪魔の大きな手を受け止めた。


「なんで逃げへんのや!!」


こちらを振り返ったその顔は、どこかで見た覚えがあったが、脳の機能をほとんどがショートしてる今、思い出すことは出来ない。


「ほら、立て!ほんで走れ!!」


背中をバシンと叩かれ、ようやく現実に戻された。


「…!で、でも、あなたは?!」


「俺はこいつしょって後から逃げる!お前ははよ逃げろ!」


男性が指さした方向にはこの世界に不似合いな、白い扉があった。どうやらそこから元の世界へ帰れるようだ。


そうしてる間にも、悪魔はこちらへ向かってくる。男性は少年を背負いながら、悪魔に手を伸ばした。その手の中には、黒く鈍く光る、偽物のような拳銃が握られていた。


「お前、無駄にデカイのムカつくねん!俺にも身長分けろやぁ!」


なんて理不尽なことを叫んでいるのだろう。でも、そんなことを叫びながらも男性は悪魔に向けた拳銃の引き金を引く。


そこから放たれたのは、僕らのよく知る弾丸なんかではなく、赤く輝く閃光弾のようなものだった。


それは悪魔の右肩を勢いよく貫いた。貫かれた悪魔は苦しそうに叫び声をあげる。


「ほら!もういっちょ!」


続いて2発の閃光弾を、悪魔の胴体に向かって放った男性は僕を振り返りポケットを指さした。


「お前のそのポケットの中のもん!それ俺に投げろ!」


「ポケットの中のもの、って、あ!」


朝拾った青色のブレスレット。そうだ、この人は朝僕がぶつかったあの人だ。


ポケットの中を探ると、それはすぐに姿を表した。ただ、それは朝拾ったときと違い、青く光輝いていた。


「えぇ!なんでこんな光ってるの?!」


「はぁ?!光っとるって、お前!って、うあ!!」


僕がもたもたしてる間に、悪魔は体制を立て直し、また男性に襲いかかった。男性は辛うじてそれをかわすが、少年を背負ってる分、動きづらそうだった。


「くっそ!どんなけお前タフやねん!」


また拳銃を構えなおす。が、一瞬、ほんの一瞬出遅れてしまい、悪魔の攻撃をもろに受けてしまった。少年を庇いながら受けたせいで、体のど真ん中に全力の攻撃を受ける。


辛うじて倒れ込むのは防いだようだが、足元はさっきよりも不安定になってしまった。


「くっそ、マジ勘弁してくれや。こっちは今契約者がおらんくてなんも出来へんっちゅうのに」


「…け、契約者?」


「…!あぁ、お前が居るやんか」


ふとこちらに視線を向けた男性は、人間では到底無理な距離をジャンプしてこちらまで来てしまった。それには悪魔も予想外だったようで、全く追いつけていなかった。


「お前、そのブレスレットつけろ」


「は、え?!て、今そんな状況じゃ!」


「ええからはよつけろっ!」


半ば無理やり青く光るブレスレットを付けさせられた僕の手を、男性は強く握り、僕の聞いたことのない言葉の羅列を読み上げだした。ただ一つ、僕が聞き取ることの出来た単語は。


《契約せよ》


という言葉だった。その言葉が放たれたその瞬間、僕と男性の周りを青い光が囲んだ。


「えぇ!な、なに、これ!」


「お前、悪魔は知っとるな」


「え、いや、知ってるも何も、あの黒いやつが悪魔だろ!」


「そう、あいつ”も”悪魔の一種や。そして、俺”も”、その一種。悪魔や」


ニヤリと笑うその男性の言った意味がすぐには理解出来なかった。今まで教科書などで習ってきた悪魔の姿は、あの黒く大きな生物の姿をしたものばかりだった。それが、いきなり人間の姿をした悪魔だなんて、そんなはず。


「今、俺とお前は契約された主と下僕や。さぁ、主よ、俺になんなりとご命令を」


両手を広げ、そんなことを言った男性のすぐ後ろにアイツはもう迫っていた。


(命令なんて、そんな、こと言われても!僕に何が出来るっていうんだ!何を命令すればいいんだよ!)


今まで過ごしてきた日常がいきなり壊れた。壊れた挙句、主なんかにされた。そもそも、自分が契約者だったなんて今まで知らずに生きてきた。そんな、突然の連続の中、こんな現状を理解しろなんて。信じろなんて。それでも近くに倒れている少年を見て、せめて、僕の日常は壊れてもいいから。こいつの日常だけは壊しちゃいけない、そう思った。


「ぼ、僕らを、僕らをアイツから守れ!」


それが、僕に出来る最大の恩返しだった。こいつにはたくさんの借りがある。こいつは、僕のたった1人の親友なんだ。また、大切な人が死ぬのは、もう見たくない。助けたい。


右腕に激痛が走った。袖をまくって見てみると、そこには黒い模様が描かれていた。それは、男性の腕にも出来ていた。


「よっしゃ、んじゃまぁ、暴れるで!」


青い光をまとった男性は、先ほどの攻撃で受けた痛みなど感じさせない、軽快な動きで悪魔に向かって走り出した。体の大きい悪魔は、その素早い動きに追いつくことが出来ずに背後に回られる。


「図体ばっかデカくても、強いわけじゃないんやで!クソ悪魔!」


いつの間にか拳銃が1丁増え、両手に構えた拳銃から、さっきとは比べ物にならないぐらいの威力の閃光弾が放たれた。それをまともにくらった悪魔は、膝から崩れ落ちる。


「おら、トドメや!」


拳銃の姿が、1丁の大きな機関銃に変わる。それを悪魔の頭部に突きつけ、1発、大きく放つ。


周りが、ふと明るくなり、その眩しさに目を閉じる。ゆっくり目を開けると、目の前にはまた汚くなってしまった理科準備室と、倒れている少年と、その横に不自然なほど自然に佇む男性がいた。


「おぉ、助かったわ。この少年は、多分もう大丈夫やろ」


見下ろした先のその少年は、さっきまでおびただしい程の量の血が流れていたのに、今では出血はおろか、服に汚れすら付いておらずただ静かに眠っていた。


「…よ、良かった…」


力が抜け、膝がカクンとしてしまい座り込んでしまった僕に、男性が手を差し伸べた。その手を握ろうと手を出すが、僕の手はガクガクと震えてしまっていた。


「まぁ、無理もないやろ。いきなり悪魔に襲われたんやからな」


優しく微笑むその男性に手を掴まれ、ぐいっと引っ張りあげられるようにして立ち上がる。


「しかし、お前。なんで契約者なのに一般高校に通っとるんや?そういう任務なんか?」


「ち、ちが!僕はノーマルだ!…、少なくとも、さっきまでは…」


普通、契約者として判断されるのは生まれた直後の検査によってだ。それが、その検査にかからずにノーマルとして生きている中、突如として契約者として才能を開花させるなんて、そんな話聞いたことなかった。


「なんなんだよ、今日は…!朝から初めてのこと起こりすぎだろ…、もう頭が追いつかねーよ…!」


項垂れる僕の肩に男性は手を置いた。



「この教室だ!ここから悪魔の存在が感知された!全員構え!」


突然聞こえだした別の人間の声。それに驚きつつ、ほっとする。その僕に反して男性は、顔を真っ青にして冷や汗をかきだした。


「や、やっば!怒られる!はよ逃げな!」


「もう遅いわよ、テヅカ」


綺麗な高音、澄んだ声質。それとは反対に冷たく空気を凍らせるような言い方。


「あ、あぁー…、リサ、早かったなぁ来るの」


「テヅカが終わらせるのが遅いのよ。てゆーか、なに、そいつ」


人差し指でこちらを指さす”リサ”と呼ばれたその少女は、契約者の制服を身につけていた。見た目は、まだ僕と同い年かそれ以下のように見えるが、腕には隊長と示された腕章がくくられている。


「あぁ、こいつな。お前の代わりに俺と契約して命令してくれたやつや」


「…見たことない顔だけど?何者、こいつ」


「ぼ、僕は!ただの一般人、です…」


「はあ?一般人がテヅカと契約できるわけないでしょ?何を隠してる、お前」


僕のすぐ目の前まで迫ってきたその少女の顔立ちは、とても整っていて、笑えばもっと綺麗なのになんて考えてしまうほどだった。しかし、その少女の表情は、僕に対する疑いや素人の僕でも感じられるほどの殺気に満ち溢れていた。


「か、隠してなんか!」


「あー、ちょう、ストップ!リサ、こいつ怯えとるやろ、やめろ!」


テヅカさんが僕とリサさんの間に割って入り、リサさんの肩を少し押しながら僕らに距離を取らせる。


距離が空いても、リサさんの殺気は緩むことなく、むしろ少し悪化してるんじゃないかと思えるほど顔が不機嫌そうな表情に変わっていく。


「すまんな、お前もう疲れとるやろ。話はまた後日ってことにして、帰ったらどうや?その少年は俺が運んでやるから」


「ちょっとテヅカ、何勝手に決めてるの!主は私よ!命令に従いなさい!」


そう言った瞬間、リサさんの首にある模様が赤く光る。それと同時にテヅカさんの首の模様も赤く光出した。


「あぁー、お前、本当にセコイな」


「あんたが私に逆らうからよ。コイツを拘束しなさい」


冷たく言い放たれたその言葉。それは、僕の日常が完璧に崩れてしまうものだと、直感的に察知した。


「そ、そんな!僕は本当に何も知らない!」


「あんたには何も聞いてない。黙って私たちと一緒に来てもらうから」


(ふ、ふざけるな!どうして、僕だって今この現状を把握しきれてないのに拘束なんて!てか、この子もテヅカさんと契約してるのかよ!そんなのありかよ!)


頭の中で色々な考えがぐるぐると巡り回る。その中で、僕は一つの仮説にたどり着いた。


「…、て、テヅカ!僕の命令を聞け!」


突然大きな声でそう言った僕に、周りの人間は皆驚いて目を見開いた。その中でも、リサさんとテヅカさんは特に驚いていただろう。


「な、何コイツ、私の契約に勝てるわけないのに!」


「いいから!僕を拘束するな!」


狭いこの部屋に怒号が共鳴する。そんな怒号の中、赤い光と青い光が部屋中に乱反射して目がチカチカしてくる。


テヅカさんはどちらの命令に従えばいいのか分からず体を固めている。いや、そんな理由ではないのかもしれない。2人の契約者が同時に正反対の命令を下したせいで、どちらの命令にも応えられてないだけかもしれない。


それでも多分、これに押し負ければ、テヅカさんは僕を拘束するだろう。


だったら押し負けるわけにはいかない。正直力の使い方とか、そもそも力がなんなのかすらわかっていない中、相当不利な賭けだった。


「テヅカ!私の命令を聞き入れなさい!」


「テヅカ!僕の命令を聞け!」


2人の同じ発音で全く別の意味の言葉が響き合う。その瞬間。


パキンッ


そう音を鳴らして何かが砕けた。その場の全員の目線が、リサさんに集まった。その音は、リサさんの髪飾りが割れる音だった。


音を立てながら砕け散ったその髪飾りを、リサさんは呆気にとられたように見つめた。


その瞬間、部屋に溢れていた赤と青の光が青一色に塗り替えられた。つまり、僕が押し勝ってしまった、ということになる。


「な、なんで、私の契約が破棄されてるの…?!」


「…お前、本当になにもんや」


部屋中の人間の視線が僕に集まる。それでも僕は今の状況を把握しきれず、ただただ、苦笑いするしかなかった。


後書きってなにこれも分からない←


ゆっくり気ままに更新していければいいなって程度です。初投稿でわけわかめなんだけどどうしよう((

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