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その出会い、運命により。

「はぁ。今日も不幸だった...」

そんな言葉で今日を終えようとしていた俺。俺の名前は天来あまき れん17歳。人一倍、いやそれ以上に望まないことが起こる程度に不幸なだけで、勉強や運動は常人以上にできる高校生だ。正直完璧超人だと思う。不幸が度過ぎなければ。

俺の不幸は物心ついたころには始まっていて、結構苦しんでた。最近はあんまり気にならなくなってきたが。

「いつか周りの人のように普通の生活を送りたいなあ...まあ、無理な願いってか」

そんなことをつぶやきながらパソコンをいじっていた。

「これだって普通の人が使ってたらもっと早く動くんだろうな。俺がいじっても早く動いてくれたらいいのに..ってあれ?フリーズしたか?」

また始まった。急なフリーズ。これもまた俺の不幸からなんだろう。

「ダメだな..完全に壊れてる。」

そう確信して、画面の電源を消そうとした時、

『君は本当にただの不幸なのかい...?もしそれが君の能力だったらなんて考えたことはないのかい..?』

声。それは確かにはっきりと、そしてこの部屋。俺の部屋から聞こえる。

「誰だ?勝手に人の部屋に上がり込んで...」

ちょいと度胸のある人間で良かったと『初めて自分の運を良く』感じた。

「とりあえず入ってきたからには追っ払ったりはしない。大人しく姿現してくれ。」

『あら、随分度胸のある人間だね。いいよ。出てきてあげるから少しお話ししようよ。』

その一瞬、目の前に閃光が現れ視界を包む。一瞬にして広がる光はその後一点に集中され、一人の幼い男が現れる。だが、決して人間じゃない。確かに人間のように見えるが背中から翼の様なものが生えてる。

「何なんだよその翼..それがただのコスプレ衣装とかだったら俺も嬉しいが...」

もちろんあれは本物でしかない。『あれが偽物なら俺が嬉しいのだから』。

「わかっているとは思うけど、この翼は本物。薄々気づいてるだろうけど僕はこの世界で生まれたものじゃない」

「そんなことだろうと何となく予想していた。そしてお前は『俺をお前が生まれた異世界へ送ってそこで起きるいろんな厄介事に巻き込む』つもりだろう?」

「大体あってるね。でもなんで分かったのかな?理由を聞きたいよ。」

「そんなこと、お前には言わなくてもわかってるんだろう?」

ここまで俺が話したことは一つも狂いなくあってる。そう確信できる。なぜなら、話した内容はすべて『俺が今思いつく不幸のすべて』だからだ。

「でも俺は嫌だね。俺は普通を手に入れたいんだ。そんなのと程遠いことなんてやりたくないね。」

わかってる。俺はあいつが言う異世界に行かなきゃいけないって事ぐらい。だがやはりやりたくないことはやりたく無い。

「じゃあもし、君が言うその異世界が君にとっての普通だったとしたら?」

「...なんだって?」

「結論を先に言うと、君も僕と同じ世界で生まれた。そして、君を不幸にさせているのは君の能力なんだよ。」

唖然とせざるを得なかった。

「能力者ってことかよ...俺は」

そんなこと一度も考えたことがなかった。いや、『そうであることが嫌で逃げ続けていたとしたら?』それなら答えは簡単だ。Yes。そうである以外にない。

「だがいくつかやはり解せない点がある。それはお前がなぜ俺が能力者であり別世界の人間であると確証できたかということだ。それだけはっきりと断言するからにはそのワケを聞かせてほしい。」

確かに俺が能力者で別世界にいた存在だってことは認めたくないが現実のようだ。だがあいつはなぜそれがわかったのか、それだけはどうしてもわからない。どう答えたって俺が不幸になるわけでもないからこそ、それだけは理解しがたかった。

「それについてははっきりとした理由はないんだ。」

なんだと?まさかただの当てずっぽうで俺が能力者だって当てたのか?いや、だがそれはありえんだろう。

その後少年は言葉をを続ける。

「はっきりとした理由はないけど君がそういう存在ってことは確証できる。君にだってあるでしょう?そういう経験。よくわからないけど絶対の確信を得たって。」

ああ。確かにそういう経験はある。だが、これはそんなんで片づけられる大きさなのか?

「...少し呆れてきた。確かに俺が能力者ってことも多分、いや絶対あってるだろうがそこまでも曖昧だと少し笑ってしまう。」

「確かにそんな適当な理由じゃ納得できないよね。僕もそうだとは思ってたんだよね。」

お前なあ...そう思ってるならもう少し確証をもってから来てくれよ...なんて言いたかった。

「でも、曖昧だからこそ僕たちの世界に来てもらえると思った。これも予想だけど君ってそういうのって自分で確かめないと嫌な人だよね?だからこそ自分の本当の正体を確かめに僕とともに来てほしいんだ。」

なるほどな。ははっ。全部読まれてやがる。なぜか分からんがあいつの言う事と俺の思考は一致していた。確かに今までの経緯から正直決意してた。その世界に行くってことを。


だがやはり不安はある。本当について行ってもよいのだろうかと。これがもし何かしらの罠だとしたら...

だがそんなことよりもっと不安で確実に起こりうる運命はそれではない。

「お前の口車に今は乗っておこう。だが一つ俺からは忠告、いや予言って事にしておこう。

この後俺たちが異世界へ着いた後確実に俺たちの敵になるやつが出てくる。そいつの襲撃を食らうことは確実だろう。そのことについてどうにか対策がほしい。俺の能力も今のとこ分かってないし、肝心なお前はどうも戦闘は不向きと見た。そんな状態で襲撃を食らえば行ってすぐに殺される。」

「たしかにそれはそうかもしれないなあ。僕も戦闘は不向きだし、そうなってしまったら負けるのは必須。

そして君が予言したって事は多分それが逃げられない運命なんだろうし...

でも本当に君は自身の能力を何かわかってないのかい?」

「ああ。今のところ俺自身の能力ははっきりわかってない。


ただ推測はある。一つ。それもまあただの推測でしかないけどな。」

たった一つだけ。そう一つだけ。

「それに俺が予言しちまったことはどうあがいても逃げられないんだろう?だがもし俺の能力が俺の推測と一致するのであれば逃げ切る、いや倒すことも可能だろう。

本当はお前にどうにか逃げ切ってくれる策を考えてほしかったが、どうやら自分で墓穴を掘っていたようだからな。それなら俺が何とかするしかないだろう?」

「...全く君は本当に度胸のある人間だね。了解。それじゃあ僕たちの世界へ肉体、精神を転移させるからつかまっていて。」

「わかった。

さて、どんな世界なんだろうかなあその異世界ってのは。ちょっとだけ楽しみになってきた。」

少しづつ意識が遠のいてゆく。身体も足からゆっくりと浮いていくような感覚になる。

「俺の能力、どれだけのものか..」

自分の能力。それがもし推測と合致するのであれば、それは最高の不幸にして最強の能力であろう。

今俺が考えているのはそんなクソも面白くないこと。



もし、『自分にとっての最悪が必ず起こる能力』であるとすれば。

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