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プロローグ

 八〇と六年前。


 西の獣人、東の人が五〇年に渡って争った大戦。

 激戦と冷戦を繰り返し、双方ともに疲弊した頃。

 一人の少女イヴが現れたことにより、人が士気を盛り返した。

 膨大な魔力と優れた武勇、絶世の美貌、慈悲深い性格。

 イヴは一人で数百の軍勢を圧倒し、活路を開いた。


 最前線で戦ったイヴを、彼女に救われた人々は慕った。

 しだいに、彼女を慕う人は増え、何時しか聖女と讃えられるようになった。






 これ以上の犠牲を望まなかったイヴは、一人で獣人の王の前に出向いた。

 互いの平和のために。

 最初は争い、追われ、けれど諦めることはなく幾度も訪れた。

 争いの中で互いの意思をかわし、話し合いを重ねた。


 ようやく作り上げた和平。

 その終着点は不可侵協定。

 樹海に接する三国が境界に結界を張ることで、不可侵を守ることを決めた。


 互いに互いの領土を荒らさぬように、互いは互いの民の幸福のために。

 イヴの願いは獣人達の願いでもあった。だから、不可侵協定に頷いた。

 不可侵のために結界で境を確かなものに、と提案したのはイヴだった。


 イヴの膨大な魔力で結界を張り、それを維持するための宝珠を三国の王家に与えた。



 これ以降、大陸に平穏は訪れた。


 当時、イヴは二十歳。

 年若く美しいイヴを、王妃にと望む国は多かった。

 イヴは自分の国と滅びたいくつもの小国を合わせて作ったサヴェラス帝国から離れなかった。

 皇帝位を謝絶していたイヴを民と戦友が説き伏せ、初代皇帝として即位した。


 戦時中から、想いを通わせていた騎士カインと婚姻、一人息子を得る。

 幸福と安寧の中、民が安堵に笑みを浮かべた頃。

 イヴは病に倒れ、わずか二五歳でこの世を去る。


 大陸中が悲嘆にくれる中、カインは息子が成人するまでの中継ぎとして第二代皇帝に即位。






 誰もが愛した聖女帝イヴ=ラディエラ=サーディエラン、享年二五歳。


 『サヴェラス帝国記・皇帝ノ章・聖女帝イヴ、より抜粋』




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