第四話 本音
これ以上嘘はつけない。私は、この人が好きだ。
「…飛鳥君だってみたでしょう?もう、あとどのくらい生きられるかわかんない人間が人を好きになっても幸せになんて…なれないんだから。無責任なことしないでよ!私なんか好きにならないで。私なんかにかまわないで。飛鳥くんのせいで…私、死ぬのが怖くなった。飛鳥君のこと好きになって、もうどうしていいのか解らない。生きたい。私、もっともっと生きたいよ!大人になって、大好きな人と沢山の所へ行くの。そんな事すら私には出来ないの。だから…。」
晴海は自分がいつの間にか飛鳥を本気で好きになり始めていることに気付いていた。
だから私は自分が死んだとき彼を悲しませない為に彼を拒絶し続けていた。なのに。
…どうして、私たちは出会ってしまったんだろう。
世界はこんなに広いのに、人間はあんなにも沢山いるのに、どうして私だったんだろう。生まれてはじめて出来た大切な人をおいて逝かなければいけないなんて。そんな残酷なことはないのに…。
「ねぇ、飛鳥君。きっと私達が出会ったのは運命だよね。そう信じてもいいよね。」
「あぁ。海影さんが…あと少ししか生きられなくても俺たちは離れたりはしないよ。」
その時の私とアナタをツナグのはたった一本の赤い運命という糸だけだった。
「ある意味私は幸せ者だわ。自分よりも大切な人が私より先に死ぬことはけしてないんだから。ねぇ、飛鳥君にお願いがあるの。」
晴海はなにかを決心したかのような、そんな顔をしていた。
「何?」
飛鳥はぎゅっと拳を握りしめた。
「一つはね、私が死んでも必ず幸せになること。もう一つは私の事を忘れないこと。最後に、私を晴海と呼んで。お願い聞いてくれる?」
飛鳥は「もちろん。」と微笑んで晴海を抱きしめた。
その日から私たちは恋人になった。