第三話 二回目
「海影さん…そんなにおれの事嫌い?」
「違っこれは、私が…なんでもない。もう帰って。迷惑よ。」
言ってはいけない。これは私の問題なんだから。
「嘘だ。じゃぁどうしていつも泣きそうにしてるんだよ!」
海影さんの事が好きなんだ。この世界の誰よりも…信じてくれよ。俺はもうあの時みたいに小学生じゃないんだ。三年前みたいに笑ってくれよ。その為なら何を失ってもかまわない。だから名前を呼んで…好きだっていってよ。本当にもう大切な人を何もせずに失うことだけはしたくないんだ。」
飛鳥はそれだけを言うと後ろを向いて走り出した。
「あっ飛鳥君。待っ…うっ…なんでこんな時に…。飛…鳥君。」
飛鳥を追おうと走り出した瞬間、晴海は地面へ倒れた。
「海影さん!おいっどうしたんだ。」
「飛鳥く…平気だから…。」
「おいっ!」
晴海は飛鳥の声を最後に意識を失った。
「海影さん…。」
飛鳥は公園のベンチに晴海を寝かせ、一人頭を抱えた。
「また、俺は大切な人を失わなければいけないのか…。」
「飛鳥、君。泣いてるの?大丈夫?」
晴海はゆっくりと起き上がり飛鳥の頬に触れた。
「へへ。飛鳥君が泣いてるの2回目だね。一回はたしか、私を間違えたんだよね?…飛鳥君?」
私は精一杯笑った。心配かけないように、「私は大丈夫だってよ」って何にもなかったかのように…。
「海影…好きだ。」
飛鳥は俯いたまま呟いた。
……海影。
そんな風に呼ばないでよ。私、自分に歯止めが効かなくなる。
「迷惑だっていったじゃない。」
それが、精一杯の言葉。私は泣きそうになるのを必死に堪えた。
「じゃぁなんで泣いてんの?」
晴海は飛鳥に言われて初めて自分が泣いていることに気が付いた。
もう、限界だ…。
晴海はそう悟った。