第一話 虚ろ
私とアナタをツナグのは、たった一本の赤い糸だった。
そう信じている。
ずっとずっと、何年も前から。きっと貴女よりずっと昔から…。
きっとこうなる事は運命だったのだろう。
そう信じたい。
大切なモノなんて何もない。
虚ろな人生。
ソンナノイラナイ。
だから、一人にしないで。
ねぇ、後どのくらい私は生きられる?
どのくらいこうして普通の生活を送っていられるの?
一年?
半年?
一日?
それさえも解らない。
解らないけど、
私は、私は…。もっと、もっと生きたい。
アナタが私を好きでいてくれる限り。
私がアナタを好きでいる限り…。
海影晴海。
暗く見える夜の海も、必ずどこかに太陽は見えている。貴女はそんな綺麗な名前なんだから、いつも明るくいなさい。誰かの光になれるように…。
それは両親の口癖だった。
普通の女子校に通う高校一年生。
「海影さん。付き合って下さい。」
そんな学校に迷い込んだ一人の男子。
この人、佐々木 飛鳥は三つも年下の中学一年。
「佐々木君!迷惑なの…ついてこないで。」
佐々木君の事を嫌いではない。いや、むしろ好きだ。
でも、私にはおおきな欠陥がある。自分ではどうすることも出来ない、大きな欠陥。
それが私が彼の気持ちに答えられない第一の理由。
「私に…付きまとわないで!」
晴海が飛鳥の手を振り払おうとすると飛鳥は悲しそうに手を下ろした。
「そんなに、俺の事嫌い?」
本当は私だってこんなこと言いたくはない。
この人は本気じゃない。
そう思い込むことで自分の心を保っていた。