慈悲部の慈悲部による残念な日常
――俺たちは、一体何をしているのだろう。
俺たちは何のために動いているのだろう。
そんな事を思うのは日常茶飯事だった。
まぁいくら探しても結局答えは見つからないに落ち着くのだが。
日曜日。本来なら家で過ごしているこの日……。
雲一つない青空の下、俺たちは田植えに勤しんでいた。
「ぶぁっ!? 何すんじゃクソッタレ!! 泥かけんな汚ねぇだろが消えろ死ねアバズレが!!」
「ははっ、泥が冷たくて気持ち良いだろ泥人間。あ、間違った、人間泥。泥語は人間に通じんぞ。因みにわざとだ」
「くんのやろぉ……!!」
可愛い顔が泥で台無しの不憫な美少女――鷺原真波。全身緑のジャージに身を包み、怒濤の勢いで罵倒する。
対して真波の反撃をものともしない切り返しを繰り出す黒い長髪の美少女――内ヶ咲桔梗。根っからのSで、俺が田植えをはじめとする様々な活動をする羽目になった全ての元凶である。
「おいお前ら、こんな時ぐらい仲良くしろよ…。て言うか働けよ」
「「あ゛あ゛?」」
「な、何でもないです」
この2人が争いを始めると、部員の誰一人すら止める事が出来ない。
「相変わらずですね……桔梗先輩と真波先輩」
「ああ…アホだな。どっちも頭良いけど」
部員の一人――朝霞雫と共に呆れていると、ひょっこりと隣に現れた五反田忍。こいつも部員の一人だ。
「理生先輩。止めないのですか?」
「…俺で止められると思う?」
「理生先輩なら……あるいはと」
そうだと良いんだがな。
戦闘を繰り広げている2人を余所に黙々と作業を続ける五反田時雨を見て、ああ、偉いなあと感心する。忍とは双子の妹であり、とてつもなく可愛らしい少女だ。
三戸谷理生。内ヶ咲桔梗。鷺原真波。朝霞雫。五反田忍。五反田時雨。部員六人顧問一人の計七人で活動をするその名は――『慈悲部』である。