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第9話:クラウド、ジャポスカと出会う!そしてアレクサンドラはとうとうルクセブルから秘密を聞き出す



クラウド10歳








ある日の庭での出来事。


その日は剣術の授業が終わったあとのことだった。








「ニャー」






「わぁっ!黒猫?」






クラウドはびっくりした。とても上品な黒猫がいたのだ。






黒猫はクラウドをじーっと見た。クラウドも黒猫をじーっと見る。






〝キャハハ!キミオモシロイネ〟








「───────ね、猫が喋った?!」










クラウドは思わずその場で尻もちをついた。






〝ワタシノコトバガワカルノネ〟








「な…なんで?」








〝ワタシ、ジャポスカ。アナタ…ルクセブルノコドモネ〟








「う…うん……。」








クラウドは不思議だった。






「父上を知ってるの?」








〝ヨクシッテルヨ。ルクセブルノコダッタラ ワタシノコエガキコエルネ〟








「じゃあ、フランやアドルフも?」








〝ワォ!ルクセブルヤルジャン!キットシアワセナンダネ〟








「うん、僕たち幸せだよ!」








〝ワタシ キミ、キニイッタヨ。マタクル〟








「僕も!次いつ来る?」








〝サアネ、ダケド チカイウチニ マタクルヨ〟








そう言ってジャポスカはサッとその場から消えた。






クラウドはしばらく固まっていた。






「今の、現実だよね?」






あまりにも一瞬のような出来事だったからだ。




〝お父様も知ってるのなら聞いてみようかな。〟








そう、クラウドは何でもルクセブルに話していたのだ。だから今回のことも当然話すものだと感じていた。


しかし……




〝なんか、特別な出来事だったから秘密にしたいな。〟




と、心の奥底から湧き上がるワクワクを止められなかった。










そんな頃、そのルクセブルはアレクサンドラに迫られていた!








「ま…、待って?アレン!」






ジリジリと詰め寄られるルクセブル。








「なぜか、おわかりですよね?ルク。」




「さ……さあ?」




この状況でもとぼけるルクセブル。






「はぁ~~~~~~っ、」




アレクサンドラは大きなため息をついた。そしてルクセブルの方を見て言った。








「ルク、もしあなたが私の状況ならどう思いますか?」






アレクサンドラの表情からは怒りよりも悲しみが感じられた。






「ごめん、話すよ…。その前に…」






ルクセブルの改まった聞き方にアレクサンドラは、あまりいい話ではない事を直感した。






「大丈夫よ、何を聞いても覚悟は出来てます。」






〝やっぱりバレてたんだよな、アレンを騙すなんて絶対出来ないな。〟




「アレン、クラウドが産まれた時に聖剣も生まれた話は覚えてる?」




「ええ、あの時は驚きましたもの。」






ルクセブルは静かに頷いてからアレクサンドラに尋ねた。




「じゃあ、宝飾の色は?」




「えっ?…………………確か、黄色だったわ。」




ルクセブルは今回も静かに頷いた。






「あの後色は変化したの?」






今度は首を横に振った。








「…………っ?!まさか…!!アドルフの聖剣は青?あなた、アドルフの剣について何も言わなかったわ!」






ルクセブルはアレクサンドラの顔を真剣に見つめて頷いた。


そして静かに口を開いた………。






「アルクレゼ侯爵家はアドルフが継ぐ…って事だ。」




「─────────っ!!」




アレクサンドラは衝撃のあまり両手で口を覆った。








「じゃ…、じゃあ…クラウドは?クラウドはどうなるの?」




今度はルクセブルは静かに首を横に振った。




「それは…正直僕にもわからない。こんな事は初めてだ。だが、確定しているのは〝クラウドはアルクレゼを継げない、継がない〟だ。」




アレクサンドラの目をまっすぐに見つめてそう告げた。






「そ…んな……。あの子、継ぐために必死で勉強も剣術も学んでるというのに………っ!」




「ああ、わかるよ、アレン。僕もその事に気付いた時に同じ気持ちだった。」




「クラウドは…、クラウドは、16歳まで………生きられ…ない?」




「アレン、それはまだわからない。もしかしたらクラウドにとってアルクレゼを継ぐよりも大切な何かが出来てしまうのかもしれない!」




「ルク……!!」




ふたりはしっかりと抱きしめあった。


こんなに悲しいのはあの夜以来だろう………。








婚約して間もない頃、ルクセブルに出征要請が出た時、ルクセブルの安否がわからない時、そして無理やり別の人と婚姻させられそうになった時……あの辛い日々以来だ。




あのあとからはずっと幸せで不安など何一つなく過ごせてきたはずなのに…。






「アレン、僕は何があっても最善を尽くすと誓うよ!だから君も…。」




「もちろんよ、こんの不安な話、クラウドには絶対知られてはいけないわ!」




「流石アレン…、話が早い。」




「でも、今だけは………。」




「あぁ、気が済むまでこうしていよう。」








1歳になったアドルフは4歳のフランが乳母と共に見ていた。






クラウドは真っ先にフランとアドルフのいる子供部屋に向かった。






「お兄ちゃま、ご機嫌ね。」




フランがクラウドの顔を見てそう言った。






「え?なんのことかな?」




「お顔がにやけてますわ。」




「へっ?」




慌てて自分の顔を触るクラウド。






その様子を見てフランは乳母の方を見た。




「おぼっちゃまもお嬢様も楽しいのが1番でございます。」




「ふふっ、そうね。」






その部屋は賑やかな子供たちの笑い声で溢れていた。




ご覧下さりありがとうございます。

とうとうジャポスカと出会ったクラウド。これから彼の人生が大きく変わっていきます。

また、ルクセブルの異変に気付いていたアレクサンドラもずっとルクセブルから打ち明けてくれるのを待っていたのに待ちきれず、聞き出すことに成功したものの、現実はあまりにも厳しかったのでした。

二人の絆はより一層深まりました。また次回をお楽しみに!



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