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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第78話:真実を知ったクラウド。百合の園でラナベルのそばで最期を迎える決意をする



ふっと意識が戻ったクラウドはゆっくりと目を開けた。目の前に見えたのはラナベルの心配する顔だった。




「ラナ…ベ…ル。」  〝……………そんなに心配しないで、僕のために……………。〟クラウドの心の声が漏れ伝わる。




その声を聞いて安心したラナベルは一気に感情が溢れて涙する。




「クラウド!クラウド…!よかった…‼」




クラウドは何が起こったのかわからなかった。ずっと夢を見ていて、困っていた自分に優しく手を差し伸べたのがラナベルだったのだ。








そして落ち着いてからラナベルはクラウドに状況を説明した。




この百合の園を1歩でも出ると途端に60歳を過ぎた老人の姿になってしまうことも…。




「そん…な…。そんな事が僕の身体に起こっていたんだね。仕方ないね。そのまま受け入れて僕は残りの時間をここで過ごすよ。」




「クラウド、そんなに簡単に受け入れられるの?」




「うーん、簡単でもないけど、どうあがいても変わらないんでしょ?そのルル様の言うことは間違いないのなら。だったら僕は受け入れてここで最期を迎えるよ。ラナベルとここで過ごせるなんて幸せだよ。」




「………………。」




複雑な思いでクラウドを見るラナベル。




「それで……、家族が僕を心配するだろうからお願いしたいことがあるんだ。頼めるかな。」




「ええ、私に出来ることなら何でも言って。」




そして二人でラナベルの家へと歩いて行った。








「家族に手紙を書くよ。僕は旅に出ることにしたってね。」




「だけどそれだけじゃあ、探して追いかけてこないかしら?」




「うん、だから定期的に手紙を届けて欲しい。何年分も書くから、とても面倒をかけてしまうけど…。」






そう言うクラウドにラナベルは首を静かに横に振って




「ううん。大丈夫よ。私に任せて。」






そうしてそれ以降、クラウドは時間が許す限り手紙を書き続けた。まるであちこち旅をしているかのように、そしてそれを何年分も用意した。最後には仮想の人物と出会ったことにしてそこで定住することにしたと綴った。




〝これを読むのはかなり先になるだろうけど…。本来ならこうして本当に妻を紹介したりしたんだろうな。親不孝でごめん。〟




クラウドは静かに涙した。








ラナベルは時折一人で泣くクラウドを見かけるが、見て見ぬ振りをして黙っていた。彼の辛さは何となく理解できるからだ。


そして何事もなかったかのように明るく接していた。最初こそはルクセブルとこうして暮らしていた日々の事を思い出して懐かしみながら彼への思いが深くなっていたが、クラウドが家族を思って自分が苦しいにも関わらず必死にペンを執る姿に同情以上の何かを感じていた。




〝クラウド、あなたの気持ちには答えられないけど、こうして少しでも一緒にいてあなたを支えてあげたいと本心で思っているの。〟












クラウドが突然思いついたように言葉を発した。




「あ、そう言えば!ここへ来る時に不思議なことがあったんだ。あれって僕が百合の毒に侵されていたからなのかな?」




ラナベルも家事をしていた手を止めてクラウドの言葉に耳を向けた。




「…?どういうこと?」




「うん、あの日って夜だったでしょ?なのに、ここへの道しるべとして光がずっと続いていたんだ。不思議だなとは思ってたんだけど、ここに近付くにつれて光の幅は広がるし、光の強さも強くなっていってさ、すごく不思議だったんだ。この園の性質でそうなんだと思ってたけど、よく考えたらここには誰も近づけないよね?」




「そんなことがあったの?初代様に聞いてみないとわからないわね。」




「ん?私はここにいるぞ。そやつの言う通り、毒に侵されていたから、ここへの道がわかったんだろう。」




初代ルルは突然現れてそう告げた。








「あなたがラナベルの言っていた、初代のルル様ですか。」




クラウドがルルのいる方を向いて言った。






「ほぉ~、我が見えるのか。それも毒の症状の一つか。」




「はい、初代様もお美しいお方ですね。今まで見えていなかったものが見えるっていうのは毒のお陰ですね。前向きに捉えます。」




「ハハハ…!お主は中々の男じゃの。気に入った!お主の手紙は我が届けてやろう。ラナベルは中々ここから出られぬからの。」




「ルル様、助かります。」






こうしてクラウドはルルの姿も見えるようになって、三人で会話する事も増えた。










ある日、ルルと二人っきりになった時のことだ。






「お主はラナベルを好いておったな。あやつの過去も知っての上か?」




「はい、僕のこの症状がわかった日にラナベルが話してくれました。まだ僕の父を忘れられないと…。」




「それでもお主の気持ちは変わらないのか?」




ルルはクラウドに聞いた。気まぐれ屋ではあったが、彼女は本来、情に厚いのだ。






「………………はい。僕は10歳の時に初めてラナベルに会ってから、ずっと変わらずラナベルが大好きなんです!この先、いや、もうホント短いですが、変わらないですよ。今更。ハハッ。」




そう言って笑った。






「うむ。わかった。」




ルルはそう言って何かを納得したようだった。それが何なのかはまだずっと先の話────




ご覧下さりありがとうございます。真実を告げられ、覚悟を決めてラナベルのそばで最期を迎える決意をするクラウド。彼をそばで見守っているラナベルは彼の辛さ、悲しみを共有していき……………。

次回もお楽しみに!


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