第74話:さようなら、ハンダル王国!5年の月日に終止符を打って目指すは懐かしのポルモア王国へ!
とうとう約束の日。
医療使節団のお陰でハンダル王国には医療システムが充実して、これからは自国だけで回していけるまでに成長していた。
「皆さまのお陰で私たちの国、ハンダルは、民の、これからの多くの命を救うことが出来ます。大切な5年を我らの為に使って下さり、ありがとうございました。帰国道中はお気を付けて…。」
フィリアはそのように使節団に挨拶をした。
そして続いてクラウドが皆に挨拶をする。
「今、王女様からご挨拶があったように、皆さまのお陰で私の任務も無事こなすことが出来ました。ありがとうございました。これより、我らはポルモア王国へと帰国します。」
そうクラウドが挨拶をして、フィリア王女に向かって膝をついて頭を下げた。
「フィリア王女様、本当にありがとうございました。」
そう言ってフィリア王女の手の甲に軽く口づけをした。
「いいえ、こちらこそ、ありがとうございました。何卒お気を付けて…。そして気が変わったらいつでもお越しください。」
王女のその言葉を聞いてクラウドはニコっと笑って、立ち上がった。
「さあ。みんな、準備はいいか?出発するぞ!」
そうしてクラウドは馬にまたがり、多くの使節団員を率いて一路ポルモア王国へと旅立った。
フィリア王女は最後の馬車が見えなくなるまでずっと、その場に立って見送った。
〝クラウド様、どうかお気を付けて…。そして、いつかお戻りになられること、お待ちしております。〟
そう叶わない願いを秘めつつ……………。
使節団はゆっくりと進んで行った。途中どこかで一泊しなければならない。が、クラウドの心境としては伯父様の所は避けたい。きっと聖剣の儀について聞かれるだろう。胡麻化したところで剣を見せろと言われればどうにもならないだろう。剣を見せてしまえばきっとアルクレゼの後継者はアランだと思うだろうし、そうなると自分だけでは済まなくなる。アランまで巻き込むことになるからだ。それは避けたい。
そんなクラウドの心境を察してか、ルルドが提案してきた。
「クラウド様、私の故郷に寄られませんか?領主様方のようなおもてなしは出来ませんが、泊まれる場所はあります。」
「ルルド…。」
クラウドは心配そうな顔をしていた。ルルドは安心させる為にクラウドに言う。が、それは誤魔化すわけでもなく、平民にとってはそういうものだからだ。
「団員は皆、平民に近いですから、多分、気になさらないレベルだと思いますよ。」
「ありがとう。そうさせてもらうよ。いや、お願いするよ。」
「はい、では先に伝えててまいりますので、ゆっくりとシタレ山麓までお進み下さい。」
「わかった。」
そうしてルルドは違う人間にクラウドの護衛を頼み、その場を離れた。
〝こんな僕に尽くしてくれる人がこんなにもいるんだ。僕は一人じゃないし、孤独じゃない。帰国したあとの僕もきっとルルドのように変わらずに接してくれる人が沢山いるはずだ。〟
クラウドは真っすぐに前を向いて団員達を率いてひたすらシダレ山を目指していた。
◆ ◆ ◆
さて、
すっかりなりをひそめているジャポスカだが、クラウドと最後に分かれてから定期的にフランとアランを乗せて近場を訪ねて冒険に付き合っていた。
しかしある日、母のボスからジャポスカに命令が下った。
それはお見合いをしろということだった。
「お見合いをしてあなたも子孫を残しなさい。私は魔石のお陰で長生きしているけれど、不死になったわけじゃないのよ?」
そう言われてしぶしぶお見合いをしたのだが、難癖をつけて断ろうと考えていたのに、完璧すぎて断れなかったのだ。
クラウドへの思いを断ち切る為にその相手と付き合うことにしたのだった。
流石に異種族での婚姻はなかったのだ。もちろん、認められない。
「ジャポスカさん、そんな浮かない顔をしてどうしたんですか?」
見合い相手のシャボンが言った。
〝こういうところ、ホント、クラウドみたいだし、こいつ、優しいし、男前だし、非の打ち所がないんだよな。〟
「大丈夫だよ、気にしてくれてありがとう。」
「いいえ、俺はジャポスカさんのゲンキな顔が一番好きです。」
〝へ?好きって言った…………?〟
「あ…、すみません、つい本当のことを。」
何やら積極的にジャポスカに接近してくるシャボン。ジャポスカはこのまま一緒になる決意をするのだろうか…。
ご覧下さりありがとうございます。ルルドの機転、優しさがクラウドの気持ちを前向きにさせていきます。帰国したあと、クラウドはどのようにするのでしょうか。
お楽しみに!




