第71話:何故か皆で王城へ向かうことに…。波乱の予感しかしないクラウド
パカラ、パカラ、パカラ……………。
クラウドが馬に乗り、馬車と並走してハンダル王国の街並みを走る。
〝なんで…、こんな展開になった?!〟
クラウドは物凄く焦っていた。
馬車の中にはジャポスカとフラン、アラン、そしてアテリア伯爵が乗っている。
つまり、定員オーバーなので、クラウドが馬で並走することとなったのだ。
そして
その行先は─────────
「あっ!ジャポスカっ!お城が見えて来たヨ!」
無邪気にそう叫んだのはアランだった。
そう、お城。ハンダル王国の王城だった。
あのジャポスカからの追及のあと、その日の見回りが済んでアテリア伯爵邸に戻った時の事だった。伯爵から声をかけられてお城へ一緒に行こうという話になったのだ。
「せっかくクラウド様の弟妹様がお見えになったのだから一緒にお城に遊びに行きましょう。」
と誘ってきたのだった。もちろん、何も知らないフランとアランは初めての「お城」に大はしゃぎ!
ジャポスカも別の意図があって一緒に来ると言うのだった。
〝クラウドが婚約(偽)したという王女様のお顔を一度見てから帰らなきゃ〟と思っての同行だった。
馬車の中は非常に賑やかだ。
そしてあっという間にお城に着き、クラウドは王女への謁見の申し出をした。
すぐさま許可が出て王女の執務室へと案内された。
「どうぞ、こちらにお掛けになり、皆さまお待ち下さいませ。」
王女付の侍女がそう言って応接間に案内して、じきにお茶と茶菓子を準備してやってきた。
もちろん、その中にはクラウドの好きな〝フィナンシェ〟もある。
「わぁ!美味しそう‼頂きます‼」
そう言ってフラン、アラン、ジャポスカはお茶菓子に手を伸ばした。
「ハハハ…お子様方は可愛らしいですな。」
アテリア伯爵がクラウドにそう言った。
「ハハ…、そうですね。」と返事をするクラウド。そこにフィリア王女がやってきた。
「お待たせしました。まあ、伯父様も今日はご一緒だったのですね!お久しぶりです。」
「ああ、フィリアよ。元気だったようで何よりだ。」
「はい、お陰様です。本当に…、何もかも伯父様にはお世話になりっぱなしで…。」
「よいよい、お前が元気で幸せなら。さあ、それよりもほら、クラウド様の弟妹様方が我が邸に見えたのでな、今日はお連れしたのだよ。」
アテリア伯爵のその言葉にフィリアはチラっと応接室を覗きこんだ。
「まあ!とても可愛らしいお客様がお見えね!ようこそ!いらっしゃいました。」
フィリアのその言葉にフランが気付いて
「お邪魔してます!」
と答えた。
そしてそれに合わせてアランが〝ペコリ〟とお辞儀をした。続いてジャポスカが「どぅも~。」と軽く挨拶をした。
それには王女もアテリア伯爵も驚いていた。
「あ、彼女は社交界をよく知らない遠い親戚でして…。」
と、慌ててフォローするクラウド。
「ふふ。大丈夫でしてよ。少し驚いただけですから…。親戚のお嬢様ですのね。クラウド様の弟妹様をお連れ下さり、ありがとうございました。」
フィリアはそうジャポスカに向かって言った。そしてジャポスカは
〝この女…、私を挑発してる…………?!〟と少しムッとしていた。だが、クラウドの顔を立てて我慢した。
〝そもそも、クラウドがこんな女と偽とは言え、婚約なんてするからいけないのよ!?〟と怒り心頭だった。
「さあ、お茶とお菓子をどうぞ沢山召し上がって下さいね。」
フィリアはそう仕切り直した。
「ねえ、お兄様。このお方はお兄様のお仕事の関係の方なの?」
「ん?…ああ、そうだよ。いつもこの王女様に助けてもらってるんだよ。」
「まあ、何をおっしゃいます。クラウド様に助けて頂いてばかりですのに…。」
「いやいや、本当に…。」
そんなやりとりを見てフランが一言
「王女様がお兄様のお嫁さんになってくれたらいいのに。」
と呟いた。
─────────ドキッツ!
クラウド、フィリア、ジャポスカがその場で固まった。
言葉を発したのはアテリア伯爵だった。
「そうですね。フラン嬢。そうなってくれたら私としてもとても嬉しいのですが…。」
〝アテリア伯爵も内情は知っているのだ。僕たちが偽の婚約だということを。助かった。〟
「そしたらフラン、いつでもお城に遊びに来れるのに。」
「ハハハ…!そしたら私共とも親戚になりますな。良き良き。」
「親戚になるの、いいわね!フラン、伯父様も大好きですわ!優しいし、美味しいもの沢山用意して下さったんですもの!」
〝だぁ────────っつ!勝手に話を進めるなっつーの!〟
クラウドはタジタジ…。
ご覧下さりありがとうございます。やっぱりクラウドはモテモテなんですね。そして無邪気に場を引っ掻き回す妹フラン。女性陣は最強です。
次回もお楽しみに!




