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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第70話:突然の思わぬ来客!ジャポスカ登場!



伯爵邸に着いたクラウドは自身に割り当てられた部屋に入った途端、大きなため息をついた。




〝まさか、お城で暮らさないかと誘われるなんて思いもよらなかったよ。あんな窮屈な場所で暮らせるわけがない。〟




そう、今でも〝他人の邸〟で暮らしているのだ、気を遣うだろう。ましてすぐそばに国王もいるのだ。安らぐわけがない。




〝王女様にお手伝いしたいという気持ちはあっても、流石にそれは譲れないな、落ち着かないや。〟




そしてそのままベットに倒れ込むようにして寝転がっていると知らない間に眠ってしまったようだ。








窓に〝コツン!〟と、何かが当たる音がした。






〝ん…、んん……………。〟




その音で目が覚めたクラウドはゆっくりと身体を起こして窓に近付いてカーテンを開けた。






「──────────ぅわぁ~~っつ!!?」






思わず大声を挙げていた。




それもそのはず。外には本来の姿をしたジャポスカが浮遊していたのだ。


が、よく見ると背中に小さな影が二つ………‼




「ま…、まさか…………‼」




窓を開けてその影二つは入ってきた。








「お兄様っつ!」




二つの影は部屋に入るなり、抱き着いてきた。






「フランとアラン‼」




「もうッ!突然いなくなるからびっくりしましたわ!」




「いや…、それはごめんだけど、こんな朝早くから…、え、訓練は?」




「サボってきましたわ!」




「え?」




〝サボった……………。今頃、ニコル師匠、怒ってるぞ…、きっと。いや…、泣いてるか。〟




「師匠にはまたちゃんとお話しますから、今は私たちと遊びましょう、お兄様っ!」




その時窓からシュッと黒猫の姿でジャポスカが入ってきた。そしてすぐさま人間の姿になった。






「もうっ!水臭いなっ!帰ってきたなら声かけてよねっ!?」




「ああ、ごめん。」




「事情はルクセブルに聞いたよ。クラウドの気持ちは理解してるつもり。だから様子見に来た。」




「そっか。え、と。この二人は…?」




クラウドはそっとジャポスカの方に視線を向けた。


ジャポスカは静かに首を横に振った。




「そか、ありがと。」




クラウドがジャポスカに静かに確認したのは、宝飾の件を二人は知っているのかどうかってことだった。が、知らないと聞いて一安心したのだった。






「それよりも~~、私、お腹すいちゃったよ、クラウド。今から朝食でしょ?一緒に行ってもいいかな?私たち。」




「んー、とりあえず行ってみる?大丈夫か聞いてみるから。」




「わぁ~~~~い!」




フランとアランは大喜び。






「ジャポスカ、二人も連れてきてくれてありがと。遠いのに来てくれてありがと。」




ジャポスカはニコっと笑った。そしてクラウドの袖を掴んで




「早く食べに行こっ。」と言って歩き出した。








アテリア伯爵に事情を話すると、いつも多めに用意してるから大丈夫とのことだった。が、実際に出て来た料理を見ると…




〝うわ、伯爵。これはまた追加で用意してくれたんだな、すごく豪華だ。〟と、クラウドは思った。




「うわぁ!凄く豪華ね!美味しそう~~っ!」ジャポスカは喜んでいた。




「ねっ、凄く豪華で美味しそうだわ。ジャポスカ、しっかり食べてね。」




嬉しそうにフランがジャポスカに言った。きっと連れて来てくれたお礼のつもりなんだろう。






アテリア伯爵も席に着いた。




「こんなに賑やかな食卓は嬉しいですよ。小さなお客様。それに素敵なレディ。」




「伯爵様、ありがとうございます。」




フランが挨拶をした。そうか、フランはもうすぐ9歳になるんだな。




「ありがとございます。」




続いてアランも挨拶をした。まだ少したどたどしい感じが抜けないが、しっかりしてきた。




「ありがとうございます。とても美味しいです。」




続いてジャポスカも挨拶をした。貴族のしきたりなんてわからないけど、真似をすることでクラウドの顔を立てたのだった。




「急に来てしまってごめんね、仕事あるんじゃない?」




ヒソヒソ声でジャポスカがクラウドに尋ねた。




「ああ、診療所に様子を見に行ってるんだ。一緒に回るかい?」




「もちろん、でなきゃ何の為に来たかわからないじゃない。あの子たちも気がすまないはずよ?」




「わかった。先に食べてしまおう。」




そうして、みんなで目の前の料理を美味しく頂いた。






「伯爵様、ご馳走様でした。とても美味しく頂きました。」




今度はジャポスカがそう言った。〝へえ、応用が利くんだ…。〟


クラウドは感心した。








そしていつものように用意して診療所を回る。




「歩いて行ってるんだ?」




「ああ、運動にもなるし、結構近場を回るから馬車だと邪魔になるんだよ。」




「ふぅ~ん。あの子たちも楽しそうで良かった!」




「そうだね、僕に会いに来たはずなのに二人で遊んでるよ。」




クラウドはそう言って笑っていた。つられてジャポスカも笑った。


そうこうしてるうちに最後の診療所にやって来た。その時、患者の一人がクラウドに向かって言った。






「あれ?クラウド様、確か王女様と婚約されたはずじゃ…。こんな美女と出歩いてていいんですか?」




「───────!????」




ジャポスカは物凄い形相でクラウドを睨みつけた。




「へっ!?ジャポスカ???」




そしてクラウドの袖を引っ張って外に連れ出す。








「さあ!どういう事か説明して?誰も何も聞いてないんだけど?!」




ジャポスカの勢いにクラウドはタジタジだ。




「いや、あの…。ジャポスカ、これには深いわけがあって…。」




「どんなわけがあるって言うの?私はもちろん、ルクセブルだって聞いてないでしょ?そんな事言ってなかったわよ?!」




「そんなに大声出さなくても…。」




「これが落ち着いていられるものですか!」




「だから、話すからちょっと落ち着いて!」




「………………。」




「実は婚約は〝ふり〟なだけでその時が来たら解消するんだ。」




「ふりであっても、解消しなくちゃならないってことは婚約してるってことじゃん!」




「いや、そうかもしれないけど、違うんだってば!」




「皆に言いつけてやるぅ!」




「いや、待って。ほんと、待って!これは政治に関わる大切なことだから。だから黙ってて。もちろん、聞かなかったことにして!」




「それって、任務ってこと?」




ジャポスカは渋々クラウドの言い分を聞き始めた。




「そう、それ。だからお願い!聞かなかったことにして!」




ジャポスカは大きくため息をついて、クラウドに言った。




「わかった。二人だけの秘密だね、」そう言って今度は驚くくらいニッコリと笑った。




〝怖えぇぇぇぇ……………。女の人って怖えぇぇ……………。〟




とりあえず、秘密は死守された。





〝コレコレ…。僕は今日一日、気力体力共に持つのかなぁ…。ははは…。〟




段々どこかでボロが出そうで怖くなってきたクラウドでした。




ご覧下さりありがとうございます。ジャポスカは登場するだで場が賑わうのでとても重宝する登場人物です。魔物であることを忘れてしまいそうになります。いじらしい彼女が可愛くて個人的には推しですね。

次回もお楽しみに!


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