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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第67話:フィリア王女からの呼び出し!クラウドにしか出来ないお願いとは?!

翌日、王宮からクラウドに呼び出しがかかった。


フィリア王女だ─────








〝またこの国で暫くお世話になるんだし、王女の「王太女」確定祝いに伺うのもいいな。〟




クラウドは何を手土産にすべきかと悩んだ。




〝慌てて実家を出てきたから王女に何もプレゼント出来ないな…。どうせなら庭にあった伝説の百合でも持ってくればよかったな、あれだったら数日水を与えなくても枯れずにそのまま持って来れたのに…。〟






と、考えていた。


その伝説の百合がなぜ自分の家の庭にあるのか、クラウドは考えた事がなかった。




〝あ…!そういうことか!〟




と、今更ながら繋がったようだ。






そう、ラナベルが管理している〝百合の園〟に咲き乱れているあの花こそが、アルクレゼ侯爵家の庭先に溢れるように咲いていた花だ。




〝あの花は確か、父上から母上にプレゼントされた花だって聞いてたけど、それって父上がラナベルと会ってもらったという事なんだ。どういう経緯でもらったのかわからないけど、ラナベルはどんなに長く会いに行っても一輪も僕にはくれなかった。それだけ意味のある花なんだろうな、ラナベルにとって…。それは父にとっても同じなのかな…。だけど、あんなに仲睦まじい父と母なのに、父はあの花を見る時は母を裏切ってラナベルを思い出してるんじゃ…。〟




クラウドは何だかモヤモヤした。それは父が母を裏切ってるかもしれないという憶測だったが、父の心の中でもまだラナベルの存在があるのだとしたら…。何かのきっかけで父が再びラナベルに会うことがあったりしたら…。そう考えると不安になってきた。








カツ…、カツ…、カツ…。


考えながらゆっくりと歩いて窓辺へと移動し、そこから外の景色を見ながら再び考える。




〝だけど、僕には今すべきことがあるんだ…。例え父がラナベルに会いに行こうとしたとしても、僕には止める権利も義務もないんだよな…。ラナベルは…父に会いたいんだろうか…。会わない方がいいとは言ったが、本当は会いたいんだろうな。はぁ…。〟




深く溜息をついた。






「ラナベル…。つい、昨日あったばかりなのに、もう会いたくて堪らないよ、僕は…。君はいつになったら僕を〝僕〟として見てくれるんだろうか…。」






クラウドは悲しい瞳をして窓から見える景色を眺めていた。そこから見えるはずのない、南に位置するポルモア王国よりも更に南にあるラナベルのいるナダルテ王国へと思いを馳せていた。












コンコンコン!ドアをノックする音がした。




「はい。」




「クラウド様、王宮への馬車の準備が整いました。」




ルルドだった。






「わかった。すぐに出よう。」








そして馬車にルルドと共に乗り込み、王宮へと向かう。








〝そう言えば僕が前に初めて王宮に向かう時には王宮には王位継承者が5人いたんだったな。今はフィリア王女に決定して、義兄のアリアナス王子しか残っていないのか、あとはまだ幼い王子や王女たちか…。まあ、一番厄介な人間たちがこの国を出たってことだけは大したもんだな。誰も出すつもりがなかったはずなのにな。〟




そうして馬車の外に映る城下町を眺めながら王城へと向かった。






馬車乗降場にフィリアが出迎えていた。




「王女…。」






クラウドは馬車を降りてフィリア王女の元に歩み寄った。そして王女の前で一礼をする。もうただの王女ではなく、「時期国王、いや、次期女王なのだから。






「クラウド様、お久しぶりです。ご無事にお戻りで何よりですね。」




「はい、お陰様で。ありがとうございます。」




「お疲れの所、お呼び立てして申し訳ございません。実は…また少し問題が生じておりまして、ぜひご協力をお願いしたいのです。」




「僕に…ですか?」




「はい、クラウド様にしかお願い出来ないことです。」




クラウドはキョトンとしていた。自分にしか出来ないこととは一体何なのだろうか…。






〝医療充実問題で何か起きた?とか…。それだと「お願い」とはならない。では、それ以外での困りごとか?!〟






心の中ではあれこれと考えをしていたが、一切表情に出さずに




「そうですか…。とにかく落ち着いてお話をお伺い致します。」




と返事をした。


フィリア王女もそれ以上は話をせずに






「ええ。私の執務室へどうぞ。」






とだけ答えた。




そうしてクラウドはフィリア王女の案内で執務室まで行くこととなった。




途中の通路では普通に故郷に戻った時の話を聞かれ、クラウドもそれには答えた。




「小さな弟妹たちは寂しがらなかったのか?」




という質問にだけは一瞬戸惑ったが、




「弟妹たちには会わずに戻ってきました。」とだけ答えた。




フィリアは驚いていたが、離れる時の寂しさや悲しさを考えたら、それも一つの行動なのかもしれないと、前向きにとらえてそれ以上は聞いてこなかった。


フィリアはおとなしい性格から、小さい頃から上の兄姉たちとは仲良くしてこれなかった。どちらかというと小馬鹿にされてきたのだから懐けるわけがないのだった。






「王女、今回、王女の兄姉たちは全員国外追放となっておりますが、それこそ寂しくはありませんか?」




とクラウドが訪ねたが




「さあ…。どうでしょうか。私はあの方たちとはあまり遊んだりした記憶がございません。私の母の出自もあの方たちの母君の出自に比べて低いのもあり、良い扱いをされたことがありませんでしたもの、居ても居なくても変わりありませんわ。」




と、ポツリと答えた。


それは寂しさよりも憎んでいたのだろうか…、フィリア自身もわからない複雑な感情だったのだ。




〝珍しいな、心優しいフィリア王女が冷めた表情をしてるなんて…。それだけあの兄姉たちはフィリアに対してまともな接し方をしてこなかったという事か。彼らの自業自得だな…。〟




そうしてクラウドも冷めた表情をしていたのだった。






フィリアは横目にクラウドの表情を見ていた。




〝クラウド様…。このような表情もなさるのですね。私の為に…。〟




フィリアは心の中が少し、温かくなったのを感じた。




ご覧下さりありがとうございます。数日ぶりに戻ったクラウドをすぐさま呼び出したフィリア王女。クラウドにしか出来ないお願いとは一体…。

次回もお楽しみに!


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