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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第62話:やっとの思いで会いに来たのに一緒に過ごせたのはたったの10分それでも幸せなクラウド



夜の晩餐の時にやっとフランとアランに会ったクラウド。




「お兄様、無事のお帰り嬉しいですわ。」




そう言ってギクシャクしてはいるが、フランなりのカーテシーを披露した。




「……………‼」クラウドは感激していた。




〝あの!あの!お転婆なフランが…!こんなに立派な淑女になりつつある⁉〟倒れてしまわないかと思う勢いで興奮していた。そして






「おにいさま!無事にお帰りなさい!」




アランだって負けていられないとばかりに必死に貴族のお辞儀をした。




「アラン…………‼」








たった1年、されど二人が成長するには長すぎた1年だった。






「ああ、僕は二人の成長を間近で見れなったんだね、とても残念だよ。こんなに立派になって…。」




その言葉を聞くなり、二人は「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ」と泣きながらクラウドに抱き着いた!


どうやら、こちらが本来の姿のようだ。何一つ変わらない可愛い妹と弟だった。






「さあさあ、そのへんにして、頂きましょう。」




母の声にみんなが落ち着きを取り戻して席に着く。








「クラウドの無事帰国を祝って…。」




父が乾杯の言葉を述べた。そして食事が始まった。クラウドの為に一生懸命用意してくれたのだろう。クラウドの好物が沢山テーブルに並べられている。豪華なご馳走で一杯だった。






「さて、クラウド。お前の〝聖剣の儀〟だが、明後日行うよ。明日は1日、身体を休めなさい。」




「はい、父上。」




「クラウド、よく頑張ってきたね、」祖父のグラナスが声をかける。




その隣で祖母のラモニアも目を潤ませていた。




「お爺様、お婆様…。」




クラウドは皆が自分の帰りを待っていてくれたこと、無事を願ってくれていた事を感じてとても幸せだと思った。








◆  ◆  ◆








翌日


クラウドが訪れたのはラナベルの元だった。




誰よりも早くに目を覚まし、こっそりと抜けてきたのだった。馬に乗り、颯爽と草原を駆け抜けて森を通り、国境を越えてラナベルのいるシラユリの園に着く。








「もう、クラウドったら、みんな心配するわよ?」




そう言ったのはラナベルだった。朝日が昇る前に邸を出てきてそれなりにまだ早い時間だと言うのに、ラナベルはもう起きて園にいた。




「だって、少しでも早くラナベルに会いたかったんだもん。」




「ほんと、あなたって時々10歳に戻るわね。くすっ。」






ラナベルに何を言われても彼女の笑顔が見れたならそれだけで満足していた。


ほんの10分、15分、こうして彼女と話をするだけで満足するのだった。




「もっと…。沢山時間が欲しいのだけど、こっそり出てきてる手前、もう戻らなきゃなんだ…。」




「うん…。」




「また、出発までに来れたら来るよ。」




「うん…。」




クラウドはラナベルの顔をジッと見つめた。






ラナベルの瞳が揺れていた。




〝今、君が見ているのは誰なんだろう…。父なのか?僕なのか?〟




クラウドは〝ふっ〟と笑ってラナベルに背を向けて馬にまたがり、帰って行った。






「クラウド-------、たったの1年でまた顔つきが変わったわね。あなたはどんどん成長していく…。いつか私を追い抜いていくのね…。」




クラウドの後ろ姿を見ながらラナベルはそう呟いていた…。その後ろ姿はどこか悲し気だった。










◆  ◆  ◆ 








邸に戻るとやはりクラウドを探す声が聞こえてきた。






「あの声は……………!フランだな!」




クラウドは声がする方向へと向かう。






「お兄様─────────っつ!」






〝あのブラコンぶりは威力をましたのか?!〟クラウドはドキドキしながらフランの元に向かう。






「あっつ!お兄様見つけた!」




「フラン、そんなに大声を出さなくても聞こえてるよ?」




「だって、お兄様はすぐにどこかへ行ってしまわれるんですもの…。」




「で?剣術の稽古はどこまで進んだの?」




「まだ見習い3号から上がれませんわ…。」




悔しそうにフランが言う。




そう、見習い3号とは、始めたばかりと変わりないのだ。ちなみにアランは見習い2号へと昇格していた。


やはりフランは女性なので筋力差がどうしても出てしまうのだろう。






「そうか、だけどフランは凄く努力家だって聞いてるよ?しっかり筋力をつけていけば見習いどころか、正騎士にだってなれると思うよ?」




「本当ですか?お兄様!」




「ああ、ちゃんと筋肉に良い食事と無理のない筋力をつける訓練を続けるんだよ。そして体力だって男に負けるから、しっかり毎日走り込んで!地道な努力はきっと実を結ぶからね。」




大好きな兄にそう言われてフランは元気になった。




「明日はお兄様の〝聖剣の儀〟なのね。私とアランは出られないのよね、残念だわ。」




そう、聖剣の儀は16歳を迎えていないと参列出来ないのだ。今回、クラウドが隣国へと派遣されている関係で参列者も家族だけにしていた。父母と祖父母たちだけだった。


クラウドはそれでも充分だった。




〝明日…。ようやく僕の聖剣と会えるんだ!楽しみだ!〟




クラウドは明日が待ち遠しかった。


しかし、父母と祖父母はどこか悲し気な表情を時折見せていた。だがそれは一瞬のことで、誰も気付かなかった。






そしてとうとうその「聖剣の儀」当日の朝がやってきた。




それぞれの思いが交錯しながら──────────






ご覧下さりありがとうございます。やっとラナベルに会えました!しかし、黙って出てきてるので往復にも時間がかかる為、滞在時間はたったの10分。それでもただ会えただけで幸せなクラウド。

さあ、次回は聖剣の儀。とうとうクラウドが真実を知ります。

お楽しみに!


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