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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第60話:シタレン公爵邸で休息をとる



側近と護衛騎士との3人だけの一時帰国を試みるクラウド。


ハンダル王国はポルモア王国の北隣に位置し、祖母の出身家門であるシタレン領を通って自領へと南下して帰るのである。






「クラウド様、そろそろ馬が疲れを見せてきました。どうか、シタレン領内で一晩休息を挟んではいかがでしょうか。クラウド様でしたらシタレン公爵様も大歓迎ではないでしょうか?」




側近のルドルフがクラウドに意見した。ルドルフは元々父、ルクセブルの秘書であり側近だ。今回の派遣にルクセブルの指示の元、クラウドを補佐する為に来ている。






クラウドは自分の馬、そしてルドルフの馬、それからルルドの馬をそれぞれ見つめた。






「そうだね、あと半日もかからずに自領へと到着するが、馬が駄目になってしまうのは可哀そうだしな…。そうするか。本来先触れを出すところだが…。この人員では難しいな、大伯父様には大目に見てもらおうか。」




クラウドはルドルフが「自分が先触れに出向く」と言い出しそうだったので、前もって制した。シタレン公爵はマナーにも厳しい人だったから、きっと受け入れてくれたとしても怒られるのではないか…と少し心配になったが、それよりも別行動をして万一ルドルフが狙われたりしても大変なので、そこは怒られる覚悟をしたのだった。




「クラウド様…。」




ルドルフはクラウドを見て名前を呟いた。そう、ルドルフにはクラウドの考えていることはお見通しだったのだ。ルドルフにとってクラウドは小さな赤ん坊の頃から見てきたから我が子も同然なのだ。




3人はそのままゆっくりとシタレン公爵邸に向かった。






そうして、シタレン侯爵邸に到着し、門番に事情を話し、門番から先触れを出してもらい、その間にゆっくりとクラウドたちはシタレンの庭先に回る。ごく親い親族は正門の玄関からではなく、こちらの庭先にある玄関から訪れることが多いのだ。






馬を馬番に預け、クラウドたちは一旦、当主の元への挨拶に向かった。




当主は既に食堂にて待機しており、驚いたことにクラウドたちが来ることを予測していたようで何もかも準備が出来ていたのだった。






「大伯父様…。この度は先触れもなくお邪魔してしまい、申し訳ございません。」




「何を言う、クラウド。王命により隣国へ行っていたのだ、これくらいはこちらに任せておくれ。そもそも、お前の父ルクセブルから、きっと立ち寄るだろうからと言われておったのでな。」




「父上がですか…。」




「ああ、馬で駆けて帰国したとして、乗り継ぐ馬もないだろうし、無事に帰国するなら一度、一晩休息する必要があるからね。そうした場合、こちらに寄るのが一番理想的だろうってな。お前の父はやはり賢い男だよ。」




そう言ってクラウド達に席に着くようにすすめた。








「お言葉に甘えさせて頂きます。」




そうして3人はシタレン公爵からおもてなしを受けた。








「そう言えば、ハンダル王国では大層な問題があったと聞くが…。」




シタレン公爵は興味津々にクラウドに問う。








「ええ、王位争奪戦で次の王が決まりましたが、やはり残った者から不満が出たようで…。」




「それはどんな結果になろうともどうしても出るだろうね。」




「ええ、結局王女とその兄が王女の補佐を申し出て二人でこの先、治めていくようです。」




クラウドのその話にシタレン公爵は手を止めた。








「は?あの国には継承権を持つ人間は5人いたはずだが?!王子二人は?それにもう一人の王女はどうなったんだ?投獄か?」




「いえ、全員政略結婚でおさまりました。」




クラウドはすました顔をして言い放った。






「ははっ、政略結婚とな。それはまた大した結末だ。で、我が国からの派遣の様子はどうだ?」




「はい、有難いことにかなり充実してきております。この様子ですと予定していた5年でほぼ引き上げることが可能になりそうです。」




「ほぼ?」




公爵はピクリと反応した。








「ええ、現地で婚姻なさった方もおりまして…。」




「ああ、なるほど。それは仕方ないな。ハハハ…。」






公爵はかなりご機嫌に笑っていた。










「さあ、クラウド。その報告は私から陛下にしておこう。お前は領地に戻って聖剣の儀を受けて、そして家族と水入らずの時間を少しでも長くとってきたまえ。」




「ありがとうございます。大伯父様!」






〝それならラナベルに会いに行く時間だって作れるぞ!ああ、ラナベル…。やっと君に会えるよ!〟




こうしてクラウドはシタレン公爵と和やかに晩餐を摂り、明日の自領への帰国に胸を躍らせるのでした。


時々こうしてシタレン公爵邸には両親共にやってはくるが、今日ほどこの邸が輝いて見えることはなかった。それだけ家に帰れるという安心感、そしてラナベルに会えるという期待感がクラウドを変えていたのだった。




ご覧下さりありがとうございます。シタレン公爵はクラウドのおばあ様の故郷であり、公爵はお兄様だ。

公爵には一人娘のレルロアしかおらず、そのレルロアは王室へ嫁入りした為、実質跡継ぎがいないので今も公爵がそのまま当主を務めています。

次回もお楽しみに!


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