第57話:とうとうやってきた投票日当日‼ 果たしてどちらに勝利の女神が微笑むのか!?
緑豊かな季節
今日はこの国で一番賑わっていた。
そして同時に国民全員が緊張していた。
───────そう、ここはハンダル王国
今日は待ちに待った国民投票の日だった。
国民は全員王城へ登城して身分証明を受けてから投票所へと移動する。
審議会が立ち合いの元、次の王太女を選ぶための投票が行われる。
王城へ登城した国民らは私語は厳禁なのだ。民が結託をしたりして不正がないようにと、監視も厳しいのだった。
朝から通して行われるため、審議会の立ち合いも途中で交代しつつ行われる。
クラウドにもその審議会の一人として参加を打診された。
が、一度は断った。
しかし、王からポルモア王への打診があり、賓客として正式にその場に招待され、一日を通して不正を行われないか、他国の人間として公正な目で監視することとなった。
〝一日中、これをするってのは正直キツイな。〟
だが、これも任務の一環、国の代表としての役目だと自身に言い聞かせていた。
クラウドはトイレ以外にはその場を離れることもせずに、空腹になろうがジッと様子を見ることに徹した。
15歳といえど、騎士を目指す者。ましてや剣の家門の人間なので、〝食べれない時の為の訓練〟もしていたので、今回もその一環だと思って食事を断ったのだ。
その話を受けたハンダル王は、改めてクラウドを見直した。
〝15歳でそのような訓練までこなしているとは…!王子達のように軍事にばかり重きを置いていたとしてもポルモアには到底勝てないだろう…。〟
二人の王子が不正を行って自らを滅ぼしたことに安堵したのだった。
そしてとうとう最後の一人が投票を終えたあと、その投票箱は厳重に管理されて、国王を始めとする選挙委員会のいる部屋に持ち込まれた。
箱を開封する前に
「それでは、各々の代表よ、そちらの意見はまとめてきたか?」
「はい、ここに記載してまいりました。」
そう言って元老会、貴族会、教会のそれぞれ代表は事前に手渡された色用紙を二つ折にして国王に見せた。
「うむ。私もたった今、書いた。では、こちらの箱に皆入れるように。」
そうして国民とは別で小さめの同じような形式の箱が用意されて、その中に各代表と国王が投入した。
それでは、今より開票作業に入る。
「アルクレゼ侯爵子息、疲れているだろうが、開封も不正がないか確認してくれないか。」
「はい、陛下。」
不正の確認、それはクラウド自身は開封者が不正をしないか見守るのだった。
開封に携わる人間は一人だ。投票箱から用紙を手にとり、ティアリア王女、フィリア王女の名前の書いた箱に振り分けていく。その工程で不正がないか、クラウドは目を凝らしてしっかりと見ていた。
ハンダル王はクラウドに依頼したが、そこにはクラウド以外にも開封作業を見守る人物たちがいる。それは最後の投票をした元老会、貴族会、教会と国王もクラウドと同じように不正がないかを見ていた。
仕分け作業が終わったようだ。
これより、それぞれの王女に分けられた紙の枚数を確認する。
が、どう見てもフィリア王女の方が多い。
「陛下、これ…。数えるのでしょうか?明らかに誰の目にも差が見えているはずですが…。」
担当たちが声にした。
「これは数えるまでもないですね、陛下。」
そう進言したのは元老会だった。
「流石にこれは間違いようもありませんね。」
貴族会も同意し、教会も静かに頷いて同意した。
「わかった、国民投票はフィリアのものだ。続いて、我らの結果を見よう。」
国王がそう言うと管理者が
先程の小さな投票箱が国王の前に出して、4枚の二つ折の色紙が机の上に転がる。
そして一枚を手にとり、広げて国王が読み上げる。
「ティアリア。」
これで1:1になった。
あと一枚入らなければティアリア王女の可能性は無くなる…。その場に緊張が走る。
また一枚を手に取る。
「ティアリア。」
よし、これで2:1だ。次もティアリアならティアリアに決まる!
貴族会はティアリア推しだったんだろう。そういう表情をしていた。
あと2枚、国王が手に取り、読み上げる。
「フィリア。」
これで2:2。振り出しだ…。
国王が最後の一枚を手に取る。
貴族院、元老院、教会そして国王までもが緊張のせいで思わず〝ゴクリ〟と生唾を飲んだ
───── 静かだ──────────
開封までがとても長く感じる…。
そして静かに国王が読み上げる。
「………………フィリア。」
〝おおー〟と歓声が上がった。
〝やっと終わった〟と思う気持ちからの歓声にも聞こえた。
クラウドもホッと一息ついた。
〝協力した甲斐があってよかったよ…。〟
そう思いながら周りを観察していると見えてくるものがあった。
対照的に落ち込んでいたのは、貴族院と元老院だった。ティアリア推しだったのだろう。
確かにティアリアは社交界での実績もある。反面、フィリアは何もないのだから、彼らからすれば評価の仕様がなかったのだ。反対に教会は民の生の声を聞いており、それを反映したまで。意外だったのは国王だろう。結果から読み解くと、国王はフィリアに入れたことになる。
国王は結局、自分本位なティアリアを切り捨てて、民を思うフィリアを選んだのだろ…。
〝確かにティアリア王女は激しい気性の持ち主だから明日の報告は上手くいくのだろか…?〟
他国のことだというのに、ここまで関わってしまったクラウドは心配になっていた。
ご覧下さりありがとうございます。投票日当日、二人の王女たちはそれぞれの部屋で待機です。二人とも一日が長かったでしょうね。そして、結果の報告は翌日となります。
さて、関わるつもりがなかったはずの王位継承争いに最終的には投票監視役として関わってしまったクラウド。この先、何かと巻き込まれそうな予感がしないでもないですね。
今後もお楽しみに!




