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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第54話:ティアリアとフィリアの競争!民の目は誤魔化せない!そして素晴らしい味方の出現?!



それからというもの、ティアリア王女はフィリア王女に負けまいと町に出向き、少しでも顔と名前を憶えてもらうために、自身でパンを配ることも始めた。




街の中は美しいティアリア王女自らパンを手渡してくれるという噂で持ち切りだった。






その話を聞いたフィリア王女は更に診療所への巡回を増やした。それに伴い、いつもは王宮で聞いていたクラウドからの報告も診療所で聞くことが増えていった。






「コルドシア先生。こんにちは。今日も状況確認に来ました。」




「ああ、フィリア様。今日もけが人が多くて大変だったよ。ほら、まだ皆さん待っていて下さる…。」




「あら、大変。先生の手を止めてはいけませんね。どうぞ続けて下さい。」




「すまないね。」




そうしてフィリアは診療所の邪魔にならない所で先生と民とのやり取りを見ていた。






〝こうして実際に現場を見ながら聞く報告は斬新ね。状況がよくわかるわ。〟




そう、フィリアは治療中も立ち会ったりして、医療の充実具合を確認していた。






「フィリア様は治療を受けている姿が怖くはないのですか?」




民たちは声をそろえてフィリアに聞く。




「確かに怖いです。沢山血が流れてたりすると今もまだちゃんと見ていられません。ですが、せめて医療システムが安定するまでは私は見なければならないと思っています。」




その言葉を聞いて民たちはフィリアが「選挙のため」ではなく「医療が安定する」ことを望んでいる姿勢に強く感動した。そしてフィリアがそれぞれの診療所(先生)の元を訪れて、時々手伝う姿を見て逆にパンなどの食べ物の配給を続けているティアリア王女のことは〝ただ配るだけ〟なのが透けて見えてきたのだった。そして賢い民は医療は続いていくが配給は停止されるかもしれないという事にも気付き始めていた。








そんな時、一度、住民が受け取り損ねてパンを落としてしまったことがあった。


その時、ティアリアはそのパンを拾ってからそのままその民に渡したのだという。パンには土が沢山付着していた。




「せめてパンに付いた土を払ってくれてもいいのに…。我々には土の付いたパンでも食べろということか」と民は思ったそうだ。




ティアリア王女は形だけで本当に自分たちには寄り添ってくれていないのだと…。




こうして二人の王女の行動には少しずつ、民たちの反応が分かれていった。










そんなある日、フィリア王女の元にある人物が訪れた。








フィリア王女付の女官が告げる。




「王女様、お客様がお見えです。応接間へお通ししますね。」




その言葉にフィリアは〝誰だろう?クラウド様なら侍女もそう言うはずだし…。〟






フィリアは応接間の扉を開けた先に待っていた人物に目を見張った。






「アリアナスお兄様?!」




----------------そう、その人物とは、第三王子だった。






これまで第三王子の動向については何も情報を得ることが出来ていなかった。


その王子が突然フィリアを訪ねて来たのだ。




ここでおさらいを兼ねてハンダル王国の王族を紹介しよう。




王妃:ターナル(ブラント公爵家出身)   第一王子イシス(20)


第一側妃:ミランダ(ソレア公爵家出身)  第二王子カイアス(19)  


                     第一王女ティアリア(20)


第二側妃:ルナ(サラマン侯爵家出身)   第三王子アリアナス(18)


第三側妃:キャロル(アテリア伯爵家出身) 第二王女フィリア(18)






第三王子のアリアナスはフィリアが扉を開けた事に気付き、




「やあ、フィリア。待ったよ。」




「お待たせしてすみません。お兄様。」




「ああ、大丈夫だ。私も急に訪れたしね。」




フィリアは兄の意図が図りきれず無言に作り笑顔を返す。






「ははは…。お前は本当に変わらないな、領地民の評判がいいから様子を見に来たのだが…。」




「領地民の評判…、ですか?」




「ああ。お前には私の考えを伝えておこうと思ってね。」




フィリアは戸惑った。アリアナスとは年齢的には同じ歳なのだ。しかし少し生まれるのが早かったこと、そして実母の出身家門がフィリアよりも上位だったことで〝兄〟となっていた。




「私は王位を継ぐつもりはない。だからこの継承権を争うゲームには参加しないよ。その代わり、私にはやりたい事があるんだ。」




突然のアナリアスの告白に驚くフィリア。王位継承権争いは絶対参加のはず…!なのに離脱出来ることを始めて知ったのだった。そしてアリアナスがそれを放棄してまでやりたい事が何なのか気になった。




「それは…、王位よりもやりたい事なんですか?」




「ああ。正直、私には民を導けるような熱い思いはないからね。王を支える者として存在していたんだ。」




アリアナスのその言葉に妙に納得してしまったフィリア。アリアナスは王子や王女たちの中で一番頭の回転が速く切れ者。きっと正しく民を導くであろうと思っていたから王にならないのならきっと側近としてその力を発揮するだろうと思ったのだ。




「そうでしたの…、だからお兄様の情報は一切なかったのですね。つまり、町へも行かれていない?」




そんなフィリアの答えに〝ふっ〟と笑ったアリアナス。






「町には行っているさ。それは王位を狙うためではなく、〝民が誰を望んでいるのか〟を知る為にね。」




「お姉さまの評判が凄いのではないでしょうか…。」




アリアナスは首を横に振って




「フィリア、お前の方がティアリア姉さまよりもすごい評判だったよ。」




「えっ!?」




「逆にティアリアの人気は下降していくばかりだ。確かに民に食料を配給するのはいい案だった。しかしそれだけでは〝何も解決しない〟ということなんだ。それに民も気付いたが、肝心の姉さまたちは気付いていない。だが、フィリア。お前はどうだ?〝その場しのぎの医療〟ではなく、〝充実させる〟ためにも尽力を尽くしているじゃないか。それが民には届いていたんだよ。」




「まあ…。そうでしたの。でも、それは私の力ではありませんわ。隣国の協力があったからこそですもの。」




「そうだね。だが、隣国に要請を出したことも隣国からもらった応えも、お前がアクションを起こしたから結果として繋がったんじゃないか?それに、今や頻繁に街にも出て様子を見てるというじゃないか、私はそんなお前に〝未来を〟託そうと思ったんだ。」




「お兄様?そんな簡単に決めてよろしいのですか?まだ上のお兄様方だって、それにお姉さまだってこの先どうなるかわからないのですよ?」




フィリアは焦った。今、自分を選ぶことでこの先他の人が王位に就いた時にアリアナスが自分の望む側近の地位に就けないのではないかと…。






「私は私の〝勘〟を一番に信じているよ。お前をサポートしてやる。この先ずっとだ。」




「それは………有難いですが、お兄様には何か得られるものはあるのですか?私が王位に就けなければお兄様には何も…。」




「それは心配するな。私は自分の手でその先の未来だって切り開ける自信があるからな。だが、絶対に王位はお前のものになると私は確信しているからな。」




アナリアスは武術よりも勉学に通じていてハンダル王国で5本の指に入る英才だ。将来有望と誰もが思っている人物だ。だから、この王位争奪戦でも王冠を手にするのはアナリアスだと噂されるくらいだったのだ。が、当の本人は王よりも宰相になりたいらしい。人生、思うようにいかないようだ。




「わかりました。お兄様のためにも、私、全力を尽くします!」




フィリアがそう応えるとアナリアスはニッと笑って、フィリアに足りないものはなにか、今後何をすればよいかをテキパキと容赦なく指摘していった。




ご覧下さりありがとうございます。同い年であっても中々普段交流のない兄から突然「力になってやる」と言われ、驚くフィリアでしたね。とても力強い味方が付いてこの先の競争にも頑張っていけそうです。

今後の展開もお楽しみに!


※火曜日は投稿お休みしております



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