第45話:間もなく出発…。いざ、ハンダル王国へ!家族とのお別れを…………
そうこうしているうちに父ルクセブルと祖父グラナスの指示の元、医療使節団は選りすぐりの者たちが集められた。それは自領の者もいればシタレンやハルモアを始めとする各貴族家に要請をして、現役の医者と医者を目指す若者を募ったのだ。
任期は五年。あとはハンダル側との調整により、伸びることもある。
アルクレゼ侯爵家の中庭には大勢の志望者が集まっていた。
だからか、いつまは静かな庭だが、賑やかにガヤガヤと話し声が聞こえる。
そんな中、当主が挨拶の為にみんなの前に立つ。
「皆さん、この度は私たちの呼びかけに応えて下さり、ありがとうございます。既にお聞きの通り、任期は5年になります。それ以降はハンダル側での体制が整い次第、帰国という形になります。場合によれば、地域別で行動をお願いすることもありますし、逆に地域の垣根を超えて応援して頂くこともあります。我らの目的はただ一つ、ハンダルの医療体制の充実だ。よろしく頼む。」
ルクセブルがそう皆に向かって挨拶を行った。
そして、使節団のまとめ役としてクラウドを紹介した。
「我が息子、クラウドを団長として添える。何か困り事があれば何でも言うが良い。」
そしてクラウドにここにこいと手招きをした。
「只今ご紹介にあずかりましたクラウドです。まだまだ未熟者ではございますが、皆さんとハンダルとの間を掛け持つ役目を懸命に全うするつもりです。どうか、みなさんのお力をお貸しください、よろしくお願いします。」
周りはざわついた。
それはクラウドの身分ではなく、〝年齢〟〝若さ〟だった。
どう見てもまだ子供の域を出たばかりだ。そんな人間にまとめ役がつとまるのか?という不安があったのだ。
「当主殿!いくらご子息だからと言って、この役目は重すぎるのではないでしょうか?」
みんなの不安が伝わってくる。
「ああ、君の言い分はよくわかるよ。だけど安心してくれ。クラウドは10歳から見分を広めるために色んな場所に出してきた。君たちもクラウドの功績の噂も耳にしたことがあるのでは?私は当主として、自分の息子に胸を張ってこの役目を任せられるんだ。」
その言葉にざわついていたその場が静かになった。
「確かに、先月のあの〝奴隷売買〟の件の立役者は彼だと聞いている」
「ああ、他にも色々と名前を聞くよな。」
ルクセブルは〝ふっ〟と笑って
「それでは準備が出来次第、出発することとしよう!皆、荷造りをしてくれ。出来れば二日後にはこちらを出たい。」
そうしてその場は解散となった。皆、持ち出す薬品やら準備が必要なようだ。また、現地で薬草の調達が出来るのか不安もあったため、ある程度は薬草も持ち出すこととなった。それなりの医者がポルモアを出ることになる。その間、疫病さえ流行らなければ5年程度なら持ちこたえられるのだ。万一、そうなった場合は、一時帰国もやむを得ない。
「クラウド、もう用意は出来ていて?」
「母上……………。」
「お兄様。しばらく帰ってこないの?」
「そうだね、5年は向こうかな。ジャポスカと一緒にたまにはおいでよ。母上にはちゃんと告げてくるんだよ?ハンダルは遠いから泊りになるからね。」
「寂しくなりますわ……………。」
「5年なんて、あっという間だよ。フランは13歳になったら僕はここに帰ってこれると思う。」
クラウドとフランが話している所に父のルクセブルがやってきた。
「クラウド、しっかりと任務をこなしてきて欲しい。」
「はい、父上。」
「そして、お前が16歳になったら、お前の聖剣を渡そう。一度帰国しなさい。」
「はい。父上。あちらの情勢は時々手紙にして送ります。」
「ああ、だが、あまり危険な真似はしないでおくれ。私はお前が無事なのが一番なのだからな。」
「父上……………。」
「おにーさま。アランもいっしょにいきたい。」
クラウドはアランの目線に合わせてしゃがみこんで
「アラン、ごめんよ。寂しいよね。来年、聖剣の儀式の日には帰ってくるよ。それでも寂しい時はフランと一緒にジャポスカに頼んで時々来るといいよ。」
「おにーさま。」
アランはそう言ってクラウドに〝ガシッ〟と抱きついた。
「ハハッ。アランは5年後10歳か。」
「それまでにぼくもあいにいくし、おにーさまもきて。」
「そうだね、時間を作って来るようにするよ。」
「さあ、アラン、お兄様を離してあげて?まだやらなければならないことがあるのよ。」
母アレクサンドラがそう言ってクラウドからアランを引き離した。
ハンダルまでは馬車で行くと1日~1日半かかる。
〝ジャポスカ達魔物の背中に乗ったらきっと1~2時間で着くのだろうな。〟
クラウドはそんなことを考えていた。
〝出発までにジャポスカに会えるかな。〟
そう思いながら自室へと戻っていった。
ご覧下さりありがとうございます。ハンダル王国への任務期間は5年を想定しているようです。戦闘をしに行くのではなのですが、やはり長年会えないとなると寂しさが増します。
今後もお楽しみに!




