第36話:心を鬼に…!クラウドの仕事?!
今日はアルクレゼ領地内の街中を視察するつもりだったクラウド。しかし、フランとアランがこっそりついてきてしまっていたので共に街中を遊び歩くことに変更となった。
〝まぁ、こんな日もあってもいいか。〟
クラウドは二人がはしゃいでいる姿を見て穏やかな気持ちになり、そう思った。
護衛騎士に、母にこの事を連絡するように指示して二人を見守った。
「お兄様!あれは何ですの?フラン、初めて見ましたわ!」
フランが指さしたのは果物屋だった。
「あれは果物を売っているんだよ。」
「果物って…、あんな形をしていましたの?いつもは食べやすく小さく切っていて下さったのね。」
「ああ、そうだよ。図鑑でも見たことがあるだろう?」
「ええ、でも、実際に見るのとではまた違っておりますわ。」
クラウドは好奇心旺盛なフランの反応が面白かった。
反対にアランは静かだ。アランが興味を示すものがなかったのだろう…、。
「フラン何か買っていくかい?」
「そうね、あの赤い玉がいいわ。大きいけど何だか可愛いんですもの。」
そう言ってフランはりんごを指さした。
「よし、わかった。」
クラウドはそう返事をして店主にりんごを2個袋に詰めてもらった。
「はい、おじょーちゃん、持ちやすいようにしたよ。絶対美味しいからまた買いにきてな。」
店主の言葉にびっくりした。邸では皆、自分たちに丁寧に接するからだ。フランは〝バッ〟とクラウドの方を見た。
クラウドはニッコリと笑っただけだった。それを見て、フランはここではこれが普通なんだと気付いた。
「ありがとう、おじさん、また来るわ。」
そう言葉を返した。フランも中々聡い子だった。
そしてクラウドとフランがふと、後ろを振り返ると、そこにいたはずのアランがいなかった。護衛騎士が離れてついているから安心していたが、ちょっと焦るクラウド。
〝連れていたのが二人だったのに、フランばかりに気を取られていちゃダメだった。失敗した。〟
反省するクラウド。そして間もなく、護衛騎士がアランを抱きかかえてやってきた。
「クラウド様、アラン様をお連れしました。どうやら武具店のそばでウロウロしていたようです。私が声をかけたらびっくりされましたが、クラウド様のお名前を出して家門の紋章をお見せしましたら安心されて抱きかかえさせて頂けました。今は眠っておられます。」
「ありがとう、ルルド。すまないが、そのまま邸に戻るまで頼めるかな?」
「承知いたしました。」
そしてフランの方を向いて、
「そういうわけでフラン、今日はもう邸に戻ろうか。」
「………………残念ですが、仕方ありませんわね。」
こうしてフランとアランのふたりの初めての「冒険」は終わった。
クラウドは今日、こうして過ごす事でこの先二人が再び自分を追いかけてくることはないだろうと思った。
が、
別の日も二人はついてきた…。
「あのね、これは僕のお仕事でもあるの!ついてきちゃダメでしょう?!前に言ったよね?」
そう、この日は前回の視察がダメになった代わりにやってきたのだった。
「だって…。」
二人はしょぼんとなっていた。
クラウドは心が痛むが、今回ばかりは付き合ってはダメだと、心を鬼にして二人に言った。
「だって…、じゃないよ。ルルド!ルルドっ!来て。」
「はい、クラウド様。」
ルルドはすぐさま駆け付けた。
「見ての通り、この二人、またついてきちゃってさ、目的を果たせなくなるから悪いけど連れて帰ってもらえるかな?」
「承知しました。」
ルルドはそう返事をすると部下を2名呼んで連れ帰るように手配した。
「目的を続けられるのですね。」
「ああ。前回はあの二人に邪魔されたからね、さあ行くよ、タレコミのあった店はどこかな。」
サッとクラウドのそばを離れて護衛に回るルルド。ルルドはニコルの部下でもあり、アルクレゼの騎士団の中でも影と呼ばれる部隊に所属している。影の任務は離れての護衛、諜報員が主だ。アルクレゼはしないが、大昔の貴族の中の影部隊には暗殺部隊もあったらしい。そういった〝影〟な部分に適した部隊ということだ。
「お、あった、ここで間違いなさそうだな。」
クラウドが立ち止まったのは小さな小屋のような家だった。
ご覧下さりありがとうございます。クラウドにも任されている事があったんですね。驚きです。確かまだ14歳なのですが、前回のハンダル王国での諜報が役に立って任されたのでしょう。
さて、次回もお楽しみに!
※日曜日と水曜日の投稿はお休みになります※




