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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第32話:ハンダルでの収穫!気付いてしまったクラウド




バサバサバサ…






ハンダル王国領内、森の中に着地した。


ポルモアでもそうだが、魔物が上空を飛んでいても人間は気にも留めない。何故なら魔物たちのボスが魔物たちを統制しているのを知っているからだ。決して人間に向かって攻撃をしたり襲ってきたりしないからだ。それは十数年前にルクセブル達が行った魔物統制の功績だった。




「ふぅ~っ、お父様たちが頑張ってくれたお陰でこうして君たちが飛んでいても無事なんだね。」




「そうよ、ルクセブルの勇敢な判断は私、今も覚えてるわよ。あんな決断中々出来ないわ。」




「お父様ってそんな凄い判断をしたの?」




「聞いてないの?私一度捕まったのに私に交渉を持ち掛けてきたのよ?私、やると言ってないのに勝手に信用して…。初めて会ったのに相手を信じるってどれだけルクセブルってお人よしなんだか!」




クラウドはチラッとジャポスカの顔を見た。




〝はは、言葉では怒っているのに、顔は笑ってるんだよな、ジャポスカ、君も気付いてないけどお父様に負けないくらい、お人よしだよ。〟




そう思った。




「なに?そんなにじっと見て…。むず痒いんだけど?」






ジャポスカは照れながらそう言った。






「うん、僕は君とお父様が出会ったことに感謝したいよ。」




「………………?よく…わからないけど、素直に受け止めとくわ。さ、町へ行くわよ。」




「ああ。」






そうして二人は町へと繰り出した。










かなり歩いてようやく町に辿り着いた。




「ジャポスカ大丈夫?」




猫の姿だとひょいひょいと動くが、人間の姿だと一歩一歩歩かなければならず、不慣れなジャポスカはちょっと疲れが見え始めていた。




「ん、へーき。」




そうは言っても帰りもジャポスカに乗せてもらうんだ。




「ジャポスカ、猫になりなよ。そしたら僕が抱えていてあげるからちょっとは休めるよ。」




「ん-、じゃぁ、そうしようかな。お願いするわ。」




そう言ってジャポスカは黒猫に変身した。






「この姿は久しぶりだね。ずっとここんところ、人間の姿ばかり見てたから。」




〝そりゃね、あんたにこっちの姿見せたいからに決まってるでしょ。って言えたらいいのにな。〟




ジャポスカは大人しくクラウドに抱きかかえられていた。






「わお、賑やかな街だね、色んな店が活気付いてる!」






クラウドは本来の目的をまるで忘れているかのように、周りをキョロキョロ見て楽しんでいた。


そして一つの店に目掛けて駆け寄った。






「あの…。僕、今旅をしていてこの国に今日来たばかりなんですが、この国はどんな特徴があるんですか?」




「お?坊主、一人旅か?いいねぇ~!ここか、そうだなぁ、特に他の国と変わらないんじゃないか?平和だしな。」




「そうなんですね、この国を治めているのはやはり王様ですか?」




「ああ、そうだよ。陛下が今治めているね。陛下にはお子様が五人いらっしゃって、三人の王子様方が今、後継者候補として試されてるね。ああ、でもこの国では王女様方にも後継者の資格があるからな。今誰が選ばれるか町民たちでさえ関心を持ってるんだ、お祭りみたいなもんさ。坊主も長く留まるなら楽しんだらいいさ。みんなこっそり賭けてるぞ?」




「そうなんですね、それは楽しそうだ。だけど、あんまりお金を持ち合わせてないからそれは遠慮するよ。」




「ハハハッ、なんだ、一人旅する位だからどこかの坊ちゃんかと思ったが平民か。そりゃ悪かったな。」




「いえ、楽しいお話をありがとうございます。それで試されてるとは具体的にどんな風になってるんですか?」




「ん-?なんかやけに気にしてるな、レポートか何かか?」




「いえ、ただの興味です。」




「面白い坊主だな。国民選挙というものをするらしいぞ?それを踏まえた上で陛下が決めるんだとさ。」




「国民選挙?」




「ああ、期日が決められていて、国民が王族の誰に投票するか、だ。だから今王族もしょっちゅう街中にきてるのさ。こんなチャンス滅多にないからな。」




「そうですね、王族なんて滅多に見れないですからね。わかります。」




「坊主にも選挙権があればよかったのにな。」




「はは、流石に旅人にまで権利があったら隣国を巻き込んで大掛かりなことをしてしまいますよ。」




「…………………ッ!!!」






話の途中で気付いてしまったクラウド…。








「………?どうした?坊主?」




「あ、いえ。他に行くところを思い出しましたので失礼します。本当にありがとうございました。」




「おう、また来いよ。」




クラウドはペコリとお辞儀をしてその場を離れた。








〝クラウド、ウマクキキダセタネ。コレハカナリノ シュウカクダ。〟




「シッツ。まだ誰かいたら大変だから。」




〝ワタシノコトバヲ リカイシテルノハ コノバニイルニンゲンデハ オマエダケナンダガナ。〟




「用心に越したことはないさ。さあ、取り敢えず今日は帰ろう。」






そうして森まで歩いて行ってジャポスカはクラウドの腕の中から飛び出した。




〝クラウドノ オカゲデ ダイブ タイリョクガ カイフクシタヨ。サ、カエロウ。〟




そう言って本来の姿に戻り、クラウドに背に乗るように促した。




ご覧下さりありがとうございます。

炉端商との会話の中で、何かに気付いたクラウド。さて…?


次回もお楽しみに!


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