第31話:胸の高鳴り!彼女からの名前の呼び捨て
クラウドを乗せたジャポスカはあっと言う間にラナベルのいるシラユリの園に着いた。
「まあ。ジャポスカ?あら、クラウド君も一緒ね。」
「ラナベル!」
ジャポスカはラナベルに飛びついた。
〝ジャポスカが羨ましい…。〟そう思いながら二人を見ていたクラウド。
「やあ、ラナベル。」
はにかみながら挨拶をするクラウド。
「あなたは本当に成長期だからまた背が高くなったんじゃない?。声も…なんだか最近少し低くなってきたような気もするわ…。もうそれだけ大人びてきたら小さな頃のようにクラウド君なんて呼べないわね。」
ラナベルは優しい微笑を浮かべながらそう言った。
「え…ッ?」
クラウドが驚いていると
「クラウド。」
ラナベルの口から自分の名前が、呼び捨てで発せられた。
────ドキン!!!!
クラウドの心臓が今までにないくらいに飛び跳ねた。
そして同時に嬉しさが身体全体に染み渡り、幸せな気持ちが溢れてきた。
ラナベルはやっぱり違う。他の人とは違う。
クラウドの中でその事実だけを実感していた。それが何故だかわからないまま。
「それで二人はどうして今日?」
「ああ。近々ハンダル王国へ行くからね、ちょっとここへは来れないんだ。だからラナベルに会いに来た。」
「そうなの。嬉しいわ。あなたたちが定期的に来てくれるから私も寂しくなくなったのよ。ありがとう。」
ジャポスカは嬉しそうに笑った。
クラウドはラナベルの話を聞いて、〝それでも僕らがいないと独りなんだろうな…。〟と、彼女を思って二人を見ていた。
「じゃあ、私が何かご馳走を…って、食べて行っちゃうとバレて困るんだったわね。」
「ごめん。」
「いいの。仕方ないわ。気にしないで!私はあなたたちがここに来てくれるだけで嬉しいんだから!」
「そうだ、久しぶりに花冠を作ってあげるよ。」
クラウドはそう言ってその場を離れた。
ラナベルのために一つ一つ丁寧に花たちを紡いでいく。彼女の頭にこの花たちが美しく輝くように、と心を込めて…。
ラナベルは遠くからその様子を見ていた。
〝クラウド…。あなたは彼とは違う。そうわかっているのにどうしても彼の面影をあなたの中に探してしまうの。あなたが私を特別に思っていることに気付いても私は答えることが出来ないわ。だって私はまだ…。〟
そんなラナベルをじっと見つめているのはジャポスカだった。
〝ラナベル…。クラウドのこと、好きになっちゃったのかな?だったら私は…。〟
複雑な三角関係がここ、シラユリの園に展開していたのだった。
だが、何も知らないのはクラウドだけだった。
◆ ◆ ◆
そしてジャポスカと共にハンダル王国へ行く日がやってきた。クラウドはもう10歳の頃とは違って14歳になっていたから見た目はすっかり大人だ。子供以上に目立つようになってきた。
「クラウド、ハンダル王国はちょっと遠いから。ここからポルモアの王都をずっと北上してバモント侯爵領をさらに北上してポルモアとハンダルの境目のペルミア山を越えなければならない。シタレンよりも遠いから覚悟しておいてね。」
「ああ、大丈夫だ。行くと決めたのは僕だから。それにもう僕はあのころ(10歳)の僕とは違うからね。ジャポスカの背中にも乗り慣れたよ。」
そう言って笑った。
「そうだね、確かに慣れるくらい沢山移動したからね。」
二ッとジャポスカも笑った。
「目的は情報収集!」
そう言ってジャポスカの背に乗った。そして二人はひゅいっと大空に飛び立って行った。
ご覧下さりありがとうございます。
毎日暑いですね。40度を超えてる所の皆さん本当にお気をつけて下さいね。
クラウドもやっとラナベルから名前を呼び捨てしてもらえる事になりました。その響きはとても素晴らしくクラウドは胸の高鳴りを覚えました。
次回もお楽しみに!




