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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第29話:えっ?!母上とジャポスカは知り合い?!



クラウドが所属する学園で小さなパーティーを催す。それは子息は18歳、令嬢たちは16歳で成人となりデビューするデビュタントの為の訓練を兼ねているのだ。同じ学園の者同士でもよいが、身近な者をパートナーとして連れて行ってもよいのだ。


そこでクラウドは自身の周りに群がる令嬢達を避けるためにジャポスカに頼み込んだのだった。




「クラウド、私に人間の令嬢のようなまねごと、無理よ?きっと恥をかかせるよ。」




「大丈夫、いつものように僕と踊ってくれたらいいから。」






そう、クラウドはこの日の為に冒険に出ては合間にダンスをジャポスカと踊っていたのだった。




「あれはこの日のためかっ!この、策略家め!」




ジャポスカはちょっとだけ怒っていたが、クラウドの申し出を受けて参加することにした。結局は困ってるクラウドを放っておけなかったからだ。




話はクラウドが母アレクサンドラにその件についての話の途中に戻る。








「………………、爵位のないお相手だなんて…、どう説明するつもりなの?」






「はい、僕の遠い親戚ということでお願いします。」






クラウドが目を輝かせてアレクサンドラを見つめた。






「はぁー、わかったわ。あなたは言い出したら聞かないものね。そういう事にしてあげるからせめて一度くらい、その子に会わせてちょうだい。」






「はい、わかりました。ちょっとお転婆ではありますが、根はいいやつなんですよ!」




クラウドは最高の笑顔を見せて部屋から出ていった。






〝クラウドのことだから騙されてるとか、そういうのはなさげだけど…「根はいいヤツ」やつ?………一体どんな間柄なの?!〟




アレクサンドラは少し心配だった。それもそのはず、さっきまでフランが言っていた言葉がアレクサンドラの頭の中を独占し始めた。確かに気になっていたが、この件ともしや繋がりがあるのではないかと思ったからだ。


その後、モヤモヤする日々が続いた。


夫のルクセブルに華をしてもよいが、こういうデビュタントや学園の事は母親の管轄なのだ。




〝お手上げな状態になるようなら話するしかないわね。ふむ…。〟




とりあえず、その令嬢と会ってからという事で自身を落ち着かせた。














そして約束の日の待ち合わせの森で




「えっつ!?お母さんにも私のこと、話ちゃったの!?」




「うん!だって、どうせ後でバレるんだから先に手を打っておかないと!だから今度お母様に会ってくれる?」




そんな重要な事をなぜ勝手に決めるんだ~~~と、思いながらジャポスカは




「いいけど…。」




と返事をかえして静かになった。




そして顔を上げてクラウドを見たと思ったら




「よし、何なら今から行こう!」






といきなり言い出した!








「えっつ!?今から?流石にそれは唐突すぎない?」




驚いて言うクラウドに対してジャポスカは白い目で見つめて




「何言ってんの?クラウドが無茶ぶりしたんじゃないの。後回しにしたって結局会うんだから一緒じゃん?」




ジャポスカの言葉に聞き覚えのあるクラウドは渋々納得した。直前に確かジャポスカに対して言ったからだ。






「そうだね、それもそうだ。よし、今から行こう!」




そう言ってジャポスカと共に今来た道をそのまま引き返した。






母付きの侍女にクラウドは面会を申し入れて父の書斎へとジャポスカを案内する。




父の書斎へ入ると




「ここがルクセブルの〝書斎〟ってとこか~~~~~ッツ!わぉ!いつも下から見てた部屋だっ!」




と、ジャポスカが何故か感動していた。








「書斎がそんなにいいの?」




ジャポスカはピタリと止まって、




「わかってないな、私はルクセブルとも仲がいいんだって。だからルクセブルの部屋だからいいんだよ!」




「---------------ちぇ、ジャポスカもお父様か。」




「なによ、ラナベルがルクセブルを好きだからって一緒にしないでね?」




そう言ってジャポスカはちょっとすねた。そう、ジャポスカはルクセブルとは信頼を得ているが今のジャポスカの心にはクラウドの存在が大きいからだ。




クラウドはジャポスカの言葉にびっくりした。




「えっ?」




〝ラナベルはやっぱり父上が好きなんだ………。〟


クラウドは胸の奥がギュッと痛んだ…。










◆  ◆  ◆










静まり返った応接室




ジャポスカとクラウドが並んで座る。






向かいにはアレクサンドラだ。






緊張する2人は姿勢を正して座っていて目の前に用意されたお茶にも手を付けられない様子だ。


反対二アレクサンドラは優雅にお茶を飲んでいた。──────────無表情で。






突然押し掛けた上に、入室後に「僕がパーティーに連れて行きたい女性」と、簡単な挨拶だけ済ませたからだ。


そのあと無言の状態が長く続く。




まさか、魔物が人間に変身してるだなんて言える訳がないとクラウドは思ったからだ。








カチャッ…。




ティーカップを置く音が室内に響く………。


話を切り出したのはアレクサンドラだった。




「────それで、そちらのお嬢さんが今回あなたが連れて行きたいと言ってる方ね?」




「はい、お母様。」




クラウドは無言の圧がかかった母が苦手だった。それは普段明るく穏やかだからだ。






「そう、ではあなた、お名前は?」






アレクサンドラは視線をジャポスカに向けた。






「私、ジャポスカ。あなたルクセブルと一緒になったアレクサンドラよね。私のこと、覚えてる?」




ジャポスカはそう自分のことを説明した。




アレクサンドラはじーっとジャポスカを見つめてから何かひらめいたように




「え?もしかして…、魔物の子のジャポスカ?」




「………………!!!!!?」




クラウドはビックリした。さっきの説明で魔物のジャポスカに繋がったことに驚いた。






「そう、あのジャポスカ!お久しぶりね、アレクサンドラ!」




「まあまあまあ!あなた人間に変身出来るの?!凄いわ!!!」






なるほど、二人は知り合いだったのか。とクラウドは納得した。そして、今、目の前にいる母アレクサンドラは普段とは違う、まるで少女のようにはしゃいでる。母が無邪気な性格だったのをクラウドは父から聞いていて、それを今思い出した。そして目の前で起こっている二人のやり取りを黙って見ていた。どうやらクラウドが入る余地もなさそうだ。






「そうなの、クラウドが困っていたから一緒にパーティーとやらに行くことにしたの。」




「クラウドが困ってる?」




アレクサンドラは不思議そうな顔をしてジャポスカを見ていた。






「そうよ。色んな令嬢から迫られてるみたいよ?それが面倒なんだって。」




「あ~ぁ、」




そう言って、どうやらアレクサンドラは何か思い当たるようで




「ルクもそうだったものね。なるほど。わかったわ。後の事は私がするから二人は楽しんで来て。」




と答えた。そしてクラウドはジャポスカの顔を見て喜んだ。








「ありがとう!お母様!ジャポスカ!」




ジャポスカはニッと笑って




「クラウド、パーティー楽しもうね!」






そうしてしばらく三人は会話を楽しんだ。




ご覧下さりありがとうございます。

今回久しぶりにジャポスカとアレクサンドラは再会しました。あの窮地の日に会ったきり…。人間の姿になっていても関係なくさらりと受け入れたアレクサンドラはあの頃と何一つ変わらない1面を見せたのでした。


今後の展開をお楽しみに!


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