第28話:クラウドの思惑
「怪しいですわ!」
ドドーン
フランが母のアレクサンドラに言った。
フラン8歳────
「何がどう、怪しいの?フラン。」
アレクサンドラは冷静に答えた。
「だって、お母様!毎週ですよ??しかも同じ時間になったらお兄様がどこを探してもいなくなるんですもの!」
アレクサンドラは目が点になった。確かにクラウドとフランが凄く仲がいいのは知っていたが、ここまでとは思っていなかったからだ。アレクサンドラは少し戸惑った。仲がいいのは良いことだが、それぞれが自分も大切にして欲しいのだ、特にクラウドは男の子で微妙な年齢になってきたのだ。
「ん-、フラン。前に少しお話したと思うけど、クラウド…、お兄様にも自分だけの時間って必要なのよ。それ以外の時はちゃんとフランと遊んでくれてるでしょ?今も変わらずお兄様にとっても大切にされてるわよ?」
「それはフランにもわかってます。でも、でもフランはもっとお兄様と一緒がいい!お兄様のようになりたい!」
「そうね、その気持ちはとてもわかるわ。だけど女の子ってだけで行動に制限されるのも仕方ないことなの。そうね、もしかしたらもっとこの先、ずっとずっと先になったら女の子であっても男の子と同じように自由に行動しても誰にも何も言われない時がくるのかもしれないわ。」
「フランはそれまで待てない、おうちを継ぐのもお兄様だって決まってるの?フランがお兄様の代わりに継ぐこと出来ないの?フラン、お兄様を邪魔にしたいとか思ってないけど、女の子ってだけでお兄様のように出来ないのは悲しい…。お兄様の役に立ちたい!」
「そうね、わかるわ。もう少しフランが大きくなったら出来ることをさせてあげるから、もうちょっとだけ辛抱してくれる?お父様にも相談しておくわ。ね?」
フランは静かに頷いた。不満はあるけどこれ以上言っても母を困らせるだけだと悟ったからだ。
コンコンコン!
2人のいる部屋の扉をノックする音が聞えた。
「お母様。少しよろしいでしょうか?」
クラウドの声だ。
フランは、ぱぁっと明るい表情になった。
「どうぞ。クラウド。」
「失礼します。」
部屋に入ってきたクラウドは少し大人びてきた。初めて冒険をしだしてから4年の月日が流れたのだ。
クラウド14歳────
「まあ、クラウド。また背が高くなったんじゃなくて?」
「はい、クラスの中でも後ろの方に並ぶようになりました。」
「ふふ、それは頼もしいわね。」
クラウドが母と話をしている時、
タタタッツ!バン!
駆けよってきた小さな影はクラウドに抱きついた!
「おにーさま!」
そう、クラウドの弟、アラン(アドルフ)だった。
「アラン、久しぶりだね、大きくなったね。」
「はい、おにーさま。」
「あら、お兄様、私もおりましてよ?」
「はいはい、フラン、今日も可愛いね。」
クラウドは12歳になってから王都にある「ポルモア学園」に通っている。どうやらクラウドはそこで生徒会に所属しているようでいつも帰りが遅いのだ。小さなアドルフは勿論のこと、下手をするとフランにでさえ会えない日もあるのだ。
「クラウドはフランとアランにとても慕われているわね。」
「お母様…。」
「そうだわ、用事があったのよね?どうしたの?」
そう言ってアレクサンドラはクラウドを座席に座るよう促した。
「あ、すっかり忘れてしまうところでした。」
そうしてクラウドは一枚の招待状をアレクサンドラに見せた。
「これは…?」
「はい、学園で開かれる簡単なパーティーなんですが、僕は友達と一緒に参加しようと思っているんです。」
「いいんじゃないの?どこのご子息と一緒に参加するの?」
「あ、いや。爵位のない…、女の子なんです。」
「え?女の子?!いつの間に知り合ったのかしら?」
アレクサンドラはあまりにも突然の事で驚いた!クラウドの周りで女性の影すらなかったのだから…。
対するクラウドは少し戸惑った。その女の子とはジャポスカの事だからだ。まさか魔物の子が人間の姿になってパーティーに参加するとは誰も想像しないだろう。
だが、ぜひとも認めてもらいクラウドの思惑がそこにあったのだ。
ご覧下さりありがとうございます。
さて、クラウドはどうしてジャポスカに人間の姿になってまでパーティーに参加させたかったのでしょうか…。
次回をお楽しみに!
水曜日は投稿お休みさせて頂きます。
また木曜日にお会いしましょう。




