第25話:それぞれのクラウドに対する気持ち…
それからというもの、ジャポスカとの冒険の行先はラナベルの元に行くことが増えた。
ラナベルも頻繁に現れては賑やかに過ごす二人を見て和んでいた。時折クラウドの中に彼の面影がチラつく………。
そんなある時、ラナベルは初代百合の薗の番人、ルルに問われた事があった。
それはクラウドの存在についてだった。
〝初代様が心配なさるのも無理はないわ。だってクラウド君は本当に彼の面影があるんだもの。時々頭がおかしくなるんじゃないかって思うわ。〟
ラナベルは複雑な思いでクラウドを見ていたのだった。
そこにいるのはたった10歳のまだ幼さも残る男の子なのだ。しかも父の恩人である自分を慕っているのがよくわかっていた。
「ラナベルさ~ん!」
クラウドが駆け寄ってラナベルにパッと何かを差し出した。
「えっ?!」
それは百合の薗の百合たちで作った花冠だった。
「これを…わたしに?」
クラウドはすこし恥ずかしそうに、そして何処か誇らしげに
「へへっ。」
と返事をした。
「ふっ。」
ラナベルは花冠を見て笑った。
「ありがとう、クラウド君。作るの難しかったんじゃない?」
「大丈夫だよ、僕には妹がいて、よく作ってあげてたから。」
そう言ってクラウドはニッコリ微笑んだ。
「そう…。妹さんもいるのね。」
「うん、弟もいるんだから!」
「ま…まあ、弟さんも?みんな仲がいいのね?」
クラウドが元気に答えるのとは対照的にラナベルは少し声に元気がなくなった。
「………? どうしたの?ラナベルさん、なんか元気ないよ?」
ラナベルはまさか彼に子供がいたことで気持ちが落ち込んでしまったとは言えず……。
「え、そ…そんな事ないわ、ごめんなさい。少しボーッとしてたみたいね。」
そう発したラナベルだが心の中では
〝ダメダメダメ!彼は幸せなんだもの!それでいいじゃないっ!〟
と、自分自身と葛藤していた。
「クラウド─────っ!」
「あっ!ジャポスカが呼んでる、行ってくるね、ラナベルさん。」
そういうクラウドはとても無邪気な顔で笑った。
ラナベルにとって、 いつだって目の前のクラウドは無邪気なただの子供だった。
〝こんなにも無邪気な子供なのに、どうして…彼の面影が重なるのかしら……。〟
ラナベルはそう思った。
「ええ…。私を気にせずに行ってきて?」
「うん、またあとで。」
そう言ってクラウドはジャポスカの方へと駆け寄った。
「ジャポスカ~~~っ?どうしたの?」
「もうっ、クラウドってばすぐにラナベルんとこいっちゃうから~~~っ!コレ!!作り方わかんなく、なってきちゃったよ!」
「あはは!ジャポスカって案外手先が不器用なんだなー。」
ジャポスカの手にはクラウドがラナベルに渡したような百合の花冠が作りかけで止まっていた。
「貸して?ここをこうして…」
と言いながらジャポスカに見せながら作っていく。
「ふむふむ。」
ジャポスカは慣れた手つきのクラウドを見てちょっと見直していた。
「クラウドって器用だよね、何が出来ないの?」
「え?出来ないこと?………さあ?わかんないよ、まだ。知らない事の方が多いもん。」
そう語るクラウドにジャポスカはとても10歳だとは思えないほど逞しく見えた。
〝ルクセブルもかなりキレ者だったけど、クラウドだって、その上いく位、勘もよくて資質があるんじゃないか?〟
ジャポスカはクラウドをかなり高く評価していた。
〝人間のオスじゃなければなぁー。同じ魔物同士なら番相手として充分いいのになぁ。〟
─────っハッ!!
〝な…なに?番だと?!〟
ジャポスカは真っ赤になっていた!
そんなジャポスカに対して
「ジャポスカ?」
と、クラウドが顔を覗きこんできた。
「────────!!!」
驚いて顔を逸らしたジャポスカ。
「ジャポスカ?!」
「な…なんでもないっ!急に覗き込むなっ!びっくりするだろ?!」
「あ、ああ…、ごめん。」
「ちょっと、ラナベルんとこ行ってくる。そこで待ってて。」
そう告げてジャポスカはクラウドの傍を離れた。
ご覧下さりありがとうございます。
ラナベルは相変わらずクラウドの中にルクセブルを見ています。
逆にクラウドが赤ん坊の頃から見てきたジャポスカはクラウドを意識しだしてます。
これからの展開をお楽しみに!




