第23話:会いたい…。優先すべきは自分の気持ちか父の願いか?!
カーン、カーン、カーン、
今日も軽快に木刀の撃ち合う音が響く…
が、少しいつもと違う
「止め止めっ!」
と声が訓練所に響き渡った。
その声にハッとしたクラウド。対戦相手のマーシーはキョトンとしていた。
「どうした?!クラウド!いつものお前ならとっくにマーシーに踏み込んでいただろ?」
そう言葉を続けたのはクラウドの剣の師匠のニコルだった。
クラウドは一瞬、ハッとした表情をしたかと思うと俯いてしまった。
「…………!!?」
その行動にニコルは慌てる!いつもならくってかかる勢いで反論のひとつでもしてくるのに、今日は俯いてしまったからだ。
「だ…!どーした?!お前らしくないぞ、今日はっ!」
クラウドは俯いたままだ。これはただ事じゃないな、と察したニコルは
「……………………。はぁ~~~~~~っ」
深くため息をついてからマーシーに告げた。
「マーシー、今日はここまでだ。帰って母さんに美味いもん作ってもらって食べてこい。」
マーシーは ばぁっと笑顔になった。本当にニコルの息子にしては大人しい性格だ。
そしてマーシーが居なくなったその場でニコルはクラウドに話かける。
「なあ、クラウド。何があったのか俺に話してみ?何でも聞いてやるぞ?一応大人だからな、相談にのってやる。話してみ?」
そう言ってクラウドの目線に合わせてニコルは膝をおった。
クラウドはそ~~~っとニコルを見て
「はぁ~~~~~~っ」とため息をついた。
「え、え?何?その大きなため息は?!俺…、信用されてないの?」
「信頼って言うんだよ、こういう時。」
ポツリとクラウドが口を開いた。
ニコルは赤くなりながら
「その、信頼…をだな。」と言いかけた。
「いいよ、言い直さなくても。僕がため息ついたのは師匠にこんな繊細な話、無理だと思ってさ。」
「おまっ!流石にそれは ねーんじゃなねーの?!」
「あはは…!師匠はそうでなくちゃ!何だか悩んでたのが馬鹿らしくなってきました、ありがとうございます!」
「………!!」
ニコルは驚いた。
〝悩んでた?〟
〝10歳の子供が悩んでた?俺が10歳の頃なんて何も悩まなかったぞ?〟
と、ニコルは思った。
クラウドはそんなニコルを見て
〝師匠のことだ。自分から悩みを打ち明けるように言っておきながら僕が悩んでる事に驚いていそうだ〟
と、まさにその心情を見抜いていた。相変わらず聡い子供だった。
◆ ◆ ◆
そして再び約束の日がやってきた。
クラウドはいつもと同じように服を着替えて邸を脱出する。
父のルクセブルには二度とあの場所には行くなと言われたが、どうしてもあのひとに会いたいと思ってしまった。
そしてルクセブルの方はというと、クラウドはきっとまたラナベルに会いに行くだろうと予想していた。
本心では会って欲しくない。
何かのトラブルに巻き込まれたりしないか心配だからだ。
だが、好奇心旺盛な子供を自身の我儘で縛り付けるのは違う気もして、息子を案じながらも見守ることにした。
ジャポスカも同行するのだ。悪いようにはならないだろうと…。
〝今日も出て行ったか…。行先はやはり…。〟
そう、ルクセブルの心配通りクラウドはラナベルに会いたかったのたった。
「ジャポスカ~~~、いる?」
いつものように、森に着くとジャポスカを探す。
ジャポスカはクラウドに気付かれないように邸からずっと付いてきていたのだった。
それがクラウドを冒険させる為のルクセブルとの約束だからだ。
「よっ!クラウド!」
軽く挨拶しながらジャポスカは現れた。
そう、人間の女の子の姿で。
「最近はその姿の方が多いね。」
「悪いか?」
「そんな事ない、可愛いからね。」
と、さり気なく言ってニッコリと笑うクラウド。
ドキッ!
ジャポスカはクラウドの笑顔とさり気ないその言葉にドキッとした。
〝な…なんだ?今の…?〟
少し驚きはしたものの、一瞬の事だったのでそれ以上は気にしない事にした。
そしてクラウドに向かって聞く。
「さあ、今日はどこ行く?」
「う~~~~~~ん、この前行ったとこは?」
「百合の薗?」
「うん!」
クラウドは元気よく返事をする。
「…………….。」
ルクセブルの詰めが甘かった。
ジャポスカにもクラウドと同じようにラナベルに会わせないように伝えるべきだったのだ。
何も知らないジャポスカはもちろん、大好きなラナベルに会うのに大賛成なのだから…。
「よし!ラナベルんとこか。行こ!」
そう言ってジャポスカは本来の姿になってクラウドを背に乗せて空へと飛び立った。
ご覧下さりありがとうございます。
悩むクラウドの力になろうとしたニコルが残念でしたね。
クラウドはもう一度ラナベルに会いに行こうとします。
今後の展開をお楽しみに!




