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【完結】シラユリシリーズ②片影のシラユリ-あの日の君へ-  作者: 慧依琉:えいる


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第16話:お互いに心を許せる相手になっていく



カン!カン!




木刀がぶつかり合う音が響く…






「ほら、もっと腰を低くして安定を保って…。」




「やぁっ!」 -カン!




「そう、その調子!」






クラウドは毎朝ニコルから剣術を学ぶ。






「よし、今日はここまで!あとは訓練場内をもう一度ランニングして体力もつけとくように!」




「はいっ!ありがとうございます!師匠!」






そう、ニコルはクラウドの師匠だ。いつもはニコルの息子のマーシーと撃ち合う訓練をするのだが、時々マーシー抜きで直接指導があるのだ。






あのガサツなニコルも子供を持つ父になってからガサツさはマシになり、こうして指導する最適な人材へと成長していた。






クラウドは師匠であるニコルに言われた通りに訓練場内をランニングする。




〝もうすぐだ!もうすぐジャポスカに会える!〟




今日は母の故郷であるフレシアテ領に行くのだった。








指示のあったランニングを終えて、クラウドは服を着替えた。


そしてコッソリといつもの場所へと向かった。






〝もうジャポスカは来てるかなあ?〟






ワクワクが止まらない。






約束の場所に辿り着くと静かにジャポスカを待つ。








〝ヤア!クラウド、オマタセダネ!〟




いつもの黒猫の姿だった。






「ジャポスカ!僕、楽しみ過ぎて!」




〝ハハハッ!ソレジャア ジカンガ モッタイナイカラ サッソクイコウ。〟




ジャポスカがそう言うと、また口から光を放出して全身を包んでから翼のある本来の姿に戻った。






〝さあ、乗って!〟




「うん!」




こうしてジャポスカの背中にクラウドは乗って空へと飛び立つ。






〝この、浮く感覚がまだ慣れないな…〟




クラウドは心の中で思った。


しかし、大空の中、舞い上がると気分も同じだけ上がってくるようだ。




「やっぱり、この景色最高だね!」




〝私がもっと魔力が高くなったら君にも分けてあげたいな。〟




「出来るの?」




〝さあね。そうなったら素敵だろうね。〟




「うん!僕は君と色んな所に冒険したいよ!」






ジャポスカは嬉しかった。




同じ魔物の子供同士でもここまで仲良く心を打ち解けた相手には出会えなかったからだ。


それなのに異種族である人間の子供とこんなに打ち解けるなんて思ってもいなかった。


いや…、そもそもルクセブルの子供なんだから打ち解けるのに時間なんて必要なかったのだ。




そうしてウキウキしながら空を飛んでいると、あっという間にフレシアテ領に着いた。




目立たない場所にゆっくりと着地して、クラウドはジャポスカの背中から降りた。




そしてジャポスカは猫の姿に戻らずに人間の姿になった。






「え…………、ジャポスカ?」




クラウドは驚いた!






「確かにこの前言ってたけど、本当に人間にもなれるんだ!?」






「………………。」






人間の姿になったジャポスカはクラウドの顔を見て答えた。






「そうだよ、ただ、今回初めてなるんだけど、どう?わたしの人間の姿は?どこかに確認出来るものあるかな?」




ジャポスカはウキウキして鏡を探す。








クラウドは面食らっていた!








「わお!鏡、発見~~~!」








「う………ぉ?!?工エエェェエエ工!?」




何故かジャポスカは悲鳴をあげていた。






「どうしたの?ジャポスカ。」




クラウドはジャポスカの方に近付いた。






「な……!何で?」




ジャポスカは慌てている。






クラウドの目の前にいるジャポスカの姿は可愛い女の子だったのだ。






「何に驚いているの?」






「わたし、可愛すぎない?!」




「え?………多分?」




「ナニソレ……。多分、て。何…。」




「だって僕、可愛い子しか周りにいなかったから可愛くない子見た事ないもん!」




「う……!」




ジャポスカは言葉に詰まった。


そうだ、仲間にだって言われたことの無い言葉に戸惑ったのだ。




「…?」




クラウドはポカン?としていた。






「いや…、驚いただけ。」




「? そか、じゃ、行こ!どこに連れてってくれるの?」




無邪気に笑うクラウドの顔を見ていると戸惑った自分がおかしく思えた。




「そだな、街の中見て回ろう!クラウドは行った事ないんだろ?時間の許す限り行こう!」




「うん、行こ!」






クラウドがジャポスカにサッと手を差し出した。






一瞬、ドキッときたジャポスカ。こんな扱いされた事ない…。




クラウドの手をギュッと握って




「じゃあ、最初は美味しいものだね!」




と言って駆け出した。


明るい太陽の下、ふたりは仲良く手を繋いで街の中を走り回る。




領民たちは見慣れない子供たちがいるとは思いながらも特に不審がらずに見守った。


ここ、フレシアテ領は治安も良いからだ。








クラウドは初めて食べるものに驚いた。ジャポスカも街の中の様子は知っていても、実際に食べるのは初めての物が多かったのだ。




「クラウド!わたし、コレずっと食べたいと思ってたから食べれて嬉しいよ!」




屈託なく笑うジャポスカにクラウドは心の中が温かくなるのを感じた。




クラウド自身も家族以外はこんなに心を許す相手がいなかったからだ。


師匠は師匠だし、その子供、マーシーだと、クラウドに対して改まって接してしまうからだ。どうやらガサツなニコルよりも奥さんのフランに似たのだろう。




ご覧下さりありがとうございます。

ジャポスカもクラウドもお互いがお互いに対して気負わすにいられる対象となっていきました。

次回もお楽しみに!


※投稿時間は毎朝 6:50になっておりす


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