第12話:クラウド10歳!ドキドキ初めての冒険!-ひとりで邸から脱出-
翌日、1日のルーティンを早めにこなしたクラウドはソワソワしながらジャポスカがよく出没するシラユリエリアで待つことにした。
ちょうど上を向くと父ルクセブルの執務室がある。まだ幼いクラウドはその事に気付いていない。
そう、まさに今、ルクセブルはコッソリとクラウドの前にジャポスカが現れるのを待っていたのだった。
昨日、ジャポスカがルクセブルの前に現れたのはクラウドの服を用意させるためだった。
ジャポスカはまだ幼いクラウドが自分で用意出来るとは思っていなかったからだ。
「ジャポスカ、まだかなぁ?今日はもしかして来ない?」
時計の針は14時を指していた。
「んー…。」
クラウドは少し悩んでから何かを決意した。
「よし!こっちから会いに行こう!」
「な…!なんだって?!」
執務室にいたルクセブルはコッソリ聖剣の力を使って様子を伺っていたからクラウドの発言に驚いた!
「いや…、ジャポスカと一緒なら安心だが、1人は流石に看過出来ん。」
慌てて、ある人物を呼び寄せてクラウドの護衛を任命した。
「いいか!決してクラウドに気付かれないようにだ!」
「リョーカイ!任せとけっ!」
そう…
お久しぶりのニコルだ。
何年経っても相変わらずガサツなままだ。
これでも一応フラン嬢とは婚姻を済ませて、2児の父になったのだった。
〝はぁ~~~っ、ニコルの腕は信頼してるけど、きっと見つかる。相手はクラウドだぞ?あの聡いアレンの血を引いてるんだ!〟
とても心配なルクセブルであった。
タタタッ………
小さな影が庭園を駆け抜ける。
誰もがニコルのところのマーシーだと思ってるのだろう。
誰も特に声を掛ける事なく邸の外に出る事ができた。
その様子を窓から眺めているルクセブル…。
〝オイオイオイ…。いくら何でも誰か1人くらいは声かけるだろう?!〟
焦るルクセブルだが、邸の住人からすれば「まさか当主の孫が一人で邸内をウロチョロしてるとは思っていないだろう。しかも服が平民に近い下級貴族服なのだ。
〝はぁ~~~、これからはしっかりと確認させなきゃだな。これじゃあ簡単に子供たちに脱走される…!!〟
そう
今まで品行方正なクラウドは一人で勝手に邸を出ようとは考えも及ばなかっただろう。
しかしフランは違う。
好奇心旺盛で目を離せないのだ。
あのお転婆ぶりは一体誰に似たのかと思ったら幼い頃のアレンに瓜二つなのだ。
それにアラン(アドルフ)だ。
そんな姉を追ってきっとアランもヤンチャに育つだろう…。
ルクセブルは頭が痛くなってきた。
「ああ、元気なのは良いことだ。」
親というものはいつだって子供の事が心配でならないのだ。だが、年頃の男の子だ。冒険も必要なのだ。
「今日が休みで良かったよ。」
ルクセブルも王室騎士団勤務ではあるが、今年30歳を迎えるから1週間のほとんどは自領で過ごして家門を継ぐための準備をするのだ。
王室へ出向くのは緊急時以外は今は2回だけだ。
誕生日を迎えると正式に家門を継いで「当主」となる。
「ハハハッ!そんなんだと持たんぞ?!」
ルクセブルに笑って喝を入れるのは父グラナスだ。
「しかし父上…。」
「当主となる者は、もっとドーンと構えておかないとだ。さあ、次はこの資料についてだな…。」
家門を継ぐのはやはり大変のようだ。
そんな頃、邸を駆け足で抜け出したクラウドは…
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ…」
息を切らしてまだ駆けていた。
かなり走ったから疲れているだろうに、初めて一人で外に出た興奮で疲労感よりもワクワクが勝っているようだ。
邸から離れた森に辿り着いた。
「ジャポスカ─────っ!」
と、叫んでみた。
そこに、その周辺にジャポスカがいる確証は何も無い。
〝いやいやいや…、そんな闇雲にさけんだって無理っつーの!〟
密かに着いてきたニコルはこっそりとツッコミを入れた。
〝あーいうところはホント、ルクにそっくりだな。純粋というか無邪気というか…。〟
〝ソレ…ワタシモ ソウ オモウンダナ。〟
「…………………!!!!!」
思わず振り返るニコル!
そこにはジャポスカがちょこんと座っていた。
〝だ────────っ!、そこにいたら俺、バレるじゃん?!〟
〝ヘイキナリ、〟
〝は?大丈夫って?〟
〝バレタラ、サンニンデ コウドウスレバ イイダケ!〟
ニコルは何か秘策でもあるのかと思っていたのに…………ガックリした。
ご覧下さりありがとうございます。
とうとう一人で邸から脱出します。あまりにも上手く行きすぎて心配する父ルクセブル。
クラウドの子供らしさを出しながら貴重な時代を時間をかけてお話していきたいと思っています。
これからの展開にお楽しみに!




