第10話:ジャポスカの提案
「あ!ジャポスカ!また会えて嬉しいよ!」
〝ソウイエバ、キミノナマエヲ マダキイテ イナカッタネ。〟
ジャポスカが現れるのは何故かシラユリが咲いている場所だった。
「僕はクラウド!クラウって愛称で呼ばれる事があるんだ!どっちでも好きに呼んでくれていいよ。」
クラウドは満面の笑みでそう答えた。
〝ハハッ、クラウドカ、イイナマエダナ。ソノマンマデ ヨブコトニ スルヨ、クラウド。〟
クラウドは思った。喋る猫が珍しいだけだ。名前とか気にする方がおかしいのかもしれない。
「うん、いいよ、それで!」
シャポスカはふと空の方を見た。
釣られてクラウドも見た。
「あれは…。お父様だ。ジャポスカはお父様を知ってるって言ってたよね?会わないの?」
〝イインダ。カレガ ゲンキデ シアワセナラ。ワタシハ アノヒトノ ダイリデ キテルダケダカラ。〟
「………?あのひと?」
クラウドがポツリと呟くが、聞こえなかったのか、ジャポスカは何も答えなかった。
その時、ふと、窓際にいたルクセブルが外に視線をやった。
が、その時はもうジャポスカもクラウドもその方向を見ていなくて共に語り合ったりしてじゃれていた。
--------------------ジャポスカ………
ルクセブルは久しぶりに見るジャポスカの姿に懐かしさが込み上げてきた。
クラウドと知り合ったのか。まあ…ここに出入りしていたらいつかは子供たちとも出会うだろうと思っていたが…。
このままジャポスカがクラウドを守ってくれるだろうか…。
ここまで様子を見に来てくれるんだ、きっと守ってくれるに違いない。あれだけ仲よさそうなんだしな。
と、父親心で眺めていた。
そんなある日、
〝クラウドハ、ジュッサイニ ナッタノ?〟
「そうだよ。」
〝フゥーン、ココカラ デタコトハアルノ?〟
「たまにね、お母様とか誰かといつも一緒だよ。」
〝ナニソレ!モウヒトリデ デカケル クライジャナキャ!オトコノコナンダカラ!〟
「そんな事したら叱られてしまうよ。」
〝キミハ ユウトウセイ スギテ ダメダナァ。オンナノコナラ、ソンナコト イワナイヨ。ケド、オトコノコナラ、オヤニ ハムカッテデモ、ボウケンシナクチャ!〟
その言葉にクラウドは〝トクゥン!〟と胸が高なった。
──────冒険!------------------------
10歳の男の子にとっては、これ程魅力的な言葉はないだろう。
「よし、ジャポスカ、決めたよ!僕、冒険やってみる!」
〝ジャア、チカバカライコウ!〟
「うん!」
〝ツギ、アウトキハ キガエヲ ヨウイシテ。ソンナ メダツ カッコウダト、スグニ ミツカルカラ。〟
「うん、わかった!」
そうしてジャポスカは消えた。
クラウドは考えた。
目立たない服ってどうやって用意すればいいんだ?
父上には話せない。まして母上になんて以ての外だ。きっと大反対される。こっそり行きたいけど流石に大人を頼らないと…。
クラウドはこの時初めて今まで何も自分だけで出来た事が無いことに気付いた。
王城から帰宅途中、ルクセブルの乗る馬車の前にジャポスカが飛び出した。
「どう!どう!どう!…」
御者が驚いた馬を制御する。
「ご主人様、大丈夫でしたか?」
御者は中にいるルクセブルに声をかけた。
「ああ、心配ない。どうした?」
「はい、黒猫が急に飛び出してきたもので……。」
ルクセブルは〝黒猫〟と聞いてピンときた!
「すまないが、しばらく止まっててくれるかい?」
そう声をかけると馬車の扉を開けて外に出た。
「やっぱり!ジャポスカ、久しぶりだな。」
〝ルクセブル!アイタカッタヨ。キミニハナシガアッテキタ。〟
「クラウドのことかい?」
〝ワタシニ キヅイテタノ?〟
「ああ。」
〝ソレナラ ハナシガ ハヤイヤ!〟
ジャポスカはニッと笑った。
ご覧下さりありがとうございます。
ジャポスカの登場で物語はこれからどんどん進んでいきます。これからの展開もお楽しみに!




