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初仕事と2回目の戦い

-1-


 翌日ミレイアと酒場で落ち合った後受けたクエストは迷宮ダンジョンの調査であった。今回の現場まではミレイアが運転する魔動車で移動している。


「なぁー、いろいろ聞いていいか?」


「えぇ、かまわないわよ。」


「ダンジョンって何?」


「マナが滞留してる場所に魔物が住み着くことで異空間化した場所のことよ。いろんなところに自然発生するからこうやって調査するの。」


「お宝が眠ってたりするのか?」


「結晶化したマナや貴重な素材になる魔物がいるといいお金にはなるわ。ただ私たちが行けるようなダンジョンじゃ大したものは無いでしょうね。」


 なるほどなるほど、と感心したところで次の興味は魔動車に移った。今日乗っているもの昨日の大型車ではなく荷台のついたバギー程度のサイズでハンドルやアクセルは見当たらずミレイアは固定されたレバーを握っていた。


「この車ってホントにマナだけで動いてるんだな」


「そうね、進んだり曲がったりするのも自由自在よ。」


 前輪を見ると曲がるたびに前輪が左右に動いている。この辺はガソリン車と変わらないらしい。


「念じれば思うように動くってこと?」


「そんな感じね。まぁマナを使って走るわけだからあまり長距離だと疲れるのが難点だけど。」


「じゃあ俺にも運転させてくれよ、交代しながらのほうがいいだろ?」


「イヤよ、さっき運転しようとして車がひっくり返ったじゃない。」


「次はうまくやるさ。」


「いーや、さっき見てわかったわ。トウヤってホントにマナの扱い下手なのね、魔法が使えないことも納得だわ。」


「あーそうかい、わかったわかった。」


 思わず不貞腐れるが事実であることは間違いない、風を感じながら外の景色を眺めていた。この世界は自分の住んでいた世界にはいない動植物が生きていた。空を飛び群れを成している猛禽類は頭にクジャクの尾羽のような飾り羽があり、馬に似た動物は首が短くがっしりとした体型をしていて体毛は長い。植物には詳しくないものの町で見る野菜や果物は見知ったものとは違う味や形をしているため、過ぎ去っていく木々も詳しい人が見ればその差異に驚くのだろう。


「昨日もそうだけど、こんな人が通る道のそばにも動物がいるんだなぁ。」


「まぁ森や山の奥まったころは魔物がいるから、ちょうど人里との間に暮らしてることが多いわね。」


 そういう事か、と感心していると木々を抜け平地に出た。遠くに見える採石場が今回の目的地である。


「木も草もあんまり生えてない場所だけどここにも動物っているんだな。」


「あら、どんなのがいたの?」


「ほら、あそこ。」


 トウヤは左前方を指さすと土煙を上げながらこちらに走ってくる数十頭のトカゲの群れがあった。恐竜のナントカラプトルだとかそういうのに似てるなぁと眺めているとミレイアは群れから離れるように車を急反転させた。


「うわっ!どうしたんだよ急に!」


「あれは魔物よ!グンタイアナトカゲ!こっちに来てる!?」


トウヤが後ろを振り返るとトカゲの群れはこちらに進行方向を変えている。


「そうだな、追いかけて来ているな。」


「あー、もう見つかったてたかぁー。」


「振り切れないのか?」


「この車じゃ無理ね、強さは大したことないんだけど数と足の速さが厄介なのよ。」


 撃退しようとしているのだろう、ミレイアは運転しながら杖に手を伸ばしていた。


「いや、俺がやる。ミレイアは運転してくれ!」


「ちょっと待ってよ!またあんな大爆発されたら困るんだけど!」


「あの群れを吹き飛ばせばいいんだろう?問題ない!」


 トウヤは身を乗り出し群れに手のひらを向けた、確かにじりじりと距離は詰まってきている。


(闘気を集中。今回は威力を上げず、ただ気を叩き込むだけ。)


「————烈波掌!」


 放たれた気は衝撃波となりトカゲの群れに直撃した、正面から食らったトカゲは肉体の大半が四散し群れ後方のトカゲも身体をへし折りながら吹き飛ばされていく、衝撃波の跡には無数のグンタイアナトカゲの残骸が転がっていた。しかし衝撃波の反動は激しく魔動車は前方に転がり二人は車から放り出され、とっさにトウヤはミレイアを庇い抱きしめた状態で背中なら着地した。


「だ、大丈夫か……?」


「私は、大丈夫。トウヤは?」


 ミレイアを開放するとゆっくりとトウヤは起き上がる。


「まぁまぁ、言うほど大したことは無いさ。それにしても足場が不安定なの忘れてた、本当にごめん。」


 2人分の衝撃を受け止めたのに案外平気そうなトウヤにミレイアは放り出された驚きよりも心配が勝ってしまう。


「本当に大丈夫?治癒魔法かけようか?」


「そうだなぁ、じゃあ擦りむいたところがあるから治してくれよ。」


 血が滲んでいる手の甲と肘に治癒魔法をかけつつミレイアはトウヤの様子を見る。確かに他の外傷は見当たらず、その上でやせ我慢をしている様子もなかった。


「それにしても車が心配だなぁ、壊れてないといいけど。」


「そうね、一応ギルドからの借りものだし。」


 治療が終わり転がっていた魔動車をもとに戻す。ミレイアがレバーを握ると問題なく動き始めた。


「おお、結構頑丈だな。」


「ホントよかったわ。壊れて修理だの買い取りだの言われてたらたまんない。」


 放り出された荷物を回収し採石場へ向かう。移動中再びトウヤは謝罪をした。


「ここまで吹っ飛ばされるとは。ホントにごめん。」


「まぁ、こう何度も吹っ飛ばされるのはたまったもんじゃないわ。いい加減自分の技が異常な威力だって自覚しなさい。」


「返す言葉がねぇよ…………。」


「あと、まさかさっきのが昨日言ってた別の技じゃないでしょうね??」


「いや、それは違う!ちゃんと別のがあるから!だから次、次機会をくれ!」


「ふふ、わかったわ。期待してないでおく。」


 しばしの沈黙が流れ、ふとトウヤは質問をした。


「さっきのトカゲって、クエストだとどれくらいの難易度なんだ?」


「星4か5くらいじゃない?あの数だしそこそこの被害が出るらしいわ。」


「星4!?じゃあクエスト受けてたら結構な報酬になったんじゃないか!?」


「…………余計なこと言わないで、考えないようにしてたんだから。」


 ミレイアは一気に車を加速させ、トウヤは座席に叩きつけられた。


————数時間後、グンタイアナトカゲ討伐に向かった中堅パーティーが死骸の山を発見、これ幸いと報酬を手にしていたことを2人が知ることは無い。



初めての連載です。

楽しんでいただければ幸いです。

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