ヌポポの力
ヌポポは大きくなっていた。
身長が伸びて100㎝くらいだ。もう*ービー人形には見えない。
でも、違和感ありまくりだ。この身長で、バランスの取れた青年の姿なので、実際より細く小さく感じる。
「ヌポっ!カムイ大きくなったぞ。これからはカムイの手助け、出来るヌポ」
「へ、へえ。助けてくれるのか。ありがたいなー」
「何か、言い方!信じてないヌポ」
今まで、寝ている方が多いヌポポに、助けてくれると言われてもなあ。いまいち信用出来ない。また、寝始めるんじゃあ無いのか。まあ、暇だったので,話し相手にはなるか。
ヌポポはこれで、成長は終わったと言った。人型になるのは,とても大変で凄いことなんだと。でも、僕はなんと無く気持ちが落ち着かない。語り部が言っていた,人型の魔物は一番ずる賢いと言う,話を聞いていたからだ。ヌポポは魔物では無いけれど、これからまた変わるかも知れない。
語り部の話を鵜呑みにすると、ヌポポが、魔物になるのか?
疑わしい目で見ていたら、ヌポポが、もじもじしている。
ああ!丸出しじゃあ無いか。布きれをヌポポに渡してやった。
☆
「トト、ヌポポの服を作ってくれないか」
「良いけど。え、また変わっちゃったの?」
トトに服を作って貰い、一安心だ。この体型では子供の服では対応出来なかった。身長は子供でも身体のバランスは大人だからだ。
「ヌポっ!トト凄く良い。ぴったりヌポ」
ヌポポは、今まで家族や,極一部の人しか知らない。この大きさになって人前につれて歩けば、騒ぎになるだろう。特に獣人族は,精霊や妖精に忌避感があるらしいし、どうしたら良いのだろう。
「ヌポポは、外に出られないかもな」
「何でだ、もう大きくなったし自分であるけるヌポ!」
「この国には,妖精は居ないし、獣人族は妖精が嫌いみたいだし。見付かったら、殺されちゃうかも」
「こ、殺されるのか?ヌポポは悪い妖精じゃあ無いヌポ」
「悪い妖精?妖精は,悪いのも居るのか?」
ヌポポによれば、反転した妖精が居る、と言った。元々妖精は闇の属性で、反転すると光属性に成るという。ボクは頭がこんぐらがった。光が悪くて、闇が良いのか?
「闇で無いと、精霊樹には近づけないヌポ!光同士だと跳ね返されるヌポ」
「え、じゃあ魔物は光なのか?」「そうヌポ」
磁石のプラス、マイナス的な奴か。じゃあ、生き物は殆ど光か。精霊樹に近づくには闇属性が有れば良いことになる。闇属性もちゃんと使い道が有ったな。暗殺に適している為、印象はすこぶる悪いが、光も闇も、この世界の理の一部に過ぎない。
「ヌポポは、他に何が出来るんだ?」
「精霊の道を通れるヌポ」「なにーっ!」